[オーバーステイの方必見!]出国命令の流れ、退去強制との違い、在留特別許可の概要ついて徹底解説!

この記事は以下の方のお悩みを解決するために書きました。
  • 現在、オーバーステイをしており、出頭を考えている方
  • 周りにオーバーステイをしている人がいる方
  • オーバーステイの方と同居している方

この記事を書いた人

行政書士 Jin JaeHo(韓国人の行政書士)一児のパパ
2014年開業
入管業務が専門 
不許可案件、リカバリー案件に豊富な実績あり。

テレビ番組やニュースで、「000国の男が不法在留で現行犯逮捕!」の記事をたまに耳にします。その中で、「強制送還された!」という言葉が耳にしますが、皆さんは、このようなニュースを見るとどんか気持ちになるのでしょうか?

「国の法律を破ったから至極当然だ」 「もっともっとただき出せ!」という気持ちなるのでしょうか?

それとも、事件の事案にもよりますが、不法残留者に子供がいるなど情状酌量な余地がある場合、「子供がかわいそう!」「何とかならないのか?」と思うでしょうか。

日本国からしてみれば、当然の法の執行!

外国人側からしてみれば、ある日突然、日本の生活基盤をすべて失い、出国命令や強制退去という、想像もできないような苦難に直面することになるのでしょう。

私は、入管法を携わる人間として、日本国の立場、そして、当職も個人的には、外国人の身分であるため、自分の思いが重なるところがあって、複雑な気持ちになります。

この記事では、「退去強制」と「出国命令制度」について、その差異と概要を詳しく解説します。外国人の方々が日本から退去・送還される際の法的手続き、そしてオーバーステイ」になってしまった場合の選択肢についても触れていきます。
この記事が、オーバーステイをしている方、また、周りにオーバーステイや外国人の不法在留に関心のある方少しでもいい情報伝えるため書きましたので最後まで読んでくだされば、幸いです。

この記事でわかること

1.オーバーステイの私、どうすればいいの?

オーバーステイの方は、2つの道があります。
①このままオーバーステイをし続ける。
②入管に出頭して、一度、国へ帰ってから出直す。

オーバーステイの状態であっても、日本に長く住めば住むほど、日本で生活基盤を築くことになり、母国に帰国しても、(母国に)仕事がない、社会的な繋がりがないなど、問題は山積だと思います。また、日本に恋人がいる方もいるでしょう。

Jinせんせい

ここは、今まで、出国命令、在留特別許可時に、オーバーステイの方にインタビューした内容を少し、アレンジして、オーバーステイのままにいるメリットとデメリットを書いてみました。

出国命令と強制退去で迷うイメージ写真
  オーバーステイをし続けるメリット   オーバーステイをし続けるデメリット
経済的な側面母国よりも日本での稼ぎがいい場合、お金を貯めることができる。          

・日本で仕事を見つけて収入を得られる場合、母国の家族へ送金することができる。
・銀行口座を開設できず、お金を管理が難しい。

健康保険や国民年金に加入できず、病気や怪我をした際に高額な医療費を負担する必要がある。もしくは、お金がないと、病院行くのが難しい。

・雇用保険に加入できず、失業した場合に生活費を稼ぐのが難しい。
社会的な側面・日本社会に溶け込み、新たな人間関係を築ける。

・日本は、経済大国なので、ビジネスチャンスを見つける可能性がある。
・日本は、経済大国なので、ビジネスチャンスを見つける可能性があると言っても、在留資格がないと銀行の取引、
事業所の確保など、自分でビジネスを大きくするのは、ほぼ無理。

日本語がある程度できなければ、日本社会に溶け込めず、日本の母国のコミュニティでしか活動できない

オーバーステイをしていることを周りに隠し続けなければいけない。

・(オーバーステイをしていることが知られたら)それを利用して、悪さをしている人がいる。例えば、お金を借りて、返さないとか、働かせておきながら、給与を払わないなど
個人的な側面・日本の町は、清潔で、人々も好きで、日本に住み続けたいという気持ちが強い。

・日本の生活が長く、生活基盤が日本にあるため、もう帰りたくない。

・日本で家族や恋人がいるから、このままずっと一緒に生活したい。
・自分の親が亡くなった場合、国に帰れない。

・いつ摘発されるか分からないから将来の計画を立てにくい。

・常にびくびくしながら、生活する必要がある。
法的な側面メリットなし。不法滞在者として逮捕される可能性がある。

・不法滞在者として通報される可能性がある。

・入管/警察に摘発されたら、不法残留の場合5年、2回目の摘発の場合は、10年間、日本の入国が禁止される。

入管法の退去強制の手続きではなく、刑法手続で起訴され、1年以上有罪判決になったら、執行猶予がついても永久に日本に入国できない。

・オーバーステイの状態で何十年居ようがそれを日本の「定着性」があるとは認められない。

以上が、オーバーステイをし続けるメリットとデメリットでした。

僕が思う一番のデメリットは、やはり、摘発されるデメリット(リスク)です。上述のとおり、オーバーステイだけでも、摘発され、刑事手続きで国へ強制送還されたら、永久に日本に戻って来れない可能性もあります。仮にそんなことになったら、好きな日本に永久に生活できないです。これは、過去、当職が「上陸特別許可」で実際に経験した案件でもあります。

また、年をとることにつれ、身体の調子が悪くなったり、疾病にかかるリスクもあるでしょう。そのとき、保険がなくお金の余裕がなければ、病院にもいけないデメリットも大きいです。

オーバーステイをしている方に質問です。
オーバーステイの状態において、もし1年で、合法的に日本に戻って来れるなら、それでもオーバーステイをし続けますか? 

誰でも気軽いに入管業務専門の行政書士に相談できます
  • 全国どこでもメールやLineでの相談、また、10時~19時まで電話による相談受け付けております。
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2.単純なオーバーステイは、出国命令で国へ帰りましょう!

日本国がオーバーステイの方を配慮して作ったのが、「出国命令」という制度です。以下、「出国命令」の概要です。

(1)出国命令の条件

出国命令の概要
  1. 不法ふほう残留ざんりゅう(オーバーステイ)とうしている外国人がいこくじんは、収容令書しゅうようれいしょによる収容しゅうよううえ退去強制手続たいきょきょうせいてつづきがとられ、日本にほんから強制きょうせい送還そうかんされることになっています。また、強制きょうせい送還後そうかんご、5年間ねんかん事情じじょうによっては10年間ねんかんとなる場合ばあいもあります。)は日本にほん入国にゅうこくすることはできません。
  2. しかし、不法ふほう残留ざんりゅうしている外国人がいこくじんが、帰国きこく希望きぼうしてみずか地方出入国在留管理局ちほうしゅつにゅうこくざいりゅうかんりきょく出頭しゅっとうした場合ばあいは、下記かき2の要件ようけんたすことを条件じょうけんに、出国命令しゅっこくめいれいという制度せいどにより、収容令書しゅうようれいしょにより収容しゅうようされることなく出国しゅっこくすることができます。出国命令しゅっこくめいれいにより出国しゅっこくしたときは、日本にほん入国にゅうこくできない期間きかんも1年間ねんかんとなります。

出国命令で国へ帰国できる方は、以下のとおりです。

  1. すみやかに出国しゅっこくすることを希望きぼうして、みずか地方出入国在留管理局ちほうしゅつにゅうこくざいりゅうかんりきょく出頭しゅっとうしたこと。
  2. 違反いはん不法残留ふほうざんりゅうのみであること。
  3. 窃盗せっとうその一定いっていつみにより懲役刑ちょうえきけいなど判決はんけつけていないこと。
  4. これまでに強制きょうせい送還そうかんされたり、出国命令しゅっこくめいれいにより出国しゅっこくしたことがないこと。
  5. すみやかに出国しゅっこくすることが確実かくじつであること。

(2)出国命令の流れ

(帰国前の)身の回りの整理

出国命令は、帰国するための最終的な行動なので、入管に出頭する前には、気持ちの整理と身の回りの整理をきれいにしましょう。おそらく、後術する入管への出頭するよりこちらの方が難しいかもしれませんが、ここは思い切ってやりましょう。

恋人や家族と同居する場合、事前に十分な話し合いをして、一旦、帰国し、やり直すメリットだけを考えましょう!
また、あなたの状況をよく理解してくれる親友たちには、入管に出頭し、国へ帰ることを事前に伝え、親友たちも心の準備ができるようにしましょう。

賃貸借契約の解約、明け渡しには、賃貸借契約に基づいて、2~3か月前から解約の申し入れをするなど事前準備が必要なので、出頭する数か月前から準備をした方がいいでしょう。その他、公共料金の支払い、銀行口座の解約、キャッシュカード、クレジットカードの解約、電話・携帯電話の解約及び端末の返却、(免許証がある場合)免許書の返納、(マイナンバーカードがある場合)マイナンバーカードの返納、郵送物の転送手続き、などなどです。

身の回りの整理が終わったら、いよいよ、入管への出頭です。

入管への出頭

出頭となると、緊張すると思います。むしろ、緊張しない方が普通じゃないと思います。
出頭場所は、(東京入管の場合)6階の「出頭窓口」です。ただ、過度に心配する必要はありません。出国命令の場合、摘発された状態ではなく、自ら出頭した分、入管の職員(入国警備官)も優しいです。落ち着いて、下記の身元確認書類を提出のうえ、速やかに出国する旨をはっきりと伝えましょう。

以下、出国命令のフローチャートです。

出国命令のフローチャート図のスクリーンショット
出典:出入国在留管理庁(https://www.moj.go.jp/isa/deportation/resources/seido01.html

上記、フローチャートを詳しく説明します。

STEP
出頭⇒(違反)調査

・自分の意思から出頭して、(違反)調査を受ける必要があります。
調査に要する時間は、下記の持ち物によりますが、約2時間です
出頭する当日、入管の方で①自らの出国する意思確認 ②身元確認と在留歴を確認するので、以下のものを準備しましょう。

①パスポート

パスポートの有効期限が切れている方は、出頭する前に母国の領事館などで、臨時パスポートなどを作っておきましょう。
・パスポートは、入国時から出頭時までの保管している全部のパスポートを持って行ってください。

②在留カード
 ・過去、在留カードを持っていた方は、過去の在留カードすべてを持って行ってください。

過去のパスポートと在留カードは、入管において、(本人の)在留歴の確認作業を短縮することができ、当日の調査の時間を短縮、また、「出国命令書」の発行期間を短縮することに役に立ちます。

③その他
・飛行機チケットの予約ページのコピー
自分から出国する意思を伝えるために必要です。ただ、「出国命令書」は、本人の在留歴調査で時間がかかる場合があり、その場合は、郵送されるまで、約2週間ほどかかること、また、出国命令書で書かれている帰国日程までは、国帰らなければいけないので、飛行機チケットは日程の変更が可能なものを予約しましょう。

・入管の方で、「出国命令書」の郵送するかについて、確認すると思います。その時は、郵送してもらうようにしましょう。

当日、入管においては、上記の資料で、出国命令の対象者かどうかの(違反)調査が行われ、特に問題なければ、入管の収容施設に収容されることなく、そのまま家に帰ることができます。

当たり前ですが、ここで、何かの犯罪歴や「実はオーバーステイが2回目でした」など事情があった場合は、出国命令制度は利用できません。その場合は、通常の退去強制の手続きになります。

そして、入管の方で慎重に在留歴や犯罪歴の調査が行われ、最終的に出国命令の対象者だと認められれば、「出国命令書」が発行され、後日、郵送されます。

つまり、出国命令の場合、事実上、当日で手続きがほぼ終わらせることができるのは大きなメリットです。
STEP
出国命令書の交付

上述の通り、出頭から「出国命令書」が届くまでは、約2週間ほどかかります。ただ、出頭するとき、自分の在留歴の証明資料を全部出した方はこの時間が短縮できると思います。

・出国命令書には、出国命令の理由、出国期限、その他法務省令で定める事項などが記載していますので、大事に保管しておいてください。上陸拒否期間が過ぎて、日本に入国するときに色々参考になると思います。また、当職みたいな人に仕事を依頼するとき、事実確認をするためにも大変役に立つ資料でもあります。

・出国命令書は、とても大事な書類なので、出頭した段階から、出国命令書が発行される目途を確認したうえ、おおよそ、2週間が経っても届かなかった場合は、違反調査した時の担当職員の方へ連絡して、確認してみてください。

STEP
出国

上記、出国命令の出国期限まではかならず、国へ帰国しましょう。

もし、約束を破って、帰国しないと、退去強制になることはもちろん、刑事罰の適用の可能性も高いので、絶対に帰りましょう!

以上、出国命令の流れでした。出国命令制度で帰国した場合、1年間日本に入国することができません。しかし、1年っていう時間は意外とすぐに経つと思います。

また、たまに出国命令で帰国した方の「上陸特別許可」は可能か?という質問を受けることがありますが、上陸拒否期間が1年というのは、入管からしてみれば、入管法を破ったペナルティーとして最低1年は謹慎してくださいとの意味もあること、また、上陸拒否期間が短いことからよっぽどな特別理由がない限り、「上陸特別許可」が認められるのは難しいと思います。

Jinせんせい

くどいですが、出国命令では、とても簡単で、気の利いた思いやりのある制度です。出国命令の条件に当てはまる方は、これを利用しない手はないと思います。

それでは、退去強制についても確認してみましょう。

3.退去強制について

強制退去のイメージ写真

退去強制を端的にいうと、日本の法令を違反した人、日本国にとって好ましくない人を日本国外に追放することです。

(1)退去強制の対象者(詳細)

退去強制になる対象者は、入管法24条などで決めています。条文は興味のある方のみ、読んでください。
要約したものを別に用意していますのでそちらをご参考ください。

入管法24条

(退去強制)

第二十四条 次の各号のいずれかに該当する外国人については、次章に規定する手続により、本邦からの退去を強制することができる。

 第三条の規定に違反して本邦に入つた者

 入国審査官から上陸の許可等を受けないで本邦に上陸した者

二の二 第二十二条の四第一項(第一号又は第二号に係るものに限る。)の規定により在留資格を取り消された者

二の三 第二十二条の四第一項(第五号に係るものに限る。)の規定により在留資格を取り消された者(同条第七項本文の規定により期間の指定を受けた者を除く。)

二の四 第二十二条の四第七項本文(第六十一条の二の八第二項において準用する場合を含む。)の規定により期間の指定を受けた者で、当該期間を経過して本邦に残留するもの

 他の外国人に不正に前章第一節若しくは第二節の規定による証明書の交付、上陸許可の証印(第九条第四項の規定による記録を含む。)若しくは許可、同章第四節の規定による上陸の許可又は前二節若しくは次章第三節の規定による許可を受けさせる目的で、文書若しくは図画を偽造し、若しくは変造し、虚偽の文書若しくは図画を作成し、若しくは偽造若しくは変造された文書若しくは図画若しくは虚偽の文書若しくは図画を行使し、所持し、若しくは提供し、又はこれらの行為を唆し、若しくはこれを助けた者

三の二 公衆等脅迫目的の犯罪行為等のための資金等の提供等の処罰に関する法律(平成十四年法律第六十七号)第一条第一項に規定する公衆等脅迫目的の犯罪行為若しくは同条第二項に規定する特定犯罪行為(以下この号において「公衆等脅迫目的の犯罪行為等」という。)、公衆等脅迫目的の犯罪行為等の予備行為又は公衆等脅迫目的の犯罪行為等の実行を容易にする行為を行うおそれがあると認めるに足りる相当の理由がある者として法務大臣が認定する者

三の三 国際約束により本邦への入国を防止すべきものとされている者

三の四 次のイからハまでに掲げるいずれかの行為を行い、唆し、又はこれを助けた者

 事業活動に関し、外国人に不法就労活動(第十九条第一項の規定に違反する活動又は第七十条第一項第一号、第二号、第三号から第三号の三まで、第五号、第七号から第七号の三まで若しくは第八号の二から第八号の四までに掲げる者が行う活動であつて報酬その他の収入を伴うものをいう。以下同じ。)をさせること。

 外国人に不法就労活動をさせるためにこれを自己の支配下に置くこと。

 業として、外国人に不法就労活動をさせる行為又はロに規定する行為に関しあつせんすること。

三の五 次のイからニまでに掲げるいずれかの行為を行い、唆し、又はこれを助けた者

 行使の目的で、在留カード若しくは日本国との平和条約に基づき日本の国籍を離脱した者等の出入国管理に関する特例法第七条第一項に規定する特別永住者証明書(以下単に「特別永住者証明書」という。)を偽造し、若しくは変造し、又は偽造若しくは変造の在留カード若しくは特別永住者証明書を提供し、収受し、若しくは所持すること。

 行使の目的で、他人名義の在留カード若しくは特別永住者証明書を提供し、収受し、若しくは所持し、又は自己名義の在留カードを提供すること。

 偽造若しくは変造の在留カード若しくは特別永住者証明書又は他人名義の在留カード若しくは特別永住者証明書を行使すること。

 在留カード若しくは特別永住者証明書の偽造又は変造の用に供する目的で、器械又は原料を準備すること。

 本邦に在留する外国人(仮上陸の許可、寄港地上陸の許可、船舶観光上陸の許可、通過上陸の許可、乗員上陸の許可又は遭難による上陸の許可を受けた者を除く。)で次のイからヨまでに掲げる者のいずれかに該当するもの

 第十九条第一項の規定に違反して収入を伴う事業を運営する活動又は報酬を受ける活動を専ら行つていると明らかに認められる者(人身取引等により他人の支配下に置かれている者を除く。)

 在留期間の更新又は変更を受けないで在留期間(第二十条第六項の規定により本邦に在留することができる期間を含む。第二十六条第一項及び第二十六条の二第二項(第二十六条の三第二項において準用する場合を含む。)において同じ。)を経過して本邦に残留する者

 人身取引等を行い、唆し、又はこれを助けた者

 旅券法(昭和二十六年法律第二百六十七号)第二十三条第一項(第六号を除く。)から第三項までの罪により刑に処せられた者

 第七十四条から第七十四条の六の三まで又は第七十四条の八の罪により刑に処せられた者

 第七十三条の罪により禁錮以上の刑に処せられた者

 少年法(昭和二十三年法律第百六十八号)に規定する少年で昭和二十六年十一月一日以後に長期三年を超える懲役又は禁錮に処せられたもの

 昭和二十六年十一月一日以後に麻薬及び向精神薬取締法、大麻取締法、あへん法、覚醒剤取締法、国際的な協力の下に規制薬物に係る不正行為を助長する行為等の防止を図るための麻薬及び向精神薬取締法等の特例等に関する法律(平成三年法律第九十四号)又は刑法第二編第十四章の規定に違反して有罪の判決を受けた者

 ニからチまでに掲げる者のほか、昭和二十六年十一月一日以後に無期又は一年を超える懲役若しくは禁錮に処せられた者。ただし、刑の全部の執行猶予の言渡しを受けた者及び刑の一部の執行猶予の言渡しを受けた者であつてその刑のうち執行が猶予されなかつた部分の期間が一年以下のものを除く。

 売春又はその周旋、勧誘、その場所の提供その他売春に直接に関係がある業務に従事する者(人身取引等により他人の支配下に置かれている者を除く。)

 次に掲げる行為をあおり、唆し、又は助けた者

(1) 他の外国人が不法に本邦に入り、又は上陸すること。

(2) 他の外国人が偽りその他不正の手段により、上陸の許可等を受けて本邦に上陸し、又は前節の規定による許可を受けること。

 日本国憲法又はその下に成立した政府を暴力で破壊することを企て、若しくは主張し、又はこれを企て若しくは主張する政党その他の団体を結成し、若しくはこれに加入している者

 次に掲げる政党その他の団体を結成し、若しくはこれに加入し、又はこれと密接な関係を有する者

(1) 公務員であるという理由により、公務員に暴行を加え、又は公務員を殺傷することを勧奨する政党その他の団体

(2) 公共の施設を不法に損傷し、又は破壊することを勧奨する政党その他の団体

(3) 工場事業場における安全保持の施設の正常な維持又は運行を停廃し、又は妨げるような争議行為を勧奨する政党その他の団体

 オ又はワに規定する政党その他の団体の目的を達するため、印刷物、映画その他の文書図画を作成し、頒布し、又は展示した者

 イからカまでに掲げる者のほか、法務大臣が日本国の利益又は公安を害する行為を行つたと認定する者

四の二 別表第一の上欄の在留資格をもつて在留する者で、刑法第二編第十二章、第十六章から第十九章まで、第二十三章、第二十六章、第二十七章、第三十一章、第三十三章、第三十六章、第三十七章若しくは第三十九章の罪、暴力行為等処罰に関する法律第一条、第一条ノ二若しくは第一条ノ三(刑法第二百二十二条又は第二百六十一条に係る部分を除く。)の罪、盗犯等の防止及び処分に関する法律の罪、特殊開錠用具の所持の禁止等に関する法律第十五条若しくは第十六条の罪又は自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律第二条若しくは第六条第一項の罪により懲役又は禁錮に処せられたもの

四の三 短期滞在の在留資格をもつて在留する者で、本邦において行われる国際競技会等の経過若しくは結果に関連して、又はその円滑な実施を妨げる目的をもつて、当該国際競技会等の開催場所又はその所在する市町村の区域内若しくはその近傍の不特定若しくは多数の者の用に供される場所において、不法に、人を殺傷し、人に暴行を加え、人を脅迫し、又は建造物その他の物を損壊したもの

四の四 中長期在留者で、第七十一条の二又は第七十五条の二の罪により懲役に処せられたもの

 仮上陸の許可を受けた者で、第十三条第三項の規定に基づき付された条件に違反して、逃亡し、又は正当な理由がなくて呼出しに応じないもの

五の二 第十条第七項若しくは第十一項又は第十一条第六項の規定により退去を命ぜられた者で、遅滞なく本邦から退去しないもの

 寄港地上陸の許可、船舶観光上陸の許可、通過上陸の許可、乗員上陸の許可、緊急上陸の許可、遭難による上陸の許可又は一時護のための上陸の許可を受けた者で、旅券又は当該許可書に記載された期間を経過して本邦に残留するもの

六の二 船舶観光上陸の許可を受けた者で、当該許可に係る指定旅客船が寄港する本邦の出入国港において下船した後当該出入国港から当該指定旅客船が出港するまでの間に帰船することなく逃亡したもの

六の三 第十四条の二第九項の規定により期間の指定を受けた者で、当該期間内に出国しないもの

六の四 第十六条第九項の規定により期間の指定を受けた者で、当該期間内に帰船し又は出国しないもの

 第二十二条の二第一項に規定する者で、同条第三項において準用する第二十条第三項本文の規定又は第二十二条の二第四項において準用する第二十二条第二項の規定による許可を受けないで、第二十二条の二第一項に規定する期間を経過して本邦に残留するもの

 第五十五条の三第一項の規定により出国命令を受けた者で、当該出国命令に係る出国期限を経過して本邦に残留するもの

 第五十五条の六の規定により出国命令を取り消された者

 第六十一条の二の二第一項若しくは第二項又は第六十一条の二の三の規定による許可を受けて在留する者で、第六十一条の二の七第一項(第一号又は第三号に係るものに限る。)の規定により難民の認定を取り消されたもの又は同条第二項(第一号又は第三号に係るものに限る。)の規定により補完的保護対象者の認定を取り消されたもの

第二十四条の二 法務大臣は、前条第三号の二の規定による認定をしようとするときは、外務大臣、警察庁長官、公安調査庁長官及び海上保安庁長官の意見を聴くものとする。

 外務大臣、警察庁長官、公安調査庁長官又は海上保安庁長官は、前条第三号の二の規定による認定に関し法務大臣に意見を述べることができる。

(2)退去強制の対象者(要約)

入管法24条の中で、「退去強制の対象者」と関係のあるところだけピックアップし、まとめた主な退去強制事由

区分  退去強制事由根拠条文            詳細・具体例
1不法入国者1号
2号
上陸許可を受けずに日本に入国した者
密入国、パスポートを偽造しての入国、旅券のすり替えたものなど
2在留資格を取り消された人2号の2在留取消制度により在留資格を取り消された者(入管法22条の4)に該当する者
 代表例:偽り、不正の手段により在留資格を得た者など
3不法在留者2号の3入管法22条の4の規定により、在留資格を取り消された人が、なお、国に帰らないで居座った場合など
4偽変造虚偽文書行使等3号在留資格認定証明書、上陸許可の証印、上陸特別許可、公文書などを偽造した者
不法就労助長行為、教唆、幇助3号の4不法就労をさせた人、あっせんした人、幇助者など
在留カード等の偽変造等の行為3号の5使う目的で、在留カードの偽造、変造した者
(教唆者又は幇助者も含まれる)
(専従)資格外活動違反者4号イ在留資格外の活動を許可を得ることなく、フルタイムで働いた者
不法残留者4号ロ在留期間の更新又は変更を受けないで在留が切れて、日本にオーバーステイする者
麻薬関連法違反者4号チ麻薬、覚せい剤等に係る違反により有罪の判決を受けた者
101年以上の刑法違反者4号り一年を超える懲役若しくは禁錮に処せられた者。(執行猶予含む
11売春関係の犯罪者4号ヌ売春、周旋、勧誘、その場所の提供その他売春に直接に関係がある業務に従事する者
12届出違反者4号の4中長期在留者で、虚偽の届出など罪により懲役に処せられたもの
13退去命令違反者5号の2退去を命ぜられた者で、遅滞なく日本から退去しない
14通貨上陸許可、乗員上陸許可後の不法残留者5号の2~7条通貨上陸許可、乗員上陸許可後の不法残留者、在留資格取得を得ずに60日経過後の赤ちゃんなど
15出国命令違反後の
不法残留者
8条出国命令の対象者が出国命令期間まで出国しなかった場合
16難民認定が取り消されたもの10号不正の手段で、難民認定を受けた者
その他、テロリスト、あらゆる刑法違反者などがある。

だいたいのイメージがわいたところで、退去強制事由である入管法24条に該当する人は、退去強制(強制送還)の対象になります。以下、退去強制の流れについて説明します。

4.退去強制の流れ・在留特別許可

次の流れは、日本で、麻薬取締法で(執行猶予つきの)有罪判決になった日本人配偶者の在留資格を持っている外国人妻「以下、Aさん」を例に退去強制・在留特別許可の流れについて説明したいと思います。

麻薬がらみの犯罪は、有罪判決になった時点で、罰金刑であっても永久に日本上陸拒否になります。「Aさんのご夫婦」は日本で引き続き、結婚生活を希望する場合は、「在留特別許可」を目指すことになります。

この例だと、まず、摘発されたら、警察・検察の取り調べ→起訴→裁判→有罪判決→入管からの呼び出し→出頭になります。

STEP
入管に出頭
本件での出頭

摘発され、刑罰を受けた後の出頭なので、出国命令での出頭(自主とほぼ同じ意味)とは違い、刑法の出頭の性質があります。(入管の呼び出しによる出頭)

出頭時に選択肢

出頭時には、退去強制に従い、そのまま帰国するか、在留特別許可を求めるか、選択することになります。仮にここで「在留特別許可」の選択することなく、そのまま帰国する道を選んだら、後に「特別審理官の口頭審理」などを経ずにそのまま「退去強制令書発付」⇒「退去強制令書に基づく収容」⇒「(強制)送還」の流れになります。

ただ、上記「Aさん」の場合は、選択しとして、「在留特別許可」の一択しかないと思います。

在留特別許可の性質

一般的には、在留特別許可申請といいますが、厳密に言えば、在留特別許可は申請するものではありません。あくまでも、「退去強制」の手続きにつき、違反調査の一環で行われる、「違反者に弁明の機会」を与える手続きに過ぎません。

すなわち、違反者側が、「私は、罪を犯しましたが、日本にいる特別な理由があります」とお願いする、「請願」に近いものです。

従いまして、在留特別許可は、法務大臣の裁量が極めて大きいので、仮に「Aさん」の案件が入管が公表した在留特別許可のガイドラインと酷似していても、許可になるようなものではなく、また、在留特別許可が下りなくても、その理由をもって違反者側が、何かの救済措置を求めることはできない性質を有しています。

STEP
入国警備官の違反調査
この違反調査において、「在留特別許可」をお願いする場合は、以下の書類を準備する必要があります。
  • 申述書
  • 陳述書
  • 裁判関係書類
  • 夫婦の実体性を立証する資料(同居地写真、夫婦のSNS記録、夫婦の交流を立証する資料なら何でも)
  • 過去の在留歴の立証する資料
  • 周りの人の嘆願書
  • 本人の反省文
  • 身元保証書
  • 配偶者の履歴書
  • 夫婦の収入の立証資料などです。
申述書・陳述書の内容
申述書の記載内容

入国目的、違反事実、違反内容、違反理由、入国歴、結婚の経緯、同居の有無、在日家族のリスト、海外親族のリスト、身元保証人の情報、本人の学歴、夫婦の勤務先の情報を丁寧かつ正直に記載する必要があります。

陳述書の記載内容

決まった体裁はないですが、陳述書を書く目的は、在留特別許可を得ることです。
ここで、ポイントになるのは、Aさん夫婦の婚姻の実体性、Aさん夫婦の収入、Aさんが犯した犯罪を十分に理解し、反省しているのか、再発防止策としては何があるのか、本人の日本での定着性などを項目を分けて、丁寧に記載する必要があります。

STEP
収容令書による収容
退去強制の手続は、「収容隷書に基づく収容」が原則

しかし、日本人の配偶者や(特別)永住者の配偶者の場合、収監されず、家で入管の呼び出しに応じて、違反調査を受ける場合が多いです。

本件は、たまたま、日本人の配偶者の在留資格なので「在宅案件」になっただけで、就労系の在留資格は基本「収容案件」になる可能性が高いです。

収容案件の場合

以下の違反調査から送還or在留特別許可まで入管の収容施設で違反調査を受けることになります。

在宅案件の場合

以下の違反調査から送還or在留特別許可まで入管の呼び出しに応じて、違反調査を受けることになります。

Jinせんせい

余談ですが、ここは、裁判所の力を借りずに、行政の判断で、外国人の身柄を拘束(入管法第39条第1項)するのは、めちゃくちゃ賛否両論のあるところです。さらに、同法第52条第5項において、「送還可能のときまで」収容できるとされており、理論上は、収容者が本国に帰国するのを拒みつづけたら、永遠に収容できることなので、これを何とかして欲しいですね。この問題は、余裕があったら、一つのテーマでブログ記事を書きたいと思います。

STEP
入国審査官の違反審査
(入国審査官による)「退去強制対象者に該当と認定」
Jinせんせい

ここで、ほぼ100%正式に「退去強制対象者に該当と認定」されます。というか、step2の「入国警備官の違反調査」で事実上、「退去強制対象者に該当」と認定されます。
かりに、「退去強制対象者に該当と認定」とされなかったら、今まで罪のない人間を誤って入管の収容施設に身柄を拘束したことになります。

「退去強制対象者に該当と認定」された意味

反対解釈で、在留特別許可がもらえなかったことを意味します。通常、段階で在留特別許可はまず、おりません。ここで、「退去強制対象者に該当と認定」に対する「異議あり」として、次のステップである「特別審査官の口頭審理」を求めることになります。

STEP
特別審理官の口頭審理

ここでは、口頭審理が行われますが、特別審理官は、(入国審査官による)「退去強制対象者に該当と認定」に誤りがあるか否かで判断するだけです。誤りがないと判断すれば、特別審理官の認定をそのまま認容することになります。

A氏夫婦は、当然ここも「意義あり」と「意義の申出」をすることになります。そうすると、最終的には、法務大臣が在留特別を与えるべきか、どうか判断することになります。

STEP
法務大臣の裁決

最終的には、法務大臣の判断で、Aさん夫婦の意義の申出が受け入れたら、「在留特別許可」がおりうことになります。反対に意義の申出に「理由なし」となったら、「退去強制令書発付」後、「強制送還」の流れになります。

在留特別許可がなされる場合は、この段階で、許可がおりるのが一般的です。

在留特別許可が得られるまでの期間とポイント
仮に、在留特別許可がおりるまでの期間ですが、犯罪の種類、犯罪の内容、量刑によって違いますが、私が担当した案件は、だいたい1年前後でした。

この間、Aさんは、違反者の身分なので、就労することはできず、不安的な状況になります。従って、Aさんの夫が生計を維持しなければいけないし、Aさんのサポートや夫婦二人で再発防止のサポートをしなければいけません。

以上、在留特別許可案件は、普通の配偶者案件よりも、より夫婦の関係性と収入要件が問われる申請と言えます。

STEP
退去強制令書発付(入管法51条)

(退去強制令書の方式)
第五十一条 第四十七条第五項、第四十八条第九項若しくは第四十九条第六項の規定により、又は第六十三条第一項の規定に基づく退去強制の手続において発付される退去強制令書には、退去強制を受ける者の氏名、年齢及び国籍、退去強制の理由、送還先、発付年月日その他法務省令で定める事項を記載し、かつ、主任審査官がこれに記名押印しなければならない。

退去強制令書には、以下の内容が記載されています。

  • 退去強制令書の番号
  • 退去強制発令発行年月日
  • 退去強制令書、 発令機関
  • 被退去強制者の情報(氏名、生年月日、国籍、旅券番号、その他の本人確認に必要な事項)
  • 退去強制事由(入管法第52条第1項各号に規定する事由を具体的に記載)
  • 送還先(送還先は、違反者の国籍又は市民権の属する国が原則)など
  • 退去期限(被退去強制者が自費で出国しなければならない期限)
  • 主任審査官の記名押印

送還(方法)については、自費出国が原則になります。

送還先の規定、送還方法、自費出国についての詳細な内容は、こちらのウェブサイトをご参照ください。

最後の頼みのつな再審情願

これは、「退去強制令書発付」前後のタイミングで、Aさん夫婦に赤ちゃんが生まれた場合、今までのAさんの状況が変わった場合、理論上、「請願」(情願)することができますが、行政側で、この情願に基づいて、再審査しなければない義務はないので、本当に、夫婦に子供が生まれたケースの他、「情願」できる事情ってなかなかないと思います。

それよりも、在留特別許可をお願いするとき、最善を尽くして書類を作った方が特別許可の可能性を少しでも上げる近道だと思います。

STEP
強制送還

上記「STEP7」において、退去(送還)期限を決め、その日までは自費で出国することになりますが、このとき、
違反者が、自費で、期限内に出国すれば、退去強制手続きが完了します。

なお、退去強制になった場合、退去強制になった罪により、上陸拒否期間が決まります。

Jinせんせい

以上が、退去強制に流れでした。次回は、「在留特別許可」についてブログ記事を書きたいと思います。

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