この記事は、2025年6月1日に更新しました。
・経営・管理ビザにつき、事業計画書作成にお悩みの方
・特に入管に提出する事業計画書の内容について知りたい方
まず、前回の記事をおさらいですが、事業計画書とは、以下の5つの質問に答えを出す作業でした。
1.あなたは誰で、何のため(社会的意義)に、何の事業を行うか?
2.あなたの商品・サービスは誰に、何処で、どのように、売るのか?
3.年間の売上はいくらで、その売上の根拠は何か?
4. あなたの商品・サービスは、ライバルとの競争で、勝つ勝算はあるか?
5.あなたの商品・サービスは、誰によって運営され、事業で得た利益で、ビジネスは継続できるのか?

この記事を書いた人
行政書士 Jin JaeHo(韓国人の行政書士)一児のパパ
2014年開業
入管業務が専門
不許可案件、リカバリー案件に豊富な実績あり。
あなたの事業の継続性・安定性を審査する審査官は、あなたとあなたの事業概要を理解したら、次に気になるのは、「あなたの事業は、どうようにお金を作るか」(収益化するか?)が疑問になります。これを答えるのが「あなたの商品・サービスは誰に、何処で、どのように、売るのか?」(マーケティング戦略)になります。
マーケティング戦略については、テーマを二つに分けて記事を書きたいと思います。今回の記事は、マーケティング戦略についてです。
マーケティング戦略を一言でいえば、自社の商品やサービスを「誰に」「どこで」「何を」「どのように」アプローチするかのプロセスを指します。
あなたの商品・サービスは誰に、どこで、どのように、売るのか?
「あなたの商品・サービスは誰に、何処で、どのように売るのか?」を答えるためには、自分が置かれている市場や環境を分析した上で、マーケティング戦略を立案する必要があります。そこで登場するのがマーケティング戦略におけるプレームワーク(土台、骨組み)です。
1.マーケティング戦略のプレームワーク
マーケティング戦略の流れは、主に以下の4つのステップで構成されます
自社の内部環境・外部環境、市場規模や競合状況、顧客ニーズなどを調査・分析します。
・マクロ環境分析(PEST分析)
・5フォーム分析
・業界環境分析(3C分析)
・戦略目標(SWOT分析)
市場を細分化し、地理・年齢・性別・価値観などの軸で顧客グループを分けます。これにより、どの層を狙うかの選択肢を整理します
・セグメンテーション
・ターゲティング
・ポジショニング
「Product(製品)」「Price(価格)」「Place(流通)」「Promotion(販促)」の4Pや、顧客視点の4C(Customer Value, Cost, Convenience, Communication)を組み合わせて、具体的な施策を策定します
マーケティングミックス(4P)
・Produdta
・Price
・Place
・Promotion(販売戦略)
策定した戦略や施策を実行し、KPIなどの指標で効果を評価します。必要に応じて改善策を講じ、PDCAサイクルを回していきます
この流れを踏むことで、「誰に」「どこで」「何を」「どのように」提供するのかを明確にし、効果的なマーケティング戦略を立てることができます。
これらのフレームワークは、現状分析から戦略立案、具体的施策の設計、実行、評価まで、マーケティング活動のあらゆる段階で活用されます。目的や課題に応じて適切なフレームワークを選択し、組み合わせて使うことが、効果的なマーケティング戦略の実現につながります。

私が環境分析において、よく使うプレームワークは、「SWOT分析」です。ただ、「SWOT分析」までやると話がやや長くなるので、この記事では割愛します。「SWOT分析」他にも環境分析のプレームワークは色々ありますので、ご自分のビジネスに適しているものを見つけ、ぜひ試してみてください。
以下の話は、環境分析(SWOT分析)が終わったことを前提に話を進めます。
1.誰に
(1)ターゲティング(ターゲット市場の定量分析)
まず、韓国から輸入した高級石鹼を買ってくれそうな顧客を絞り込み、どの顧客層に商品をアプローチするかを決定します。
一般的には、以下の手法があります。
4つの変数による顧客セグメント(ターゲット顧客層)の分類
- 人口動態変数(年齢、性別、所得、職業など)
- 地理的変数(居住地域、都市・地方など)
- 心理的変数(価値観、ライフスタイル、志向性など)
- 行動変数(購買行動、利用頻度、ブランドロイヤルティなど)
この分類をベースに、市場規模や収益性、到達可能性、優先順位(4つのRの原則)を考慮してターゲット市場を絞り込みます。
「4つのRの原則」のそのものの説明は、少しマニアックな話なので、少し深掘りしたい方のみ見てください。
「4つのRの原則」とは
ターゲット顧客を絞り込む際に用いられる「4つのRの原則」は、セグメント(市場の細分化グループ)を評価し、最適なターゲットを選定するためのフレームワークです。この原則は以下の4つの観点で構成されています。
Rの要素 | 内容の説明 |
---|---|
Rank(優先順位) | 自社の経営戦略やリソース配分に照らして、どのセグメントを優先すべきかを評価する。自社の強みや市場の魅力度、競合状況などを踏まえて決定する。 |
Realistic(規模の有効性) | セグメントの規模が十分に大きく、売上や利益が期待できるかを評価する。小さすぎる市場ではビジネス効果が見込めない。 |
Reach(到達可能性) | 自社の商品・サービスや広告メッセージが、そのセグメントにしっかり届くか、アプローチできるかを確認する。 |
Response(測定可能性) | セグメントの反応やマーケティング施策の効果を測定できるか、データ取得や分析が可能かを評価する。 |
4つのRの求め方・活用手順
地理的、人口統計的、心理的、行動的などの変数で市場を細分化し、複数のセグメントを設定します
各セグメントについて、以下の観点で評価します。
- Rank:自社の戦略や強みと照らし合わせ、どのセグメントが最も優先すべきかを判断。
- Realistic:そのセグメントの市場規模や成長性を調査。
- Reach:自社がそのセグメントにリーチできるチャネルや手段があるかを検証。
- Response:施策実施後に効果測定やフィードバックが可能かどうかを確認。
4つのRすべてを満たす、もしくは最も高い評価を得たセグメントをターゲット顧客として選定します
「4つのRの原則」は、単に市場を細分化するだけでなく、実際にビジネス成果につながるターゲット顧客を絞り込むために不可欠な評価基準です。各Rの観点でセグメントを客観的に評価し、優先順位を明確にすることで、効率的かつ効果的なマーケティング戦略の立案が可能となります
セグメントとターゲットの違い
セグメントとターゲットの違いは、マーケティング戦略における「順番」と「役割」にあります。
- セグメント:市場や顧客を年齢・性別・地域・価値観などでグループ分けしたものです。あくまで「区分されたグループ」そのものを指します。
- ターゲット:セグメントで分けたグループの中から、自社が実際に狙うと決めた顧客層です。つまり、マーケティング活動の対象として選んだ特定のセグメントのことです。
簡単に言うと、「セグメント=分けたグループ」、「ターゲット=その中から選んだ狙うグループ」です。
上記の「4つのRの原則」によるターゲット顧客選定につき、やや複雑と思った方は、ただ単に、顧客の属性を①性別②年齢③職業④趣味などに基づいてターゲットを絞り込んだうえで、定量的な統計を用いることで、ターゲット顧客を決定しても大丈夫です。
なお、「4つのRの原則」によるターゲット顧客選定しなくても合理的な理由でターゲット顧客が決まっている状態であれば、このプレームワーク自体が不要でしょう。



この観点から「高級石鹸」のターゲット顧客を選定してみると以下の個客がターゲット顧客になります。
(2)ターゲット顧客の特定
主要ターゲットセグメント(市場規模・成長性・アクセシビリティの観点から)
- 敏感肌の消費者
- 市場規模:日本人女性の約60%が敏感肌に悩んでいると回答(2019年調査)
- 成長性:敏感肌向け製品市場は年率8.5%で成長中
- ニーズ適合性:「低刺激」「無添加」を主要訴求点とする当社製品と直接的に合致
- 高品質ボディケア製品を求める中〜高所得者層
- 市場規模:日本の高級ボディケア市場は約1,200億円(2023年)
- 地理的特性:都市部(東京、大阪、名古屋など)に集中
- 購買力:月間パーソナルケア予算5,000円以上の層
- エシカル消費者(ビーガン・環境配慮型消費者含む)
- 市場規模:日本のビーガン関連商品市場約65億円(2022年)、年率15%で成長中
- 消費特性:製品の成分・製造過程・環境負荷を重視
- 購買決定要因:サステナビリティ、動物実験不使用、環境配慮型パッケージ
セカンダリーターゲット(将来的な市場拡大の可能性)
- 韓国コスメファン
- 特性:韓国美容トレンドへの高い関心と知識
- 市場規模:日本における韓国コスメ市場は約850億円(2023年)
- アンチエイジングに関心のある40代以上の層
- 特性:予防的スキンケアへの投資意欲が高い
- 購買力:スキンケア製品への月間支出額が平均より30%高い
- Z世代(18-25歳)の環境意識の高い消費者
- 特性:SNSを通じた情報収集、ブランドストーリーへの共感
- 成長性:2025年までに消費市場の30%を占める見込み
2.どこで(ポジショニングと差別化)
ここでは、単純にどこで売るのかも重要ですが、 (ポジショニング)、また、ボデイケア商品は、大手企業なども参入しているめちゃくちゃ競争が激しい分野なので競合他社との違い(差別化)を明確にします。これにより、顧客に対する独自性が際立ちます。
(1)ポジショニング


「優れるな異なれ!」
これはイギリスの起業家(資産家)マーク・ティルベリーの有名な言葉です。
例えば、あなたの商品が上記の絵の右側に存在し、かつ、その商品を買う需要があれば、あなたは、ポジショニングもターゲティングも不要でしょう。ただ単にその商品が世の中にあることだけ宣伝認知されれば、商品は売れるでしょう。
しかし、世の中の商品・サビースは、そのほとんどが右川にあり、右側にある以上、競争は避けられません。
ポジショニングとは、ライバルがたくさんある中で、差別するためには自社の商品やサービスが市場内でどの位置(ポジション)で戦うべきかその立ち位置を決める作業と言えます。
以下、高級石鹼のポジショニングの具体例


このようにポジショニングマップで、商品のポジションをまず、決めた方が分かりやすいです。
本商品のポジショニングは、「科学的に検証された安全性と国際認証を持つ、全身マルチユース自然派石鹸」として市場に位置づけ、敏感肌・エシカル志向・高品質志向の消費者に向けたプレミアムゾーンに設定します。
エシカル・サステナブルとは
エシカル(ethical):法律やルールで定められていなくても、良心や思いやりに基づき、環境・社会・人に配慮した行動や消費を指します。
サステナブル(sustainable):環境や社会、経済など幅広い分野で、地球や社会が将来にわたって持続できる状態を目指す考え方や行動を指します。
本物の自然派: 植物由来成分100%、動物性原料不使用、厳選された天然成分配合
科学的安全性: 第三者機関による安全性検査、ISO認証工場での生産
全身マルチユース: 顔・体・髪に使える実用性、全年齢対応
国際的エシカル基準: 国際ビーガン認証取得、環境・動物配慮
当商品のポジショニングの比較表
製品名 | 価格(高級=10, 手頃=1) | エシカル度 | 機能性 | 天然成分 | 安全性 | ターゲット層 | 総合価値指標(平均) |
---|---|---|---|---|---|---|---|
当商品 | 9 | 9 | 8 | 9 | 9 | 8 | 8.6 |
競合A | 3 | 4 | 5 | 6 | 5 | 4 | 4.8 |
競合B | 7 | 3 | 6 | 5 | 6 | 5 | 5.0 |
競合C | 5 | 5 | 4 | 4 | 4 | 3 | 4.0 |
(2)差別化(競合優位性)
競合他社と比較するためには、簡単な表で説明した方が分かりやすいと思います。
差別化要素 | 本商品 | 競合一般的自然派石鹸 | 競合高級石鹸 |
---|---|---|---|
成分の純度・由来 | 100%植物由来、湧水エキス、高級オイル | 植物由来だが一部動物性含む例も | 動物性成分や合成香料含む場合 |
使用範囲 | 顔・体・髪の全身対応 | 顔・体のみ | 顔・体のみ |
安全性・低刺激 | 赤ちゃん〜シニアまで、第三者機関認証 | 一般的な低刺激 | 高級だが刺激強い場合あり |
エシカル性・認証 | ビーガン認証、ISO認証、動物実験不使用 | 認証なし/一部のみ | 認証なし/一部のみ |
保湿・スキンケア効果 | 湧水+複数高級オイルで高保湿・抗酸化 | 保湿は標準的 | 高保湿だが成分の透明性低い |
サステナビリティ・パッケージ | 環境配慮型 | 標準的 | 標準的 |
ブランドストーリー・透明性 | 成分・製造過程の透明性を強調 | 強調されない | 強調されない |
これで、本製品が他社と競争優位性があることがよく分かると思います。



ここまでがあなたの商品・サービスは①誰に、②何処で、売るのか?に対する回答になります。
次のブログで「どのように売るのか?」(販売戦略)について丁寧に説明しますのでぜひご確認お願い致します。
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