この記事は、2025年10月21日に更新しました。
- 日本で起業を考えている外国人起業家・投資家
- すでに経営管理ビザを持っている人(更新予定者)
- 外国人起業家を支援する士業(行政書士・弁護士)やコンサルタント
- 外国人材の採用を検討する日本企業
- 留学生や高度人材で「将来は起業したい」と考えている人

この記事を書いた人
行政書士 Jin JaeHo(韓国人の行政書士)一児のパパ
2014年開業
入管業務が専門
不許可案件、リカバリー案件に豊富な実績あり。

以下の内容は、経営管理ビザの主な5つの新許可基準の後編になります。後編のテーマは、1。申請に関する取り扱い2。既存の経営管理ビザを持っている方の更新時の基準についてです。
1.申請に関する取扱い
(1)施行日前に受け付けた申請について
今回のルール改正(2025年10月16日施行)は、「これから提出される申請」から新しい基準が適用されるという意味です。つまり、
- 改正の施行日(2025年10月16日)より前にすでに提出されていて、
- まだ審査中の申請(=結果が出ていない申請)
については、
「古いルール(改正前の基準)」で審査されるということです。
- 在留資格認定証明書交付申請(日本に入国するためのビザ申請)
- 在留期間更新許可申請(今の在留資格を延長する申請)
- 在留資格変更許可申請(留学→就労などの資格変更)
(2)事業内容について
業務委託を行うなどして経営者としての活動実態が十分に認められない場合は、在留資格「経営・管理」に該当する活動を行うとは認められません。
名義貸しや形式的な経営者ではなく、実質的に事業を運営していることが求められます。
(3)事業所について
改正後の規模等に応じた経営活動を行うための事業所を確保する必要があることから、自宅を事業所と兼ねることは原則として認められません。
これは、事業の実態を明確にし、適切な事業規模を確保するための措置です。レンタルオフィスやシェアオフィスの利用についても、事業の実態に応じて個別に判断されることになります。
(4)事業に必要な許認可の取得について
申請者が営む事業に係る必要な許認可の取得状況等を証する資料の提出が求められます。
ただし、在留許可を受けてからでないと許認可の取得ができないなど、正当な理由が認められる場合には、次回の在留期間更新許可申請時に提出することも可能です。
(5)特定活動ビザからの移行について
特定活動(44号:外国人起業家〔スタートアップビザ〕)から「経営・管理」への変更について
【改正前に確認証明書を受け取っている場合】
改正告示(=外国人起業活動促進事業に関する告示の改正)が施行される前に「確認証明書」が交付されている方は、「経営・管理」ビザへの変更申請時に改正前の基準が適用されます。
【改正後に確認証明書を受け取った場合】
改正告示の施行日以降に「確認証明書」が交付された方は、「経営・管理」ビザへの変更申請時に改正後の新しい基準が適用されます。
特定活動(51号:未来創造人材)から「経営・管理」への変更について
【施行日前に申請した場合】
施行日の前日時点で「特定活動(51号)」の在留資格認定証明書交付申請等を行っている場合や同在留資格で在留中の場合は、「経営・管理」への在留資格変更許可申請の際に、改正前の許可基準が適用されます。
【施行日以降に申請した場合】
施行日以降に「特定活動(51号)」に係る在留資格認定証明書交付申請等を行った場合は、「経営・管理」への在留資格変更許可申請の際に、改正後の許可基準が適用されます。
2.既存の経営・管理ビザ保持者への影響
(1)3年間の経過措置
既に「経営・管理」ビザで在留中の方には、3年間の経過措置が設けられています。
【2028年10月16日まで】
施行日から3年を経過する日(2028年10月16日)までの間に在留期間更新許可申請を行う場合、改正後の許可基準に適合しない場合であっても、経営状況や改正後の許可基準に適合する見込み等を踏まえ、許否判断が行われます。
審査においては、経営に関する専門家の評価を受けた文書を提出することが求められる場合があります。
【2028年10月16日以降】
3年を経過した後になされた在留期間更新許可申請については、改正後の許可基準に適合する必要があります。
ただし、改正後の許可基準に適合しない場合であっても、経営状況が良好であり、法人税等の納付義務を適切に履行しており、次回更新申請時までに改正後の許可基準を満たす見込みがあるときは、その他の在留状況を総合的に考慮し、許否判断が行われます。
「高度専門職1号ハ」(「経営・管理」活動を前提とするもの)についても、「経営・管理」の許可基準を満たすことが前提となることから、上記と更新要件が適用されます。
(2)経営・管理ビザなどのビザから永住申請する場合
「経営・管理ビザ」の新しいルールでは、永住権(永住許可)や高度専門職ビザへの変更にも影響があります。
具体的には、改正後の基準を満たしていない場合、次のような申請は認められなくなります。
対象となる申請
- 「経営・管理」ビザからの永住許可申請
- 「高度専門職1号ハ」からの永住許可申請
- 「高度専門職2号」(経営・管理活動を前提とするもの)からの永住許可申請
- 「高度専門職1号ハ」から「高度専門職2号」への在留資格変更許可申請
つまり、改正後の新しい基準(経営実態・安定性・事業規模など)を満たしていない経営者や事業は、永住権や高度専門職への変更ができなくなるということです。



つまり、経営管理などのビザから永住申請の場合、経過措置はないことになります。
個人的には、「高度専門職1号ハ」から「高度専門職2号」への在留資格変更許可申請まで、改正後のルールを適用することは、高度専門職ビザを創設する際の制度趣旨が骨抜きにされてしまう気がして、少し残念です。
(3)在留中の出国について
在留資格(ビザ)を持って日本に滞在している間に、理由もなく長期間日本を離れる(出国する)と、
「日本で活動していない」とみなされ、在留期間の更新が許可されない可能性があります。
つまり、
- たとえば、事業を経営している人が何か月も日本を離れている
- 経営・管理ビザを持っている人が海外に長期滞在して日本では実際に働いていない
といった場合、「本当に日本で活動しているのか?」と疑われてしまいます。
そのため、長期の海外滞在をする場合は、正当な理由(例:出張、治療、家族の看病など)を説明できるようにすることが大切です。
(4)公租公課の履行について
「公租公課」とは、簡単に言えば国や自治体に納める税金や社会保険料などの義務のことです。在留期間の更新(ビザ更新)をするとき、入管は次のような点をしっかり確認します。
① 労働保険(労災保険・雇用保険)の加入と支払い
- 雇用している人がいる場合は、雇用保険への加入手続きをきちんと行っているか
- 保険料を滞納していないか
- 労災保険の適用手続きがされているか
② 社会保険(健康保険・厚生年金)の加入と納付
- 従業員や経営者自身が健康保険・厚生年金に加入しているか
- その保険料をきちんと支払っているか(未納・滞納がないか)
③ 税金の支払い状況
法人(会社)と個人事業主で確認される税金の種類が異なります。
■ 法人の場合
- 国税:源泉所得税、法人税、消費税(および地方消費税)
- 地方税:法人住民税、法人事業税
■ 個人事業主の場合
- 国税:源泉所得税、所得税、消費税、相続税、贈与税 など
- 地方税:個人住民税、個人事業税
これらの納付状況は、事業の健全性と法令遵守の姿勢を示す重要な指標となります。
経営・管理ビザの更新の詳細な内容は、以下の記事をご参照ください。
このブログは、「経営・管理ビザ」の更新基準を徹底解説。資本金3,000万円の経過措置、改正後の正しい更新要件と、入管に求められる具体的な経営活動の内容について、詳しく説明しています。更新を控えた経営者必見です。
3.経営・管理ビザ新基準 (前編・後編)要点、総まとめ
- 1️⃣ 常勤職員の雇用
-
日本人または永住・定住資格者を1名以上雇用が必須。
(※外国人従業員で「技人国」などの在留資格者は対象外) - 2️⃣ 資本金要件
-
- 資本金3,000万円以上が必要。
- 個人事業主の場合も、事業所・人件費・設備費などに相当する総投資額が必要。
- 3️⃣ 日本語能力
-
- 申請者または常勤職員のいずれかが日本語B2相当(JLPT N2以上)を持つこと。
- JLPT N2以上、BJT400点以上、日本滞在20年以上、日本の学校卒業者などで証明可。
- 4️⃣ 経歴・職歴
-
- 次のいずれかが必要
- 経営・管理分野の修士・博士・専門職学位
- 経営または管理に関する職歴3年以上
- 次のいずれかが必要
- 5️⃣ 事業計画書の専門家確認
-
申請時の事業計画書は、中小企業診断士・公認会計士・税理士など経営専門家による「実現可能性の確認」が必要。
- 6️⃣ 事業所の要件
-
- 自宅兼事務所は原則不可。
- 事業規模に見合った独立した事務所の確保が必要。
- 7️⃣ 税金・社会保険・労働保険の納付確認(更新時)
-
- 雇用保険・労災保険・健康保険・厚生年金の加入と納付状況
- 法人税・住民税・消費税などの納税状況が審査対象に。
- 8️⃣ 許認可の取得
-
- 業種に応じて必要な許可証の提出が求められる。
- 許可が在留後にしか取れない場合は、次回更新時に提出。
- 9️⃣ 特定活動からの変更(スタートアップ・未来創造人材)
-
44号(外国人起業家)・51号(未来創造人材)ともに、
「施行日前に申請・証明取得」→旧基準
「施行日以降に申請・証明取得」→新基準 適用。 - 🔟 経過措置(既存の在留者)
-
すでに「経営・管理」で在留中の人は、3後の更新時に、改正後基準に完全適合が必要。
永住・高度専門職への影響
改正後の基準を満たさない場合、永住許可や高度専門職(経営系)への変更が認められない。



最後に、今回の改正で経営管理ビザのハードルは上がりましたが、冷静に考えると、起業(創業)の本質的なところは変わっていません。
こうなった以上、資金を用意し、よりご自分のビジネスを真剣に考え、ビジネスプランを磨き上げる良いきっかけにして欲しいです。
長文を読んでくれてありがとうございました。
経営・管理ビザでお悩みの方へ。一人で抱え込まず、専門家にご相談ください。
経営・管理ビザは、厳格化になりましたが、一つ一つ丁寧に要件をクリアしていくことで許可見えてくる在留資格でもあります。ただ、事業内容、個々の状況によって、準備すべき書類も、説明すべきことも違いますので、経営・管理ビザで不安な点があれば、申請をしてしまう前に、ぜひ一度当事務所にご相談ください。
あなたの最善策を見つけ、ご提示します。
Noah行政書士事務所の代表であるJINは、2014年開業、開業以来、入管業務のみをやってきました。
当事務所は、お客様一人ひとりの状況を丁寧にヒアリングし、豊富な経験と知識に基づいて、許可の可能性を最大限に高めるための最適なサポートをご提供します。不利な事情がある場合でも、どのように説明し、許可に向けて何をすべきかを一緒に考え、最善の道を探ります。
あなたの日本での生活基盤を守るため、私たちが全力でサポートいたします。
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