日本で生活する外国人にとって、在留カードに記載された「在留期間」は、日本に滞在できるタイムリミットです。この期間を超えて日本での生活を続けるためには、「在留期間更新許可申請」という手続きが不可欠です。
しかし、「申請はいつすればいいの?」「審査では何を見られるの?」「転職したけど手続きは同じ?」など、多くの疑問や不安を抱えている方も多いのではないでしょうか。
この手続きを軽く考えていると、ある日突然「不許可」となり、日本での生活を続けられなくなる可能性があります。最悪の場合、不法残留(オーバーステイ)として退去強制の対象となったり、刑事罰を科されたりすることさえあるのです。
そこでこの記事では、在留期間更新許可申請の基本から、審査でチェックされる重要ポイント、在留資格ごとの注意点、そして万が一不許可にならないための対策まで、網羅的に解説します。
この記事を読めば、安心して更新手続きを進めるための知識が身につくはずです。
この記事は、2025年9月22日に更新しました。
- 初めて在留期間の更新を行う方
- 転職を考えている、または最近転職した方
- 離婚や再婚など、身分関係に変化があった方
- 留学生で、留年してしまった方
- 過去に交通違反や罰金刑など、不利になりうる事情がある方
- 税金の納付状況や、各種届出(住所変更など)をきちんと行っているか自信がない方
- 過去に申請で不許可になった経験がある、または不許可にならないか強く不安を感じている方

この記事を書いた人
行政書士 Jin JaeHo(韓国人の行政書士)一児のパパ
2014年開業
入管業務が専門
不許可案件、リカバリー案件に豊富な実績あり。
以下の記事は、日本での生活基盤を維持するために在留期間更新を成功させたいと考えているものの、制度の複雑さや自身の状況から不安を感じている外国人の方のために、入管法、在留審査要領(入管のルールブック)を基づいて記事を書きました。
1. 在留期間更新許可申請の基本:いつ、どこで、どうやって?
まずは、申請の基本となる「タイミング」と「申請先」を正確に把握しましょう。
(1)申請時期(申請のタイミングはいつから?)
在留期間更新許可申請は、原則として在留期間が満了する約3ヶ月前から受け付けられます 。ただし、もともとの在留期間が3ヶ月以内と短い場合は、その期間の約半分が経過した時点から申請が可能です。
また、特別な事情があったら、3か月前でも入管の裁量で申請を受理することもできます。
重要なのは、在留期間が満了する日までに申請を完了させることです。
(2)審査中に在留期間が切れてしまったら?「特例期間」とは
在留資格の更新申請は、原則として「在留期間の満了する日以前」に行う必要があります。
しかし、余裕をもって申請しても審査が長引いてしまい、在留期限までに審査が終わらない場合があります。
そこで設けられているのが「特例期間」です。
特例期間は在留期間が「31日以上」を持つ在留資格の申請時に適用される制度です。
これにより、審査結果が出るか、あるいは元の在留期間満了日から2ヶ月が経過する日のいずれか早い方まで、引き続き現在の在留資格で合法的に日本に滞在することができます。この特例期間中は、これまでの在留資格の範囲内で就労を続けることも可能です。
(3)申請先はどこ?
申請は、原則としてご自身の住居地を管轄する地方出入国在留管理局で行います。
また、オンライン申請でも申請は可能です。以下、在留申請のオンライン手続のURLになります。
2. 審査の核心!許可の判断を分ける2つの重要要件
在留期間更新が許可されるかどうかは、法務大臣が「引き続き日本に在留することを認めるのが適当」(いわゆる、「相当性」)と判断するかどうかにかかっています 。この判断は、主に以下の2つの要件に基づいて行われます。
(1)在留資格該当性
現在持っている在留資格に合った活動を、安定的・継続的に行っているか。
例えば
- 学生なら、出席率
- 技術・人文知識・国際業務などの就労ビザであれば、その就労活動
(2)狭義の相当性
日本で生活する上で、素行や納税状況などに問題がないか。
ここでは特に重要な4つのポイントを解説します。
- ①ポイント1:素行が不良でないこと
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審査では、日本で善良な社会の一員として生活しているかが厳しく見られます 。具体的には、退去強制事由に該当するような重大な犯罪はもちろん、交通違反を繰り返したり、風紀を乱す行為を繰り返したりした場合も、素行不良と判断され、不許可の大きな要因となります。
もし、罰金刑などを受けたことがある場合は、それを隠さずに正直に申告し、なぜそのような行為に至ったかの経緯説明と、心からの反省を示す文書を提出することが極めて重要です。出入国在留管理局は刑事手続の情報を把握しているため、隠すことは最悪の結果を招きます。
- ②ポイント2:独立して生計を営める資産や技能があること(以下、「独立生計要件」)
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日本で生活する上で、他人の負担にならず、安定した生活を送れる経済的な基盤があるかどうかも重要なポイントです。世帯単位での安定性が認められれば問題ありません。
ただし、家族滞在ビザなどそもそも扶養者に扶養を受けることが前提のビザの場合、基本期には、扶養者の独立生計要件で判断します。
独立生計要件の疎明資料は、課税証明書、源泉徴収票、給与の明細などです。
- ③ポイント3:納税の義務を果たしていること
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住民税や所得税など、支払うべき税金をきちんと納めていることは、社会的な責任を果たしている証拠として重視されます 。高額な未納や長期間の滞納がある場合、悪質と判断され、更新が不許可となる可能性があります。
- ④ポイント4:入管法上の届出義務を履行していること
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引っ越しによる住居地の変更届や、転職に伴う所属機関に関する届出など、入管法で定められた届出をきちんと行っているかもチェックされます 。これらの届出を怠っていると、義務を果たしていないと見なされ、許可されたとしても在留期間が短くなるなどの不利益を受ける可能性があります。
3. 在留資格・状況別の注意点
在留期間更新の手続きは、現在の在留資格や個人の状況によって注意すべき点が異なります。ここでは代表的なケースをいくつかご紹介します。
ケース1:就労ビザ(「技術・人文知識・国際業務」など)で転職した場合
転職した場合、新しい会社での活動が現在の在留資格の範囲内であれば、手続きは「在留資格変更」ではなく「在留期間更新」となります。
ただし、注意が必要なのは、「高度専門職」や「特定技能」のように、働く会社(所属機関)が個別に指定されている在留資格の場合です 。この場合は、たとえ同じ職種であっても転職する際には「在留資格変更許可申請」が必要になります 。
この手続きを経ずに新しい会社で働き始めると不法就労になってしまうため、絶対に注意してください。
また、転職した場合は、前の会社を辞めた日と新しい会社に入った日からそれぞれ14日以内に、所属機関に関する届出を出入国在留管理局に行う義務があります。
ケース2:「日本人の配偶者等」で、離婚・再婚した場合
日本人と結婚して「日本人の配偶者等」の在留資格を持っていた方が、その方と離婚し、別の日本人と再婚したとします。この場合、配偶者は変わりましたが、「日本人の配偶者」という地位自体に変動はないため、手続きは「在留資格変更」ではなく「在留期間更新」となります。これは「永住者の配偶者等」や「定住者」の場合も同様です。
ケース3:「留学」ビザで留年した場合
病気や学業不振などで留年してしまい、当初の修学期間を超えて在留が必要になった場合、なぜ留年したのかという事情説明に加え、病気なら、病院の診断書、学業不振なら、(出席率は80%以上が前提で)指導教授などからの説明書や、今後の学習意欲、具体的な学習計画をしっかりと書面で示すことが重要です。素行や学費の支払能力に問題がなければ、許可されることが多いです。
4. これだけはNG!申請で絶対にしてはいけない「虚偽申請」
更新申請において、少しでも自分に不利な事実(例えば、過去の犯罪歴や収入の不安定さなど)があると、それを隠したいという気持ちが働くかもしれません。しかし、事実と異なる内容を申請書に書いたり、偽造した書類を提出したりする「虚偽申請」は、絶対にやってはいけません。
出入国在留管理当局は、虚偽申請を最も重く見ており、それが発覚しただけで不許可となるケースが極めて多いです。たとえ他の要件をすべて満たしていても、虚偽の申請をしたという事実だけで「相当性がない」と判断され、不許可とされる可能性があります。
一度失った信頼を回復するのは非常に困難です。不利な事情がある場合は、隠すのではなく、正直に事実を説明した上で、合理的な理由や深い反省、今後の改善策などを積極的に主張する方が、はるかに賢明な対応と言えます。
5. もし申請を忘れてしまったら?(オーバーステイになるのか?)
「うっかりしていて、気づいたら在留期間が過ぎていた!」という事態は絶対に避けたいものですが、万が一そうなってしまった場合でも、すぐにあきらめないでください。
天災や事故、病気など、本人の責任とは言えないやむを得ない事情で申請が遅れた場合など、例外的に申請が受理される「特別受理」という運用がなされています。
ただし、現在の運用では「うっかり忘れていた」というような単純な理由で、特に在留期間満了から一定期間経過している場合に救済される可能性は低くなっています 。もし特別受理が認められなければ、退去強制手続に進むことになります。

「うっかり忘れた」理由での「特別受理」される期間につき、明確な規定はありません。2ヶ月以内というのが一つの目安となっているようですが、これは、入管の運用で、短くなる可能性が十分にあります。
入管法や在留審査要領に規定されてないものを断定的に伝えることはできないので、「2ヶ月」という期間を鵜呑みにしないでください。
在留期間の満了日に申請を忘れていたことに気づいた場合は、必要書類が全て揃っていなくても、とにかく急いで管轄の出入国在留管理局へ行き、事情を説明して受理してもらえるよう交渉すべきです。
6.まとめ
計画的な準備で、確実な在留期間更新を目指しましょう!
在留期間更新許可申請は、日本での安定した生活を続けるための非常に重要な手続きです。最後に、成功のためのポイントをもう一度確認しましょう。
- 早めの準備:申請は在留期間満了の3ヶ月前から可能です。ギリギリではなく、余裕を持って準備を始めましょう。
- 正確な情報提供:自身の活動内容、収入、納税状況などを正確に証明する書類を揃えましょう。
- 誠実な対応:不利な事情があっても隠さず、正直に申告し、誠実な態度で説明することが信頼につながります。
- 義務の履行:住所変更や転職の際の届出、納税などの義務は日頃からきちんと果たしておきましょう。
- 虚偽申請は絶対にしない:一つの嘘が、あなたの日本での未来を閉ざしてしまう可能性があります。



私の経験上、資格該当性が問題なければ、(自分が持っている在留活動を継続的に行っていれば)上記の狭義の相当性の各項目のいずれかの問題がある方でも、該当する項目について、入管に事情を丁寧に説明し、疎明資料をつけることで許可の可能性はあります。
在留期間更新でお悩みの方へ。一人で抱え込まず、当事務所にご相談ください。
この記事では在留期間更新の全体像と重要なポイントについて解説しましたが、「自分のケースは少し複雑で、どう進めればいいか分からない」「過去に交通違反があり、不許可にならないか心配だ」「転職したばかりで、提出する書類に不安がある」など、個別の事情に応じた悩みや不安は尽きないことと思います。
在留期間更新申請は、一つひとつの手続きを確実に行うことが何よりも重要です。もし少しでも不安な点があれば、申請をしてしまう前に、ぜひ一度当事務所にご相談ください。
あなたの最善策を見つけ、ご提示します。
Noah行政書士事務所の代表であるJINは、2014年開業、開業以来、入管業務のみをやってきました。
当事務所は、お客様一人ひとりの状況を丁寧にヒアリングし、豊富な経験と知識に基づいて、許可の可能性を最大限に高めるための最適なサポートをご提供します。不利な事情がある場合でも、どのように説明し、許可に向けて何をすべきかを一緒に考え、最善の道を探ります。
あなたの日本での生活基盤を守るため、私たちが全力でサポートいたします。
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