(子供ビザ、離婚定住など)定住者ビザを徹底解説!

この記事は以下の方の悩みに答えるために書きました。
  • 定住者にビザについて知りたい
  • 定住者と結婚したけど、ビザは取得できるのか
  • 母国にいる子供を日本に呼び寄せたい
  • 日本人と離婚後、引き続き、日本で生活したい
  • 日本人と死別後、引き続き、日本で生活したい
  • 日本人と離婚したけど、二人の間で生まれた子供(日本人)を日本で扶養したい
  • その他、上記の事例には当てはまらないけど、日本に長く生活していた方が定住者ビザを取得したい

この記事を書いた人

行政書士 Jin JaeHo(韓国人の行政書士)一児のパパ
2014年8月 行政書士登録
入管業務が専門 (特に、配偶者ビザ、定住者ビザ、永住ビザが得意)
不許可案件、リカバリー案件に豊富な実績あり。

皆さんは、「定住者」ビザをご存知でしょうか?

数年前のことでした。当時、私が勤めていた事務所にAさん(男性)が「技術・人文知識・国際業務」の在留資格から「経営・管理ビザ」へ在留資格を変更したいとの相談がありました。

面談のとき、話を聞いたら、Aさんの妻は、定住者で、しかも、当職が定住者への変更申請をサポートした方でした。

そこで、当職は、急遽、経営・管理ビザへの変更申請の面談をやめて、Aさんに「Aさんは、定住者と結婚したので別に経営・管理ビザを取らなくても、定住者に在留資格を変更すれば、会社員でも自営業でも自由に働けますよ」「色んな意味で、定住者ビザへ変更された方がいいですよ」と助言したところ、Aさんは、「本当ですか?」と驚き、「実は、他の行政書士事務所で経営・管理ビザの相談をして、先生との相談が3回目ですけど、誰も定住者ビザへ変更できるとは言いませんでした」と言われたことがありました。

他の事務所が定住者の知識がないとは思えないですが、他の事務所は、おそらく、Aさんが経営・管理ビザ申請をしたいと言ったので、それに焦点を合わせたとは思いますが、一般の方は、定住者ビザについてあまり知らない人がほとんどだと思います。

さって、この記事では、定住者の対象(定住者とは何か、「資格該当性」)を中心に詳しく解説します。また、個別の定住者の詳細な審査要件は、定住者別に分けてブログ記事を書く予定です。

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この記事でわかること

1.定住者ビザとは

定住者を、一言でいえば、日本に定着性が強い人として、法務大臣の告示により、(日本で生活できる)地位を認められた人を指します。これを法務大臣から告示を受けた意味で、「告示定住」(定住告示者)といいます。また、 日本での定着性を特別に配慮し、定住者として地位を認める告示外定住者」もあります。

永住の在留資格を知っている方は、多いですが、定住者の在留資格を知っている方は少ないと思いますので。ここで簡単に永住者や定住者などの身分系の在留資格を簡単に整理したいと思います。

就労制限などの
活動制限の有無
在留期間更新の有無配偶者と離婚した場合、
単独で在留資格を更新
できるかの有無
 日本人の配偶者
永住者の配偶者
定住者
永住者

※5号定住は例外、5号定住者は、定住者である配偶者と離婚すると、資格該当性がなくなるので、定住者5号での在留期間更新はできません。

以上、定住者は、在留資格更新があるものの、就労制限などはなく、自由度が高い在留資格といえます。なお。定住者の場合は、在留状況、収入などにより在留期間が決まります。

それでは、定住者告示には何があるか確認しましょう。

2.告示定住者(ビザ)の概要

定住者の種類は、先ほど言った通り、告示定住者と告示外定住者があります。
告示定住者は、7種類、告示外定住は、法律の明文はなく、(出入国在留管理庁の運用によって、認められている在留資格で)一般的な類型は、4種類ほど存在します。

以下、告示定住者から説明したいと思いますが、法令の構造が煩雑なところがあるので、まずは、以下の図で、どんな人が日本において、告示定住者になるのか、そのイメージを掴んで欲しいです。

定住者告示対象者
1号難民
2号削除
3号日系の2世、3世
4号
5号日本人の実子(日本人の父から認知された外国人)の配偶者や定住者の配偶者
6号日本人、永住者、特別永住者、定住者などの子供
7号日本人、永住者、特別永住者、定住者などの6歳未満の普通養子
8号(戦後)中国に残った、中国残留日本人と身分関係などがある者

告示定住者区分をおおざっぱに分けると以下のとおりになります。
①難民
②日本人と身分関係などがある者(定住者3号4号8号)
③定住者の配偶者など(5号)
④日本人、永住者、特別永住者、定住者などの子供など(6号、7号)

「難民」を除く、一般的な告示定住ビザは、日系2世・3世のためのビザ、定住者の配偶者などを呼ぶビザ、子供を呼ぶビザの3つに分けることができます。

定住者ビザで一番、数が多いのは、定住者6号(子供を日本に呼び寄せるビザ)です。なので、一般の方は、定住者の在留資格(ビザ)を「子供を呼ぶビザ」ともよく言っています。
 

この記事を読んでいる方で、ただ単に定住者の在留資格を簡単に確認したい方は、以下の告示定住者(詳細)のところは飛ばして、告示外定住者の概要だけ読めばいいと思います。

3.告示定住(者)

1号定住者

対象になる者(資格該当性)

(第三国定住)難民

具体的な例:海外の難民キャンプに一時的に滞在しているミャンマー難民などで、日本が受け入れを決めた者

資格該当性について、詳しいことが知りたい方は、下の記事をご参照ください。

「第三国定住難民」のについて(ここは、興味のある方のみ読んでください)

「第三国定住難民」とは、インド、インドネシアなどの20か国の難民キャンプ等で一時的な庇護(ひご)を受けている難民を、その他の国(第三国)が新たに受け入れ定住させるもので、日本は、2008年12月の閣議決定で、この受け入れに同意をしています。

具体的には、第三国で滞在している難民の内、国際連合難民高等弁務官事務所が国際的な保護の必要なものと認め、日本に受け入れを要請した難民を日本の入管法に基づいて受け入れています。

審査については、主な生計維持者の収入と入管法の退去強制事由に該当しない限り、許可されるものとされ、「第三国定住難民」として決定された場合の在留期間は、5年で、更新も可能です。

日本は、ミャンマー難民 で国内紛争が起きた後、2013年にタイやマレーシアへ逃れた難民をこの「第三国定住者難民」として受け入れは始めてました。直近は、2022年は35名、2023年度前期に21名を受け入れ、今まで、合計で250名を受け入れています。

もっと詳しい情報が知りたい方は、こちらのウェブサイトをご参照ください。

2号定住者

2号定住は、削除されて、現在はありません。

3号定住者


対象になる者(資格該当性)

日本人の子として出生した者の実子で、素行が善良である者

3号定住(日本人の子として出生した者の実子)の種類は、以下の3つです。

具体的な例
(ア)日本人の孫(3世)
(イ)元日本人()の日本国籍離脱後の実子(2世) 
   ()元日本人とは、日本人の子として出生した者をいいます。
(ウ)元日本人の日本国籍離脱前の実子の実子である孫(3世)
例えば、孫から見れば、おじいさんとおばあさんが父を生んだ時、おじいさんがまだ、日本国籍を有していた場合。

なお、(イ)の事例で、元日本人が日本国籍を有していた時に生まれた実子は、「日本人の配偶者等」の在留資格になします。

4号定住者

対象になる者(資格該当性)

元日本人の国籍離脱後の実子の実子 (孫)(前3号又は第8号に該当する者を除く。)であって、
素行が善良であるもの

元日本人の国籍離脱後の実子の実子 (孫)の具体的な例
孫から見れば、おじいさんとおばあさんがお父さんを生んだ時、おじいさんは、もう既に日本国籍ではないとき

5号定住者

5号定住者の種類は、以下の3つです。

対象になる者(資格該当性)

(イ)「日本人の配偶者等」の在留資格持って在留する者の配偶者
(ロ)「日系2世、3世以外の定住者で在留期間が1年以上の者」の配偶者
(ハ)「日系2世、3世の定住者で、在留期間が1年以上者」の配偶者

(イ)の配偶者の具体例
配偶者からみれば、夫が日本人の父から認知された人(国籍は外国人)を指します。
(ロ)の配偶者の具体例
定住者告示の3号、4号に該当する定住者以外の定住者と結婚した配偶者を指します。
(ハ)の配偶者の具体例
定住者告示の3号、4号に該当する定住者と結婚した配偶者を指します。

6号定住者

6号定住者の種類は、以下の4つです。

 対象になる者(資格該当性)

(イ) 日本人()、永住者、特別永住者の扶養を受ける未成年で未婚の実子
)帰化して日本人になった者を指します。(もともとの日本人の実子なら、定住者ではなく、日本人の配偶者等の在留資格になるためであります。)

(ロ) 「日系2世、3世(上記の3号4号定住者)以外の定住者で在留期間が1年以上の者」の扶養を受ける未成年で未婚の実子

(ハ) 「日系2世、3世の定住者で、在留期間が1年以上者」 の扶養を受ける未成年で未婚の実子 で素行が善良であるもの

(二) 日本人、永住者、特別永住在留期間が1年以上定住者の 扶養を受ける未成年で未婚の実子

6号定住は、対象になる者(資格該当性)がイメージしやすいので、具体例は省略します。

6号の(ハ)は、日系3世の未婚の実子(日系4世)を定住者として受け入れことも可能ですが、法務省は、これとは別枠で18歳~35歳以下の日系4世の対象に「日系4世受入制度」を設けています。

「日系4世受入制度」に興味のある方は、以下の法務省のウェブサイトをご参照ください

6号定住で多いのは、6号の(二)です。いわゆる「連れ子」定住がこれに該当します。

7号定住者

6号定住者の種類は、(定住者1号~4号を除く)以下の4者の「6歳未満の養子」です。

(イ) 日本人
(ロ) 永住者
(ハ)在留期間が1年以上の定住者
(二) 特別永住者

「6歳未満の養子」の外国人の子供(以下、「養子」)を養子縁組(以下、「国際養子縁組」)するには、ビザ申請をする前に「法の適用に関する通則法」が適用され、原則、養子の母国においての「養子縁組の要件」を満たすことと、日本において、「養子縁組要件」を満たす必要があります。多くの場合、両国での裁判所の許可が必要です。(日本の場合、自己又は配偶者の直系卑属(子や孫等)を養子とする場合は,家庭裁判所の許可は必要ありません)

普通養子縁組と特別養子縁組の違いが分からない方のみ読んでください。

普通養子縁組も特別養子縁組も、法律上の親子関係を生じさせる点では同じですが、「特別養子縁組」は本当の親子関係を創設するために作られた制度です。両方の違いは以下の通りです。

  1. 普通養子縁組
    • 成立条件
      未成年者を養子縁組する場合は、家庭裁判所の許可が必要です。自己又は配偶者の直系卑属(子や孫等)を養子とする場合は,家庭裁判所の許可は必要ありません。
      成年の普通養子縁組は養親と養子が合意し、養子縁組届を提出するだけで成立します。
      ・簡易な手続きで、家庭裁判所などでの審判は不要です。
    • 親子関係
      実親との親子関係は継続されるので、親子関係が両方存在することになります。
      養親と実親の両方が扶養義務を負います。
      養親と実親の両方を相続する権利があります。
    • 戸籍
      養親として戸籍に入り、養親の氏(名字)になります。また、実の親の名前も記載されます。
  2. 特別養子縁組
    • 成立条件
      家庭裁判所の審判が必要です。
      家庭裁判所の許可を得るために一定の条件を満たす必要があります。
    • 親子関係
      実親との親子関係は断絶されます。
      養親だけが法律上の親になります。
      養親のみ相続する権利があります。

    • 戸籍
      子どもの戸籍から実親の名前は消え、養親との養子との続柄は「長女」「長安」などと記載されるため、戸籍を確認しても実の親子であることが確認できます。

また、国際養子縁組行う手続きについては、養子の母国の裁判所などの許可が必要であり、それには、費用と時間がかかります。以下は、国際養子縁組の仕組み、関連法律、法の適用に関する通則法、実際、日本で、国際養子縁組の手続きができる団体(社会福祉法人 日本国際社会事業団)についての触れます。本題から少し離れる内容なので、興味のある方のみご確認ください。

国際養子縁組について

国際養子縁組については、二つの法律を考慮する必要があります。

一つは目、「ハーグ国際養子縁組条約」(1993年)
「ハーグ条約」につき、日本は、2000年6月22日に批准しています。これを受け、国内法では、「国際養子縁組あっせん法」民間あっせん機関による養子縁組のあっせんに係る児童の保護等に関する法律)が整備されています。

二つ目は、法の適用に関する通則法
「法の適用に関する通則法」を端的にいいますと、国際的な法的問題について、どの国の法律を適用するかの取り決めに関する法律です。以下、同法の概要です。

法の適用に関する通則法の概要

目的
国際的な取引や関係が増加する中、どの国の法律が適用されるのかを定め、紛争の解決を円滑化し、法の予測可能性を確保することを目的としています。

基本的なルール
当事者自治の原則:当事者が契約書等で準拠法を選択することができる(第9条)。
・行為地法の原則:当事者が準拠法を選択していない場合は、法律行為の行われた場所の法が適用される(第8条)。
・本国法の原則:行為能力、後見、婚姻・離婚、相続などは、個人の本国法が適用される(第4条、第5条、第24条、第36条等)。

その他
・公序良俗反抵触規定:外国法の適用が公序良俗に反する場合は、適用されない(第42条)。
・施行日:2016年6月1日(ただし、施行日前に生じた事項については、従前の例による。第2条、第3条)。

ここで、法の適用に関する通則法における、国際養子縁組の規定を確認してみましょう。

法の適用に関する通則法

第三十一条 (養子縁組) 
養子縁組は、縁組の当時における養親となるべき者の本国法による。この場合において、養子となるべき者の本国法によればその者若しくは第三者の承諾若しくは同意又は公的機関の許可その他の処分があることが養子縁組の成立の要件であるときは、その要件をも備えなければならない。

2  養子とその実方の血族との親族関係の終了及び離縁は、前項前段の規定により適用すべき法による。

第三十二条(親子間の法律関係)
 親子間の法律関係は、子の本国法が父又は母の本国法(父母の一方が死亡し、又は知れない場合にあっては、他の一方の本国法)と同一である場合には子の本国法により、その他の場合には子の常居所地法による。

日本で国際養子縁組をサポートする団体は、ISSJという団体です。興味のある方は、ご確認ください。

8号定住者

8号定住者を端的にいいますと、戦後(1945年8月15日以降)中国に残った日本人(「以下、「中国残留日本人」)と身分関係を有する人です。まずは、「中国残留日本人」は、誰のことをいうのかについてです。以下の説明は、法令の明文の内容はそのままで、文章だけ読みやすいように多少アレンジしています。

中国残留日本人の類型

(イ)第二次世界大戦中、中国に居住している日本人で、戦後、 日本に帰ることなく、引き続き中国に居住している者

(ロ) 前記イを両親として1945年9月3日以後中国の地域で出生し,引き続き中国に居住している者

(ハ) 中国残留邦人等の円滑な帰国の促進並びに永住帰国した中国残留邦人等及び特定配偶者の自立の支援に関する法律施行規則(平成6年厚生省令第63号)第1 条第1号若しくは第2号又は第2条第1号若しくは第2号に該当する者

(ニ) 中国残留邦人等の円滑な帰国の促進並びに永住帰国した中国残留邦人等及び特定配偶者の自立の支援に関する法律(平成6年法律第30号)第2条第1項に規定する中国残留邦人等であって同条第4項に規定する永住帰国により本邦に在留する者(以下「永住帰国中国残留邦人等」という。)と本邦で生活を共にするために本邦に入国する当該永住帰国中国残留邦人等の親族であって次のいずれかに該当するもの

8号(ロ)の対象者(資格該当性)

(ⅰ)中国残留日本人の 配偶者

(ⅱ)20歳未満の実子(配偶者のないものに限る。)

(ⅲ) 日常生活又は社会生活に相当程度の障害がある実子(配偶者のないものに限る。)
   扶養要件あり。

(ⅳ)残留日本人の実子であって当該永住帰国中国残留日本人等(55歳以上であるもの又は日常生活若しくは社会生活に相当程度の障害があるものに限る。

(ⅴ)④の配偶者

(ホ) 残留日本人と6歳未満から同居した者(養子、婚外子など)で残留日本人から扶養を受けたもの

「永住帰国中国残留邦人等」を支援する法律の概要(以下は、興味のある方のみご確認ください。)

1.永住帰国中国残留邦人等とは、第二次世界大戦後に中国に残留し、戦後の混乱の中で日本への帰国ができなかった人、及びその子孫です。主に以下の2つのグループに分けられます。

中国残留邦人: 幼い時期に親と離別し、中国の養父母に育てられた人や生活手段が中国しかなかった人
・樺太等残留邦人: 日ソ開戦時に樺太(サハリン)や千島列島に住んでいた人

2.中国残留邦人等の現状

2023年12月末現在、厚生労働省によると、永住帰国した中国残留邦人等約5,600人家族を含めると約1万2,000人となっています。年齢層は高く、高齢化が進んでいます。

帰国後は、日本語や日本文化への適応、生活習慣の違い、雇用や医療への不安など、様々な困難に直面しています。そこで、日本政府や地方自治体、民間団体などが協力して、生活支援や自立支援のための取り組みを行っています。

3.中国残留邦人等への支援

中国残留邦人等への支援には、以下のようなものがあります。

生活支援: 生活費や医療費の助成、住宅のあっせん、日本語教育、生活相談など
・自立支援: 職業訓練、就職支援、起業支援、通訳のあっせん、文化交流事業など
老齢基礎年金の満額支給: 2008年から支給開始
生活支援給付金: 2010年から支給開始
・地域社会における生活支援: 地域住民との交流事業、ボランティア活動への参加促進など

これらの支援は、中国残留邦人等が日本社会に円滑に定着し、自立した生活を送れるようするために設けられています。

以上が、告示定住者の1号から8号までになります。

4.告示外定住者

上記の告示定住者(1号~8号)は、法務大臣の告示により定められた者ですが、告示定住者は、法務省令で定められていない個別・特別な事情により、在留資格「定住者」が付与される外国人です

(1)難民定住

対象になる者(資格該当性)
法務大臣より、難民として認められたもの

日本に入国した後、自分の意思で難民認定をし、難民認定を受けた者になります。
告示定住者1号の(第三国定住)難民とは異なります。

告示外定住の「難民」の定義は、難民条約にその定義があります。

「人種、宗教、国籍、政治的意見または特定の社会集団の構成員であることまたは政治的意見を理由に迫害を受けるおそれがあるという十分に理由のある恐怖を有するために、国籍国の外にいる者であって、その国籍国の保護を受けられない者またはそのような恐怖を有するためにその国籍国の保護を受けることを望まない者」

(難民条約第1条)

「難民」の定義は、上記、難民条約のとおりで、該当される範囲が狭いこと、また、立証することが非常に困難である問題はあります。

一方、具体的にどんな人が難民認定となったのか、具体的な事例を入管の方で発表しているので興味のある方は、こちらのpdf読んでください。

また、難民条約に当てはまらない「難民」ではあるが、人道的な理由で難民と認定されるが補完的保護(制度)です。(補完的保護対象者)の代表例が、戦争や紛争です。直近は、ウクライナの戦争から日本に保護を求められた方々(以下、「ウクライナ避難民」)です。

一般の方は、「ウクライナ避難民」のことを難民である認識が強いと思いますが、厳密にいうと難民条約での難民ではないため、在留資格が許可されたとしても「定住者」ではなく、「特定活動」の在留資格が付与されます。在留資格の種類が違うものの「ウクライナ避難民」の方は、自治体などで、「難民定住者」に相当する支援が受けられます。似たような事例で、ミャンマーのロヒンギャ族、シリア内戦での「避難民」などがこれに該当します。

むしろ、「難民」には該当しないが、補完的保護対象者として許可され、「特定活動」の在留資格が付与された人の方が多いです。

以下、最近の難民認定申請状況や難民認定申請の許可率などです。ただ、この内容は、本題から多少、外れる内容なので、興味のある方のみ読んでください。

入管が発表した、直近2年分(令和4年、令和5年)における難民認定者数等について

令和4年における難民認定者数等について(令和5年3月24日、発表資料)

・難民認定申請者数は3,772人で、前年に比べ1,359人(約56%)増加。また、審査請求数は4,461人で、前年に比べ415人(約10%)増加。

・難民認定手続の結果、我が国での在留を認めた外国人は1,962人。その内訳は、難民と認定した外国人が202人、難民とは認定しなかったものの人道的な配慮を理由に在留を認めた外国人が1,760人。

令和5年における難民認定者数等について(令和6年3月26日、発表資料)

・難民認定申請者数は13,823人で、前年に比べ10,051人(約266%)増加。また、難民の認定をしない処分に対する審査請求数は5,247人で、前年に比べ786人(約18%)増加。

・補完的保護対象者認定申請者数は678人。また、補完的保護対象者の認定をしない処分に対する審査請求数は0人。(注1)

・難民認定手続、補完的保護対象者認定手続及び審査請求(以下「難民認定等手続」という。)の結果、我が国での在留を認めた外国人は1,310人。その内訳は、難民と認定した外国人が303人、難民とは認定しなかったものの補完的保護対象者と認定した外国人が2人(注2)、難民及び補完的保護対象者のいずれにも認定しなかったものの人道的な配慮を理由に在留を認めた外国人が1,005人。

詳しい内容が気になる方は、以下のリンク先でご確認ください。

令和6年の難民認定率を確認すると、上記のとおり、審査請求をした人が1,310人の中で、認定された人は、303人もいることに当職が一番驚いています。もちろん、これは、審査請求での数字なので、始めに(難民認定した当初)難民認定した数は、どのぐらいなのか、定かではないものの、驚きの数字であることは間違いありません。ちなみに、令和3年の難民認定率は、0.3%でした。

また、補完的保護対象者としての、認定申請の許可率も大幅に上がりました。ウクライナ避難民の方や紛争地域での避難民が多数を占めているとはいえ、2023年1月~3月までの補完的保護申請者数は1,023人で認定者数は1,005人で、認定率は98.3%というのは、なかなか見れない数字です。当職も行政書士になってから、難民認定率を毎年チェックしたりしますが、初めて見た数字でした。

以上が「難民定住者」についてでした。

(2)いわゆる「離婚定住」

離婚定住ビザとは、日本人の配偶者や永住者の配偶者などで在留していた外国人が、配偶者と離婚後も引き続き日本で生活したい場合に申請するもので、一般的には「離婚定住ビザ」と呼ばれています。ただ、この在留資格は、告示外定住であるため、「在留資格認定証明書交付申請」(新規ビザ取得するための申請)は出来ず、在留資格変更申請するしか道はありません。

「離婚定住」にかかわる定住者の累計は以下の3つです。
①日本人,永住者又は特別永住者である配偶者と離婚後引き続き日本に在留を希望 する者(以下、「離婚定住」)
②日本人,永住者又は特別永住者である配偶者が死亡した後引き続き日本に在留を 希望する者(以下、「死別定住」)
③日本人,永住者又は特別永住者との婚姻が事実上破綻し,引き続き日本に在留を希望する者(以下、「婚姻破綻定住」)

①②③いずれもその対象が、日本人、永住者、特別永住者の3者です。また、「離婚定住」「死別定住」「婚姻破綻定住」も日本での定着性がこの在留資格の本質なので、前の配偶者との婚姻期間が申請のポイントになります。また、生計維持要件なども審査対象にはなりますが、これは、外国人の状況によって比較的に緩やかに審査します。

また、「婚姻破綻定住」は、夫婦の婚姻関係破綻の原因が配偶者によるDVなどがその要件になっております。

さらに、(配偶者のDVなどによらず)ただ単に性格不一致で婚姻関係が破綻した場合は、そのまま「定住者」への在留資格は変更できず、離婚が確定してから「離婚定住」申請することになります。また、この場合、離婚する前に、「日本人の配偶者等」や「永住者の配偶者等」の在留資格の更新期間になったら更新が必要となり、このときは、必ず、入管に「現在、婚姻関係が破綻し、別居をしている事情などがあれば、その旨を正直に申告してください。」これによって、(前配偶者と一定の婚姻期間があることが前提になりますが)「離婚定住」への在留資格変更申請もスムーズになります。入管は、婚姻関係破綻後においても、事情を正直に言えば、「6か月」ではありますが、婚姻関係の決着が付くまで、更新してくれる可能性が極めて高いです。(当職の経験上、この場合、更新してくれないケースは、見たことはありません。)

(3)日本人の実子を扶養する定住者(日本人実子扶養定住)

日本人実子扶養定住は、例えば、日本人の配偶者で在留していた外国人妻が、日本人の夫離婚した場合、または、死別した場合において、前夫との間で、もうけた子供を扶養するための在留資格です。

日本人の「実子」とは、婚姻関係で生まれた子供ではなくても大丈夫です。つまり、認知した子供でも大丈夫です。さらに、認知により、父子関係が確立していれば、子供の国籍が外国であっても、ここでいう「日本人の実子」の対象になります。
ここは、一般の方は、もちろん、入管業務が浅い、先生も間違いやすいところです。

なお、日本人実子扶養定住は、「離婚定住」などと違い、日本における定着性はあまり関係ありません。日本人の実子の扶養がその目的であるためです。

ただし、日本人実子扶養定住の資格該当性は、「日本人の実子を監護・養育する者」となっているため、親権が外国人であることはもちろん、日本人実子との同居要件などが審査の対象になっております。


(4)補完的保護対象者認定申請で「特定活動」の在留資格を持って人を対象にした定住者

タイトルの通りですが、上記①の補完的保護対象者認定申請(難民認定申請)において、難民条約の「難民」には当てはまらないが、人道的な理由で「特定活動」の在留資格を持っている方は、その対象になります。以下、資格該当性です。

難民の認定をしない処分(以下「難民不認定処分」という。)後,特別な事情を考慮して在留資格「特定活動」により,1年の在留期間の決定を受けた者で,在留資格「定住者」への在留資格変更許可申請を行った者

この場合、以下のいずれかの要件が必要です。

① 入国後10年を経過していること。
② 在留特別許可又は在留資格変更許可により在留資格「特定活動」の決定を受けた後,3年を経過していること。

(5)その他、日本の定着性による定住者ビザ変更申請

①日本で小中高を卒業したもの

要件

  1. 日本の義務教育(小学校及び中学校)を修了していること
    ※中学校には夜間中学を含みます。
  2. 日本で高等学校等を卒業していること又は卒業見込みであること
    ※高等学校には定時制課程及び通信制課程を含みます。
  3. 入国後、引き続き「家族滞在」の在留資格をもって日本に在留していること
    ※ 「家族滞在」以外の在留資格で在留している方でも、「家族滞在」の在留資格該当性がある方は、本取扱いの対象となります。
  4. 入国時に18歳未満であること
  5. 就労先が決定(内定を含む。)していること
    ※当該就労先において、資格外活動許可の範囲(1週につき28時間)を超えて就労すること

なお、以下の場合は、定住者ビザまではいかなくても、「特定活動ビザ」取得が可能です。

  1. 日本で高等学校等を卒業していること又は卒業見込みであること
    ※ただし、高等学校等に編入している場合は、卒業に加えて日本語能力試験N2程度の日本語能力を有していることが必要。
  2. 扶養者が身元保証人として在留していること
  3. 入国時に18歳未満であること
  4. 就労先が決定(内定を含む。)していること
    ※当該就労先において、資格外活動許可の範囲(1週につき28時間)を超えて就労すること

②その他、個別に日本での定着性が認められる場合。

上記(1)~(5)以外にも、個別・特別な事情が認められる場合、告示外定住の在留資格が付与される場合があります。

当職の経験上、以下の案件において、定住者ビザの申請して許可になったことはあります。


①定住者(5号)から(告示外)定住者へ変更

私が担当した5号定住者の女性(以下、「Aさん」)は、定住者である夫と結婚して、離婚しました。
離婚定住で、その対象になるのは、日本人の配偶者、永住者の配偶者、特別永住者の配偶者になります。よって、定住者の配偶者(定住者5号)である「Aさん」は「離婚定住」の対象ではないので、「Aさん」が変更できる在留資格が見当たらない状態でした。

 しかし、「Aさん」には、離婚する前の(前夫)とのあいだで、子供が二人いて、長男は、5歳頃に日本に来て、次男は日本生まれ、日本育ちでした。二人とも日本の高校、中学校を在学していました。また、「Aさん」も日本に来て十数年が過ぎました。

 以上の状況から、入管には、子供の日本の在留状況、「Aさん」の「日本の定着性」について説明し、これらの立証資料を添付して、申請したところ、許可になったことがあります。

②家族滞在から(告示外)定住者へ変更

私が担当した家族滞在の女性(以下、「Bさん」)は、夫(以下、「Cさん」)が「技術・人文知識・国際業務」の在留資格でした。「Bさん」と「Cさん」の間には、小学校に通っている娘がいました。この状態で「Bさん」と「Cさん」が離婚しました。
離婚後、「Bさん」は、学歴がなかったため、就労ビザなどに変える余地もなく、かといって、「離婚定住」ビザにも当てはまらないため、変更できる在留資格が見当たらない状態でした。なお、「Bさん」は、上記(5)ー①で、事例のうち一つも当てはならない方でした

 しかし、「Bさん」は、上述のとおり、小学校に通っている娘がいて、上記「Aさん」と同様に、「Bさん」も日本に来て十数年が経っていました。
以上の状況から、入管には、「Aさん」と同様に「Bさん」子供の日本の在留状況、「Bさん」の日本の定着性について説明し、これらの立証資料を添付して、申請したところ、「Bさん」とその娘二人共に許可になったことがあります。

ただし、「個別に日本での定着性が認められる場合」において、定住者への変更は、の根拠がなる条文がなく、在留審査要領ですら何も書いてないところであり、審査要件が不透明である上に、日本での定着性の定義も抽象的であるため、同じような事案でも許可になるかというと、申請してみなければ何とも言えない申請類型です。

なお、「Aさん」と「Bさん」の共通点は、子供が日本の小中高校に通っていて、本人たちも日本に来て十数年経ったことでした。

以上、当職は、上記の事例で、実際に許可になった経験があるので、(留学や文化活動などそもそも日本の定着性が認められない在留資格を除き、)「家族滞在」「就労系の在留資格」などの在留資格であっても、日本の定着性が非常に強い場合は、告示外定住者へ変更できる可能性はあるので、自分が、日本の定着性が強いと思った方は、一度、個別にご相談ください。

5.まとめ

まとめ
  • 定住者ビザは、告示定住者と告示外定住者がある

    <告示定住者のまとめ>
  • 告示定住者は、1号から8号まであるが、2号が削除されたため7種類がある
  • 告示定住者をおおざっぱに分けると、「難民」を除いて、日系2世・3世のためのビザ、定住者の配偶者などを呼ぶビザ、子供を呼ぶビザの3つに分けることができる
  • 1号定住者の対象は、(第三国定住)難民である。
  • 3号と4号の対象者は、日系2世、3世などである。
  • 5号定住者の対象者は、定住者の配偶者などである。
  • 6号定住者の対象者は、(帰化した)日本人、永住者、特別永住者、在留期間が1年以上の定住者などである。
  • 7号定住者の対象者は、日本人、永住者、特別永住者、在留期間が1年以上の定住者の「6歳未満の養子」である。ただし、「国際養子縁組」をするには、「法の適用に関する通則法」が適用され、原則、養子の母国においての「養子縁組の要件」を満たすことと、日本において、「養子縁組要件」を満たす必要がある。
  • 8号定住者の対象者は中国残留日本人と身分関係を有している者などである。

    <告示外定住者のまとめ>
  • 告示外定住者は、法務省令で定められていない個別・特別な事情により、在留資格「定住者」が付与される外国人であり、以下の4つの類型に分けられる。
    ①難民 
    ②「離婚定住」
    ③「日本人実子扶養定住」
    ④補完的保護対象者での「特定活動」の在留資格を持って人を対象にした定住者
  • ①難民定住者は、日本において、難民認定申請をし、「難民」と認定された場合、与えられる在留資格である。
    また、難民条約の「難民」に当てはまらないが、戦争などの「避難民」などの人道的な理由で在留資格が付与される補完的保護制度場合がもっと多い。
  • ②「離婚定住」は、以下の3つの類型がある
    離婚後引き続き、日本に在留を希望 する者「離婚定住」
    ・配偶者が死亡した後引き続き日、本に在留を 希望する者「死別定住」
    ・婚姻が事実上破綻し,引き続き、日本に在留を希望する者「婚姻破綻定住」
  • ③「日本人実子扶養定住」での実子は、日本人の実子であれば、認知された子供でも子供の国籍が外国であっても、ここでいう「日本人の実子」の対象となる。また、「日本人の実子を監護・養育する者」となっているため、親権が外国人であることなどが必要である。
  • ④補完的保護対象者での「特定活動」の在留資格を持って人は、一定の期間(入国から10年、左記の「特定活動」の在留資格許可時から3年)が過ぎると、「定住者」への在留資格変更申請ができる。
  • その他、個別・特別な事情が認められる場合、告示外定住の在留資格が付与される場合があり、当職は、「定住者の配偶者」「家族滞在」などの在留資格から「定住者」へ在留資格変更許可申請をし、許可になった経験がある。
Jinせんせい

次回は、子供を呼び寄せることができる「6号定住」について
ブログ記事を書きます。


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