2025年8月に出入国在留管理庁から発表された新ガイドラインにより、経営管理ビザ(経営・管理在留資格)の取得要件が大幅に厳しくなります。施行は2025年10月中旬を予定。これまで申請を検討していた方にとっては、大きな制度変更となります。以下の内容は、法務省の資料を基に記事を書きました。
この記事は、2025年8月29日に更新しました。
- 日本で起業を考えている外国人起業家・投資家
- すでに経営管理ビザを持っている人(更新予定者)
- 外国人起業家を支援する士業(行政書士・弁護士)やコンサルタント
- 外国人材の採用を検討する日本企業
- 留学生や高度人材で「将来は起業したい」と考えている人

この記事を書いた人
行政書士 Jin JaeHo(韓国人の行政書士)一児のパパ
2014年開業
入管業務が専門
不許可案件、リカバリー案件に豊富な実績あり。
2025年10月から、日本での起業を目指す外国人にとって大きなハードルが立ちはだかります。
これまで「資本金500万円」で挑戦できた経営管理ビザが、資本金3,000万円+従業員雇用+経営経験や学歴を必須とする厳格な制度へと変わります。
今回の記事では、その具体的な変更点と今後の影響をわかりやすく解説します。
まず、経営管理ビザが大幅に厳格化になった背景は、いかのような問題がありました。
- 現行の資本金要件(500万円)が低すぎ、ペーパーカンパニー設立や移住目的での悪用が多い。
- 雇用や経済貢献が十分に見られないケースがある。
- 学歴要件がないため、ブローカー経由で安易に取得されやすい。
- 実質、投資だけして、経営者としての実体がない
経営管理ビザは、もともと外国人起業家を誘致し、日本経済の活性化を図ることを目的としています。しかし、近年、以上のような問題が表面化し、制度の信頼性が揺らいでいました。
今回の改正は、このような問題を少しでも是正するためでした。
今回の改正のポイントは、以下の4つです。
✅ 改正のポイント
1. 事業規模要件の強化

改正前
ア。経営者以外に常勤の職員が2人以上いること。
イ。資本金の額又は出資の総額が500万円以上であること。
ウ。ア又はイに準ずる規模であると認められること。
改正後
- 今回の改正で、上記ウの要件は、削除。
- 改正前は、事業所規模要件につき、上記のア、イいずれかに該当していることを求めていたところ、今回の改正では、「ア及びイのいずれにも該当していること」が求められます 。
つまり、これまで「500万円を出資すればOK」という仕組みは廃止され、資本金と雇用の両立が必須条件となりました。
2. 経営者本人の学歴・経験要件

改正前
改正前にも経営管理ビザの中で、管理者に従事する人は、このような要件はありました。
しかし(経営者に従事する者は)経営者本人の学歴・職歴は、必須要件ではなく、経営管理能力の1つの判断材料に過ぎませんでした。
改正後
経営者に従事する者についても次のいずれかを満たす必要があります。
3. 提出書類の厳格化

(1)事業計画書は、経営の専門家による評価済みのものが必須
改正前
事業計画書の評価制度はありませんでした。
改正後

経営の専門家が具体的に誰なのかは、出入国在留管理局の資料で明示されてないが、おそらく、「中小企業診断士」や「国の認定機関」ではないかと推測されています。
(2)事業の規模に係る提出資料について
常勤職員1名以上の雇用 + 資本金3,000万円以上 要件を裏付ける証明資料
- ①常勤職員に関する資料
-
- 従業員数を示す資料
- その数が二人以上である場合には、当該二人の職員に係る賃金支払に関する文書
- 住民票
- 在留カード又は特別永住者証明書の写し
Jinせんせい上記の「当該二人の職員に係る賃金支払に関する文書」は雇用契約書で大丈夫です。また、正社員を前提としていますので「社会保険加入」に関する資料を提出すれば、なおいいでしょう。
経営管理ビザにおける常勤職員とは、主に「日本人」や「特別永住者」「永住者」「定住者」「日本人の配偶者」「永住者の配偶者」など、日本国内に安定した居住資格を持ち、週5日以上、週30時間以上の勤務をする正規雇用者を指します。
- ②資本金の額または出資の総額を証明する資料
-
- 登記事項証明書
- 出資金の払込証明書
- 銀行口座の残高証明など
今回の資本金の大幅引き上げは、会社設立を前提としたものですが、個人事業主での創業についても適用されます。
個人事業主で経営管理ビザを申請するときは、「登記事項証明書」や「出資金の払込証明書」が存在しないので銀行残高証明書を提出することになります。
他方で、個人事業主で経営管理ビザを申請する場合、気を付けるポイントは、残高証明書を取得してから企業準備のため資金を使うことです。



改正前には、私に飲食店開業の相談が来たときは、あえて、個人事業主での経営管理ビザ申請を勧めましたが、今回の改正で、経営管理ビザの「更新時」に資本金の額又は出資の総額を明らかにする資料、その他事業の規模を明らかにする資料が必須添付書類になったため、個人事業主で創業すると、更新時にこれらの資料の証明がややこしくなると推測されます。
ここは、入管から情報を入手しだい、情報のアップデートをします。
(3)経営者の学歴・職歴に係る提出資料について
改正前(旧ルール)
- 経営に従事する人 → 上述の通り、大学の卒業証明書や職歴証明書は必須ではない。
- 管理に従事する人 → 職歴証明書 または 大学院で経営・管理を専攻した証明書
つまり、管理に従事する人のみ卒業証明書や在職証明書が必要だった。
改正後(2025年10月施行後)
- 経営に従事する人も以下のいずれかを必ず提出しなければならない
- 学位を証明する書類
- 大学・大学院の卒業証書
- 博士号、修士号、専門職学位の証明書
- 職歴や経歴を証明する書類
- 勤務先からの在職証明書
- 役員在任証明書
- その他、過去の業務内容が分かる契約書、推薦状、職務経歴書 など
- 学位を証明する書類



提出資料の厳格化の目的は、書類上だけの経営者を排除し、本当に経営能力や実務経験のある人だけを受け入れるためです。
4. 更新時の基準
上記の1~3は、在留資格認定証明書交付申請、在留資格変更許可申請の基準でした。
それでは、更新のときは、どうなるの?と疑問になるかと思います。
🔹 改正前(旧ルール)
経営管理ビザの更新では、事業の実体を示すために以下の いずれか を提出すればよかった。
- 常勤職員数を示す資料(2人以上なら給与明細や住民票など)
- 資本金の額を示す資料
- その他、会社の決算書
つまり「従業員」か「資本金」のどちらかを証明できれば更新可能でした。
また、経営管理ビザの継続性・安定性は、決算書などで審査されていました。
🔹 改正後(2025年10月施行後)
- 1.常勤職員に関する資料
-
- 従業員数を示す資料
- 各職員の給与支払証明(給与明細や源泉徴収票など)
- 住民票、在留カード、特別永住者証明書の写し
Jinせんせい今回の改正で社会保険に関することは触れてないですが、ゆくゆくは、社会保険に関する資料も厳格化になる見込みなので、言われなくても提出した方がいいと思います。
- 2.資本金額を証明する資料
-
- 登記事項証明書
- 出資金の払込証明書や銀行の残高証明
さらに「その他の資料で代替する」という選択肢は削除。
ここで、以下のような疑問があるかもしれません。
更新でも資本金3,000万円以上が維持できないと更新できないのでは?!



今回の改正について、入管の資料では更新時に3000万円の資本金を維持する必要があるかどうかは明記されていません。
この点、興味本位で、AIに質問してみたところ、「更新時には新しい基準が適用され、例えば資本金500万円で設立した会社は、更新時に2500万円の増資が必要になる」という回答でした。
理屈としては筋が通っているように思えますが、現実的にはそれはないと思います。
以下は、なぜ私がそう思うのか、法的な仕組みについて詳しく知りたい方のみ一読したください。
在留資格の更新は「相当性」で判断されます。この「相当性」には、理論上、資格該当性や上陸許可基準(以下、「法務省のルール」)が含まれています。
「資格該当性」は、「会社を経営・管理する」ことです。「法務省のルール」とは、日本で経営・管理する人は、「こうゆう基準を満たしてくださいね」と法務省が定めたルールです。
「法務省のルール」には事業規模(資本金)の要件があり、理論上はAIの回答通り、改正後の「法務省のルール」を満たすために資本金3000万円を維持するという考え方も一理あります。
しかし、在留資格更新時には、こうした法務省のルールがそのまま適用されるわけではありません。(もちろんまったく考慮しない訳でもないですが)更新審査では会社の経営実体(資格該当性)があるかどうかが重視され、仮に数年間赤字が続いていても経営の実体が確認できれば(資格該当性は認められるので)更新が認められるのが一般的です。
ただし、これまでこの実体の検証が甘かったため、更新審査も厳しくなりました。入管としては、在留資格の根幹である「資格該当性」を確保するための必要な措置と言えるでしょう。
以上を踏まえると、更新審査は「従来の基準」に「経営実体の説明強化」を加えた形で行われると考えるのが妥当です。
つまり、既存の会社が突然3000万円への増資を求められる可能性は(個人的には)ないと思います。


今回の資本金などの厳格化が行われる前に、経営管理ビザの更新において、実際の経営活動内容を説明する義務は、2025年7月17日から強化されています。
この変更により、カテゴリー3・4に該当する中小規模の事業者向けに、更新申請時に「直近の在留期間における活動内容を説明する文書(任意様式)」の提出が義務化されました。
この背景には、事業実態のないペーパーカンパニーによるビザの不正利用を防ぎ、真に事業を継続している外国人経営者を選別する目的があります。今後は、事業の継続性や収益性、役員報酬が適正か、税金や社会保険料を滞納していないかなど、より厳格に審査される傾向にあります。
(4)今回の改正から除外されると予想されるスタートアップビザ
「経営・管理」ビザの厳格化をする際に、一律に引き上げると優秀な外国人起業家や日本の成長戦略に資する人材を排除する恐れがあるとの懸念がありました。
そのため、次の制度経由の人材は厳格化の除外対象(現行基準を維持)として検討すべきとされています。
- ✅ スタートアップビザ(外国人起業支援)
- ✅ J-Find(未来創造人材制度) 経由の高度外国人材
- ✅ 国家戦略特区で受け入れる地域連携型の起業家
要するに、「お金だけ持ってる人」は締め付ける方向、でも「イノベーションや高度人材を持つ人」は保護しようという構図です。
以下、参考資料。(興味のある方は、一読ください)
何で、法務省が経営・管理ビザ要件を厳格化したのが垣間見れる文章です。
4.経営・管理ビザ新基準 要点まとめ
📅 施行時期
2025年10月中旬から適用開始予定
- ①資本金要件
-
- 現行: 500万円以上
- 新基準: 3,000万円以上(6倍に引き上げ)
- ②従業員要件
-
- 現行: 資本金 または 従業員(選択制)
- 新基準: 1人以上
- ③申請者の学歴・経験
-
以下のいずれかが必要
- 経営管理分野の修士号以上
- 事業経営・管理の3年以上の経験
- ④事業計画書
-
経営専門家による評価が必須



最後に、今回の改正で経営管理ビザのハードルは上がりましたが、冷静に考えると、起業(創業)の本質的なところは変わっていません。
こうなった以上、資金を用意し、よりご自分のビジネスを真剣に考え、ビジネスプランを磨き上げる良いきっかけにして欲しいです。
長文を読んでくれてありがとうございました。