永住ビザ審査要件を徹底解説!(2024年度版)

この記事は以下の方におすすめ。
  • 永住申請の審査要件が知りたい方
  • 犯罪歴などがあり、永住申請をするかどうか迷っている方

この記事を書いた人

行政書士 Jin JaeHo(韓国人の行政書士)一児のパパ
2014年8月 開業
入管業務が専門 
不許可案件、リカバリー案件に豊富な実績あり。

日本で生活している(永住者ではない)外国人であれば、ビザ(在留資格)の期限が来ると、銀行やカード会社から新しい在留カードを送るように促す書類が来ると思います。近年は、金融機関はマネーロンダリングやテロ資金供与の防止のための規制が強化されているためであります。

こんな時、外国人なら「永住ビザをもっていれば、こんな思いをしないで済んだのに、、」と思うことありますよね?
永住申請は、このような在留期間更新などの面倒な手続きから解放されるなど、さまざまなメリットがあります。

なお、永住ビザとは、厳密にいいますと、「ビザ」ではなく、「永住」という「在留資格」です。ただ、一般的には、「永住ビザ」とよく呼ばれていますので、この記事でもその名称に従うことにします。

また、ブロブ記事の中に、「在留審査要領」というのがよく出てきますが、これは、ビザの諸申請において、入管の審査官拠り所(よりどころ)にするルールブックのようなものです。

この記事でわかること

1.永住申請のメリット

  • 事実上日本に永住できる
    永住ビザは、在留期間の制限がないため、一度取得すると日本に永住することができます。よって、日本でより安定した生活をすることができます。
  • 就労制限がない
    特に就労ビザの方が永住ビザを取得すると、就労制限がなくなり、違法な仕事ではない限り、どんな仕事でもできます。
  • 社会的な信用が高くなり、ビジネスしやすい
    銀行などの金融機関は、外国人に融資を行う場合、「永住者」であることを求めることが多く、「永住者」であれば、融資が通りやすく、住宅ローンを組んだり、ビジネスを展開するための事業融資を借りることに有利です。
  • 本人が永住者になったら、本人の家族も恩恵を受けます。
    永住者に家族がいる場合、通常、家族みんなで永住申請をすることが一般的ですが、仮に夫が先に日本に来て永住者になったのち、妻や子供を日本に呼び寄せる時には、妻と子供も「永住者の配偶者等」になり、就労制限などもないので、永住者である本人だけではなく、夫や子供も日本での生活の自由度があがります。

以上、永住ビザはメリットしかありません。

他方で、永住ビザのデメリットまでは言えないですが、「高度専門職ビザ」の方で、7歳未満の子供がいる方は、一度永住申請する際には、以下のことを考える必要があります。

高度専門職で、子供が7歳未満、一定の年収(800万円以上)であれば、本国の親を呼び寄せることができますが、永住者になると、上述のとおり、配偶者や子供は、呼び寄せることはできますが、親は呼び寄せることはできません。
(子供が7歳までという制限はありますが、)親を呼び寄せることができるのは、高度専門職ビザのみです。

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永住ビザの審査要件(法律上の要件)

以下の内容は、永住ビザ申請につき、永住許可に関するガイドライン(令和5年12月1日改訂、以下「ガイドライン」)を中心に解説します。入管が発表した「永住許可」のガイドラインは、こちらになります。この「ガイドライン」は、入管法第22条の内容をまとめたものになります。

また、このブログ記事は、「ガイドライン」で示した内容を「在留審査要領」や「関係法令」などを参照し、具体的な事例で解説しています。以下、できるだけ、根拠となる文言を<ガイドライン>や<在留審査要領>などに記入することにします。

2.素行が善良であること(以下、「素行要件」)

<ガイドライン>
法律を遵守し日常生活においても住民として社会的に非難されることのない生活を営んでいること。


「素行要件」は、さらに以下の2つに類型に分けることができます。

(1)日本の法律を遵守すること

在留審査要領では、入管法において、日本の法律を遵守しないものとして以下の2つの類型を具多的な例で示しています。

<在留審査要領>
(ア)日本国の法令に違反して,懲役,禁錮又は罰金に処せられたことがある者。
(イ)少年法による保護処分(少年法第24条第1項第1号又は第3号)が継続中の者。

まず、①を説明する前に、前提知識として知っておけば損はないことを最初に伝えておきます。

日本の刑罰の種類は、思い順で、死刑>懲役>禁固>罰金>拘留>科料の順になります。これらの6種類の刑罰のうち、死刑、懲役、禁錮を主刑、罰金、拘留、科料を付加刑と呼びます。

(ア)日本国の法令に違反して,懲役,禁錮又は罰金に処せられたことがある者。

(ア)の「日本国の法令」は、刑法だけではなく、入管法などの行政法も含まれますが、処罰されるのは、 あくまでも「刑法」で処罰された場合を指します。反対解釈になりますが、行政法の処分は含まれません。ただし、以下のいずれかに該当する者である場合には、(ア)に該当しないものとして扱います。

  • 刑の消滅)の規定の適用を受ける者
  • 執行猶予の言渡しを受けた場合で当該執行猶予の言渡しを取り消されることなく当該執行猶予の期間を経過した者。
  • 復権により資格が回復した者


刑の消滅(以下、「刑法第34条の2による刑の消滅」)
禁錮以上の刑の執行を終わり又はその執行の免除を得た者が罰金以上の刑に処せられないで10年を経過したときは、刑の言渡しは、効力を失う。
罰金以下の刑の執行を終わり又はその執行の免除を得た者が罰金以上の刑に処せられないで5年を経過したときも,同様とする。
刑の免除の言渡しを受けた者が,その言渡しが確定した後,罰金以上の刑に処せられないで2年を経過したときは,刑の免除の言渡しは,効力を失う。
刑の免除の言渡しは、執行猶予付き判決の一種でありますが、刑罰が科されないことをいいます。

つまり、日本の法令を違反し、それが有罪判決となり、刑事手続きよって刑事罰で処罰されたら、上記の刑罰から刑の消滅するまでは、永住ビザ申請したところで、(思い切り素行要件に引っかかるので)不許可になるだけになります。逆に上記の期間が過ぎると、永住ビザ審査においても、その法令の違反のみを理由に不許可にすることはできないという意味になります。そして、その根拠は、刑法第34条の2にあります。

刑法第34条の2の内容を簡単に表でまとめてみました。

刑の種類経過期間備考
禁錮以上(死刑、懲役、禁固)の刑10年
罰金以下の刑5年
刑の免除の言渡し2年

以上、法律違反がある人は、その量刑による期間が過ぎるまでは、謹慎することにしましょう。

なお、法律違反をして、「刑法第34条の2による刑の消滅」になった方は、理論上は、刑が消滅した訳なので、永住申請において、その法律違反(犯罪)のことを申告しなくてもいいことになりそうです。

だが、しかし、(永住ビザ申請の)申請書において、「犯罪を理由とする処分を受けたことの有無(日本国外のおけるものを含む)」を記載する欄がおり、その質問の趣旨としては、「処罰されたことがあるか否か」の質問なので、ここは、仮に「刑法第34条の2による刑の消滅」になったとしても正直に記入しましょう。

くどいですが、これを正直に言って不許可になることはありません。むしろ、申請理由等で、もう一度反省し、再発防止に努めることをアピールした方が、入管審査官の心証にいい影響を与えるでしょう。

以下の内容は、永住ビザ申請につき、未成年者や未成年者の内に犯罪を犯した人が永住申請をする場合、関係があるところなので、該当する方のみご確認ください。

<在留審査要領>
(イ)少年法による保護処分(少年法第24条第1項第1号又は第3号)が継続中の者。

少年法(少年法第24条第1項第1号又は第3号)による保護処分の対象になる少年は以下のとおりです。

第1号(保護観察所の保護観察

保護処分の執行を受ける者で、心身に著しい障害がない、おおむね12歳から23歳未満の者

第3号(少年院に送致

保護処分の執行を受ける者で、心身に著しい障害がない、おおむね16歳から23歳未満の者

なお、保護観察の期間は、原則、20歳まで。

家庭裁判所は,審判を開始した事件(少年犯罪)につき,決定をも つて,次に掲げる保護処分をしなければならない。ただし,決定の時に14歳に満たない少年に係る事件については,特に必要と認める場合に限り,第3号の保護処分をすることができる。

保護処分の種類

①保護観察所の保護観察に付すること。
②略
③少年院に送致すること。

(2)日常生活においても住民として社会的に非難されることのない生活を営んでいること。

日常生活においても住民として社会的に非難される人は、「誰なのか」ということについて、「在留審査要領」では、以下の記載があります。

<在留審査要領>
「住民として社会的に非難されること」は、日常生活又は社会生活において,違法行為又は風紀を乱す行為を繰り返し行う等、素行善良と認められない特段の事情がある者

つまり、上記(ア)に該当しない軽微な法令違反を繰り返すことにより、地域社会の迷惑・風紀を乱す行動を繰り返す指します

具体例として、(交通違反の)反則金があります。
駐車違反などは、「罰金」ではなく、「反則金」なります。罰金と反則金の違いは以下の通りです。

罰金刑事処分の一種。刑事裁判で決まる刑罰であり、前科となる。
反則金行政処分の一種。反則金の納付により刑事責任を免れ前科とはならない。

参考として、罰金の違反内容と反則金の違反内容の比較

違反内容刑罰の種類刑罰の手続(根拠)切符の種類
スピード違反、
信号違反
 罰金 道路交通法違反 赤キップ(交通切符)
駐停車違反反則金交通反則通告制度青キップ(交通反則告知書)

つまり、駐車違反は、刑法でいう、「罰金」に該当しないため、駐車違反を複数回しただけでは、刑事手続で処罰されることもありません。しかし、反則金の支払いなどに応じなかった場合は、刑事罰手続きに移行します。また、「駐車違反」を繰り返すことにより決して軽視できないレベルまで達した場合は、刑事罰手続きに移行する場合もある他、日常生活又は社会生活において,違法行為又は風紀を乱す行為を繰り返し行うことに該当します。

また、深夜、大声で騒いだり、近所トラブルを起こし、警察沙汰になった場合などです。この場合、1回~2回など、注意で終わるかもしれませんが、これが繰り返すと、軽犯罪で処罰(拘留または科料)する場合もあり、これも日常生活又は社会生活において,違法行為又は風紀を乱す行為を繰り返し行うことに該当します。

2.独立の生計を営むに足りる資産又は技能を有すること
   (以下、「独立生計要件」)

端的にいいますと安定的に生活できる収入があるかどうかの判断になります。

<在留審査要領>
日常生活において公共の負担となっておらず,かつ,その者の職業又はその者の有する資産等から見て将来において安定した生活が見込まれることをいう。

すなわち,生活保護を受給しておらず,現在及び将来においていわゆる「自活」を することが可能と認められる必要がある。

また,独立生計要件は,必ずしも申請人自身が具備している必要はなく,申請人が配偶者等とともに構成する世帯単位で見た場合に安定した生活を続けることができると認められる場合には,これに適合するものとして扱う。

また、必ずしも収入のみで判断することなく、世帯単位において預貯金、不動産等の一定の資産を有している場合には、これに適合するものとして扱う。

Jinせんせい

以下は、当職の(個人的な)見解も含まれております。
参考までに読んでください。

「独立生計要件」でのポイントは以下の4つです。

①収入は、世帯収入として判断。
本人、もしくは、その配偶者の収入だけではなく、世帯単位で判断することです。

ただ、例えば、夫が「技術・人文知識・国際業務」での年収が250万円で、妻が「家族滞在」の在留資格で、(資格外活動許可を得て)アルバイトでの年収が100万円をある場合、この妻の100万円の収入をここでいう「独立生計要件」の収入にプラスすることは、出来ません。なぜなら、妻の在留資格は、「家族滞在」であり、「家族滞在」の資格該当性を端的にいいますと、「夫から扶養を受ける、日常的な活動」になっているためです。

一方、同じケースで日本人の配偶者が永住申請をする場合、その配偶者の収入は当然、「独立生計要件」の収入にプラスすることができます。当たり前ですが、二人共、就労制限がないためです。

「安定的な収入」として、真っ先に審査されるのは、「給与」になります。在留審査要領でも、言及していますが、仮に収入が少ないとき、収入以外の資産(預貯金、不動産、株など)も評価するとのことですが、給与以外の資産は、入管の審査においては、付随的・補完的に評価します。実務上でも、給与所得者の場合、給与で十分な収入を立証できる場合は、預貯金があってもわざわざ提出する必要もないです。ただ、提出しても損はありません。

他方で、収入以外の資産で、安定的な収入がずっと得られる不動産賃貸業での賃貸収入などは、安定的な収入として評価されます。

②「独立生計要件」は、永住申請する人の在留資格により、その収入額が異なります。また、経済的な状況でも変わります。
例えば、就労系の在留資格の方が永住申請する場合は、一人、300万円以上が一つの目安ですが、日本人の配偶者等から永住申請する場合は、夫婦で300万円が一つの目安の金額になります。

一方、住んでいる地域の物価水準、家賃の相場、住んでいる家が賃貸なのか、持ち家なのか、持ち家なら、ローンは完済しているかどうか、自分の家ではないけど配偶者の両親の家に一緒に住んでいて家賃がかからないとか、また、上記の収入以外の資産があるかなど、申請人の経済的な状況は様々な状況が考慮されるべきですが、就労系の在留資格から永住ビザ申請する場合においては、これらの事情が考慮されない傾向があります。

③職業
永住申請では、将来において安定した生活が見込まれることを要するので、職業もその一つの判断材料になります。
一般的には、公務員>会社員(大企業)>会社員(中小企業)>会社員(零細企業)>非正規雇用者>アルバイト順に評価されることが多いです。

入管の永住ビザ審査において、自営業(個人事業主)方の所得は、会社員の給与より、安定性の側面において、あまり評価されない傾向があります。ただ、会社の規模(自営業も開業した年数、売上の推移、従業員の数)によっては、会社員以上評価される場合もあります。法人でも同様にその法人の財務状況や会社の規模によって、職業の安定性が違ってきます。

入管のガイドラインにおいて、「日本人、永住者又は特別永住者の配偶者又は子である場合には、上記(1)の素行要件及び上記(2)の独立生計要件に適合することを要しない」となっていますが、入管が発表したガイドラインを鵜吞みにはできません。

たしか、2000年代までは、入管が発表したガイドラインのとおり、日本人、永住者又は特別永住者の配偶者又は子である場合には、上記(1)及び(2)に適合することを要しないとのことで、居住要件(日本人の配偶者等の場合は、婚姻期間が3年、日本の居住要件は1年)さえ、クリアすれば、素行要件や独立生計要件は緩やかに判断しましたが、2019年(頃)以降の入管の審査のトレンドは、「独立生計要件」につき、日本人の配偶者や永住者の配偶者などの居住系の在留資格から永住ビザ申請においても、めちゃくちゃシビアな判断をしているのが現状です。

また、2019年頃から「独立生計要件」だけではなく、後術する国益要件において、すべての在留資格において、(公的)年金や(公的)保険を求めたり、書類も審査要件も厳しくなっているのも現実です。

以上、入管の在留審査要領及び入管のガイドラインでは、日本人、永住者又は特別永住者の配偶者又は子である場合には、上記(1)及び(2)に適合することを要しないとなっていますが、実際はそうでもないのが実務家としての肌感覚です。

3.その者の永住が日本国の利益に合すると認められること(以下、「国益要件」)

国益要件は以下の4つの類型があります。

国益要件の類型
  1. 原則として引き続き10年以上本邦に在留していること。
    ただし、この期間のうち、就労資格(在留資格「技能実習」及び「特定技能1号」を除く。)又は居住資格をもって引き続き5年以上在留していることを要する。
  2. 罰金刑や懲役刑などを受けていないこと。公的義務(納税、公的年金及び公的医療保険の保険料の納付並びに出入国管理及び難民認定法に定める届出等の義務)を適正に履行していること。
  3. 現に有している在留資格について、出入国管理及び難民認定法施行規則別表第2に規定されている最長の在留期間をもって在留していること
  4. 公衆衛生上の観点から有害となるおそれがないこと。

では、1から解説します。

(1)原則として引き続き10年以上本邦に在留していること。(以下、「居住要件」)

<ガイドライン>
原則として引き続き10年以上本邦に在留していること。
ただし、この期間のうち、就労資格(在留資格「技能実習」及び「特定技能1号」を除く。)又は居住資格をもって引き続き5年以上在留していることを要する

用語の説明
就労資格は、日本での活動目的が就労するための在留資格であり、具体的には、以下の通りです。
「外交」「公用」「教授」「芸術」「宗教」「報道」「高度専門職」「経営・管理」「法律・会計業務」「医療」「研究」「教育」「技術・人文知識・国際業務」「企業内転勤」「介護」「興行」「技能」「特定技能」「技能実習」

居住資格は、日本での活動目的が居住するための在留資格であり、(永住者を除き)具体的には、以下の通りです。
「日本人の配偶者等」「永住者の配偶者等」「特別永住者」「定住者」

①就労系の在留資格を持っている方の「居住要件」

(高度専門職を除く)一般的の就労系の在留資格からの永住申請

では、仮に就労資格から永住申請をする場合における事例を2つについて、一緒に考えてみましょう。

1.韓国人、金さん(以下、「金さん」)は、2017年「留学」の在留資格で来日し、日本で、日本語学校と日本の大学を卒業した後、2023年に在留資格を「技術・人文知識・国際業務」に変更した場合、「金さん」は、何年あれば、永住申請できるのでしょうか?
①2027年        ②2028年
                     

                     

                     

                     

                     

答えは、①の2028年です。

2.金さんは、2017年「留学」の在留資格で来日し、日本で、日本語学校と日本の大学を卒業した後、一旦、韓国へ「単純出国」し、2023年に「在留資格認定証明書交付申請」をし、「技術・人文知識・国際業務」のビザで、来日した場合、「金さん」は、何年あれば、永住申請できるのでしょうか?
①2027年        ②2028年     ③2033年
 

                     

                     

                     

                     

答えは、③の2033年です。


Ⓠ1は分かりやすい例なので解説は不要かと思いますので、Ⓠ2について補足説明します。

Ⓠ2の設問で、「単純出国」という言葉がでてきましたが、これは、「再入国」の手続きをしないで、「出国」したことを意味します。「再入国」(みなし再入国含む)の手続をしないで、出国しちゃうと、日本国からすれば、「もう、その在留資格で日本に在留する気持ちはないですね?!」という意味となり、出国によって「在留資格」が失効することになります。そのため、永住申請において、居住要件においては、その者の在留期間が切れることになります。
それを防ぐためには、「再入国」を希望する意思表示の手続き(再入国許可、みなし再入国)が必要になります。

また、一旦、現在の在留資格の在留期限が終わったとしても、何らかの在留資格の「変更申請」をし、それが許可となった場合は、在留期間が続くことになります。永住申請で言うと、在留資格変更前の在留期間も居住要件に含まれることになります。

つまり、同じ条件であっても、再入国の有無、在留資格申請の種類によって、居住要件の年数は変わって来るとのことです。

Jinせんせい

以上、もし、日本で大学などを卒業した人が、過去の在留状況に問題なく、「在留資格変更許可申請」ができる状態であれば、「在留資格認定証明書交付申請」ではなく、絶対に「在留資格変更許可申請」をした方がいいです。

つぎは、就労系の在留資格の最高峰と言える「高度専門職」から永住申請する場合の居住要件です。

高度専門職からの永住申請する場合の居住要件

高度専門職のポイントが70点以上のものは、3年で居住要件OK

以下、具体的な在留審査要領での規定

<在留審査要領>
高度専門職省令に規定するポイント計算を行った場合に70点以上を有している者であって,次のいずれかに該当するもの

(ア)「高度人材外国人」として3年以上継続して本邦に在留していること。
(イ)3年以上継続して本邦に在留している者で,永住許可申請日から3年前の時点を基準として高度専門職省令に規定するポイント計算を行った場合に70点以上の点 数を有していたことが認められること。 
 (注)(イ)の場合、永住許可申請時の在留資格は問いません。

高度専門職のポイントが80点以上のものは、1年で居住要件OK

<在留審査要領>
高度専門職省令に規定するポイント計算を行った場合に80点以上を有している者であって,次のいずれかに該当するもの

(ア)「高度人材外国人」として1年以上継続して本邦に在留していること。
(イ) 1年以上継続して本邦に在留している者で,永住許可申請日から1年前の時点を基準として高度専門職省令に規定するポイント計算を行った場合に80点以上の点数を 有していたことが認められること。
(注)(イ)の場合、永住許可申請時の在留資格を 問いません。

②居住系の在留資格を持っている方の「居住要件」

①日本人の配偶者等 ②永住者の配偶者等 ③特別永住者の配偶者の居住要件は、実体を伴った婚姻が3年、(日本に)引き続き1年以上居住でOK

居住系の在留資格は、上述のとおり、①日本人の配偶者等 ②永住者の配偶者等 ③特別永住者の配偶者 ④定住者の在留資格を持って在留する外国人になります。この内、「定住者」以外は、永住ビザ申請における居住要件が緩和されています。

<在留審査要領>
配偶者については,実体を伴った婚姻が3年以上継続し,かつ,(日本に)引き続き1年以上居住することが必要。

つまり、上記①~③の方は、仮に、海外で結婚して、夫婦同居生活を2年間した後、来日し、1年以上、一緒に夫婦同居生活するだけで、居住要件をクリアすることになります。なので、日本での居住要件は、最短、1年で永住申請が可能ということになります。

また、①~③の実子又は特別養子については,引き続き1年以上、日本に在留するだけで、永住申請できます。<在留審査要領>

多少、細かいポイントですが、
上記①~③の場合(配偶者系)は、日本人や永住者との同居要件が必須ですが、①~③の実子、特別養子は、同居要件も年齢制限もありません。<在留審査要領>

よって、①~③の実子などであれば、成人でも、日本在留1年で、永住申請は可能です。

さらい細かいところですが、この場合、素行要件や独立生計要件は、緩和されると、「在留審査要領」に記載はありますが、結局のところ、①~③の実子が未成年者の内には、扶養者の独立生計要件が審査されますし、本人の「国益要件」(後術します)も審査対象にはなります。

「定住者」の居住要件は、5年。

定住者の場合は、5年ですが、定住者の前の在留資格が「日本人の配偶者」であった場合、日本人の配偶者等での在留期間も居住要件に含むことができます。
しかし、提出資料につき、独立生計要件の立証資料である住民税の課税証明書などは、5年分提出することになります。(上記①~③は、3年分、詳しくは、別のテーマで説明します)

(2)罰金刑や懲役刑などを受けていないこと。

これは、上記の素行要件と同じです。
「定住者」以外の居住系の在留資格の方は、上述の通り、素行要件や独立生計要件が緩和されますが、「国益要件」においての、居住系の在留資格を持っている方も緩和されません。よって、結局のところ、犯罪に関しては、何の在留資格であろうが、避けては通れないものになっております。

(3)公的義務を適正に履行していること。

公的義務は、「ガイドライン」で明示されています。

<在留審査要領>
①納税
②公的年金
③公的医療保険の保険料の納付
④入管法の届出等の義務

公的義務を確認するために、就労系の在留資格は、①を5年分、②③を2年分、提出することになります。また、居住系の在留資格は、①を3年分、②③を2年分、提出することになります。

公的義務の履行については、居住系の在留資格といえども、緩和措置はとられてないので、厳格に判断されます。
また、上記①~③は、申請人、もしくは、扶養者が会社員で、会社の社会保険に加入されているのか、住民税は、特別徴収されているのか、年金が適正に加入したのかなど審査のハドルについては、一概には説明できないところなので、各在留資格別にテーマを設けて、ブログ記事を書く予定です。

(4)現に有している在留資格について、出入国管理及び難民認定法施行規則別表第2に規定されている最長の在留期間をもって在留していること。

「在留期間」について、「在留審査要領」でも同様な規定があります。

<在留審査要領>
現に有している在留資格について,出入国管理及び難民認定法施行規則別表第二に規定されている最長の在留期間をもって在留していること。
(注)当面,在留期間「3年」を有する場合は,「最長の在留期間をもって在留し ている」ものとして取り扱うこととする。

用語の説明
出入国管理及び難民認定法施行規則(以下、「入管法施行規則」)別表第二では、在留資格ごとに在留期間などが定められており、就労資格、居住資格ともに最長の在留期限は、5年が多いです。(在留資格別に異なる)

つまり、永住申請するためには、「原則、最長の在留期限で在留することが原則ではありますが、当面の間、「3年」に緩和します。」との意味です。

(5)公衆衛生上の観点から有害となるおそれがないこと。

上記(5)は、入管法「ガイドライン」の国益要件の最後のところですが、永住審査の規定である入管法22条でも(永住審査に関する)在留審査要領でも同様な規定はありません。おそらく、入管法5条(上陸拒否事由、第5条1項1号、5号)のところから、永住申請のガイドラインとしたものと思われます。

端的にいうと、「公衆衛生上の観点から有害となる」ということは、人にうつる感染病などのことです。

入管法5条(上陸拒否事由については、下の記事で詳しく説明していますので、興味ある方は、ぜひご確認ください。)

(6)居住要件の特例

(1)難民の認定又は補完的保護対象者の認定を受けた者の場合、認定後5年以上継続して本邦に在留していること

補完的保護対象者の認定を受けた者とは
難民条約に当てはまらない「難民」ではあるが、人道的な理由で難民と認定されるが補完的保護(制度)です。(補完的保護対象者)の代表例が、戦争や紛争です。直近は、ウクライナの戦争から日本に保護を求められた方々です。

また、この類型の方は、独立生計要件も緩和されます。

(2)外交、社会、経済、文化等の分野において我が国への貢献があると認められる者で、5年以上本邦に在留していること

永住申請における「我が国への貢献」は、外交・社会・経済・文化等の分野で一定期間在留し、顕著な功績を挙げた者を対象とした特例措置です。

具体的には、こちらのpdf資料をご参照ください。

(3)地域再生法で認定された地域再生計画において明示された、同計画の区域内に所在する、公私の機関において、入管法に基づく活動によって地域社会に顕著な功績を挙げた者が、3年以上継続して日本に在留した場合。

具体的な活動例としては、以下のようなものが挙げられます。

1. 地域経済の活性化
特産品の開発・販売促進
新規事業の立ち上げ

2. 地域社会の活性
高齢者・障がい者への支援
子育て支援
防災・減災活動

3. 地域文化の振
伝統工芸品の継承
地域芸能の活動
歴史・文化遺産の保護

4. 国際交流の促進
外国人向けの日本語教育
外国人との交流イベントの企画・運営
国際的なボランティア活動

4.その他の永住申請

在留資格の取得による永住許可

以下、(普通の)永住者が赤ちゃんを出産した場合を例に説明します。

永住者又は特別永住者の子として、日本で生まれた場合、その赤ちゃんは生まれたすぐに永住申請できます。
(いわゆる「取得永住」)


このとき、永住者の場合、永住申請に対する審査は、すべて、親である永住者が審査の対象になります。つまり、親が素行要件や国益要件をクリアできないと、子供は、永住者ではなく、「永住者の配偶者等」の在留資格になります。

また、取得永住は、出生時から30日以内にする必要があります。30日を過ぎてしまうと、取得永住申請は出来ないのでご注意ください。

また、永住者の子供が出生後30日過ぎたら、取得永住申請はできませんが、「永住者の配偶者等」の「在留資格取得」はできます。

なお、60日過ぎた場合、または、海外で子供を出産した場合は、「定住者」の在留資格になります。

なお、特別永住者の子供は、生まれて、14日以内に市区町村に届出をするだけで特別永住者となります。(入管ではありません)また、特別永住者の子供は、上記の(普通の)永住者の親みたいに子の永住審査を親が受ける訳でもなく、「特別永住者の子供は原則、特別永住者」となります。ようするに、日本人の実子が生まれた際に、出生届を提出すると、その子供が日本国籍になるのと似たような感覚です。

余談ですが、特別永住者は、国籍は外国ですが、出国命令や退去強制などの入管法の行政処分の適用を受けないほぼ日本人と同じ扱いです。

Jinせんせい

最後は、永住申請の話から話が少しそれました。
永住審査って、結局のところ、申請人のもっている在留資格によって求める書類と審査のハドルが違います。

以下、4つの在留資格別の永住申請の類型になります。

1.日本人の配偶者、特別永住者の配偶者、永住者の配偶者などからの永住申請
2.定住者からの永住申請
3..就労系の在留資格(技術・人文知識・国際業務、企業内転勤、技能、経営・管理など)または、家族滞在ビザからの永住申請

4.高度専門職からの永住申請

Jinせんせい

今日は、すべての永住申請における法律上の基本的な要件を確認したことになします。

次回以降は、上記の4つの在留資格別の永住申請について、必要書類とその審査のポイントを一つずつ解説します。

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