2025年8月に出入国在留管理庁から発表された新ガイドラインにより、経営管理ビザ(経営・管理在留資格)の取得要件が大幅に厳しくなります。施行は2025年10月中旬を予定。
この記事は、2025年9月28日に更新しました。
- 日本で起業を考えている外国人起業家・投資家
- すでに経営管理ビザを持っている人(更新予定者)
- 外国人起業家を支援する士業(行政書士・弁護士)やコンサルタント
- 外国人材の採用を検討する日本企業
- 留学生や高度人材で「将来は起業したい」と考えている人

この記事を書いた人
行政書士 Jin JaeHo(韓国人の行政書士)一児のパパ
2014年開業
入管業務が専門
不許可案件、リカバリー案件に豊富な実績あり。
経営・管理ビザの審査基準の改正後は「資本金3,000万円」以上必要になります。
そこで、改正前に3,000万円以下の投資で、経営・管理ビザを取得した人は、「更新でも資本金3,000万円以上が維持できないと更新できないのでは?!」と不安を感じている経営者の方も少なくありません。
この記事では、改正後における経営・管理ビザの更新審査で重要となるポイントを解説します。
1. 経営・管理ビザの「更新」と「新規申請」の違い
まず、押さえておくべきなのは、ビザの「更新」と「新規申請」の審査基準が異なるという点です。
- 新規申請
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事業開始の要件として、上陸許可基準(事業規模や事業所要件など)を満たす必要があります。経営・管理ビザの在留資格認定証明書交付申請、在留資格変更許可申請書がこれに当たります。
- 更新申請
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更新申請は、経営・管理ビザの在留資格を持っている人がその在留期限を延長する手続きです。
2.更新申請の一般的な要件
以下の要件は、経営・管理ビザに限らず、就労系の在留資格に適用されるルールです。
在留期間更新主に以下の2つの要件で判断されます。
- 在留資格該当性: ビザの目的に合った事業活動を適切に継続しているか。
- 狭義の相当性: 更新を認めるに足る理由があるか。(納税義務の履行、適正な雇用条件など)
狭義の相当性を簡単に言うと 現在の在留資格にふさわしい活動をきちんと行っているか を見るものです。詳しいことは、下記の記事をご参照ください。
この記事は、在留期間更新についての入管の審査ポイントについて詳しく解説した記事です。
在留期間更新は、資格該当性、(狭義の)相当性で許可の可否を判断します。相当性の抽象的な要件をより具体的に解説していますので、ぜひ、参考にしてください。
3.上陸許可基準と更新審査の関係
在留資格更新の審査では、原則として「上陸許可基準」にも適合していることが求められます。
「上陸許可基準」とは、法務省が定める在留資格ごとの基準のことです。
経営・管理ビザの場合は「事業規模」や「事業所の要件」がそれにあたります。
この点だけを見ると、「更新時にも資本金3,000万円を維持していなければならない」とも解釈できそうです。
しかし、更新審査においては、この上陸許可基準は“可変的”に扱うことができるとされています。
つまり、最初に入国(上陸)する時点で上陸許可基準を満たしていれば、更新のときにその基準をそのまま機械的に適用する必要はない、という運用です。
これを今回の経営・管理ビザの更新に当てはめると、今回の厳格化で設けられた「資本金3,000万円」の要件は、あくまで新規申請時の「上陸許可基準」であり、更新審査では、この基準がそのまま適用されることは極めて低いことになります。なぜなら、事業の状況は日々変動するため、設立当初の資本金を常に維持するという考え方は非現実的だからです。
もし更新時にも厳格に上陸許可基準を適用するなら、例えば新しく会社を作って経営・管理ビザを取得した人が、初年度決算で100万円の赤字を出した場合、更新の際には資本金を100万円増資しないと更新できない、という極端な状況になります。
また、国内一般企業における資本金3,000万円未満の割は、およそ 90~93 % 程度とされており、ここに外国人が経営している会社も含まれております。
仮に、外国人が経営している会社の資本金を3,000万円にしなければならないことになったら、約90%の外国人経営の企業が資本金増資を余儀なくされます。これはいくら何でも非現実的で、入管法の経営・管理ビザの趣旨にも反するでしょう。
4.経営・管理ビザの更新要件
(1)経営・実体の説明
更新審査で最も重視されるのは、何といっても「経営実態」です。当たり前ですが、実体がないと経営・管理ビザを与える必要がないためです。
入管庁が今回の審査を厳格化した背景には、事業活動がほとんどない「ペーパーカンパニー」の増加があります。そのため、更新審査では、形式的な書類だけでなく、事業が実質的に行われていることを証明する詳細な説明が求められます。
具体的には、以下の資料を提出する必要があります。
- 事業の実体性・継続性: 設立時から現在まで、事業活動が途切れることなく継続しているか。
- 収益性: 安定した事業運営ができており、独立した生計を営めるだけの収益を上げているか。
- 雇用・納税: 従業員の雇用状況や、税金・社会保険料の支払い状況は適正か。
(2) 事業の実体性・継続性を説明するための経営活動内容を説明

今回の資本金などの厳格化が行われる前に、経営管理ビザの更新において、実際の経営活動内容を説明する義務は、2025年7月17日から強化されています。
この変更により、カテゴリー3・4に該当する中小規模の事業者向けに、更新申請時に「直近の在留期間における活動内容を説明する文書(任意様式)」の提出が義務化されました。
新基準のポイント
まず、今回の「直近の在留期間における活動内容を説明する文書」は、決まった形式はないので、業種、ビジネスモデルに合わせて次のポイントを考えながら記載すればいいと思います。
①前回の更新時から今回の更新時までの事業活動の説明(概要)
②上記①の事業活動からの以下の業務の報告
- 完了した業務
- 進行している業務
- これから行う予定の業務
③上記②の業務内容を裏付ける資料
例えば、建物の設計を請け負ったのであれば、その相手方との契約書、制作した商品、サビースの納入なら、納品書、相手からの売上が振り込まれた通帳のコピーなど
また、事業の継続性は、決算書を提出して説明します。
黒字決算なら、継続性につき、説明は不要ですが、短期でも大幅な赤字の場合、赤字の原因、今後の事業計画などを提出する必要があります。
なお、2期連続手の赤字の場合は、原則として中小企業診断士や公認会計士等の第三者による「経営改善の見通し評価書」(事業評価書)の提出が必要とされています。
5.2026年度より経営・管理ビザの更新に必要な書類
(1)改正前の経営・管理ビザの一般的な添付資料
<本人にかかわる書類>
- パスポートのコピー
- 在留カード両面のコピー
- 証明写真(3cm×4cm)
→クリアなJPG,PNGなどの画像データでも大丈夫です。
(※新しく撮影したもの。過去入管に提出したことのある写真は不可)
- 直近年度の住民税の課税証明書
- 直近年度の住民税の納税証明書
<会社にかかわる書類>
- 法人登記簿謄本
- 直近年度分給与所得の源泉徴収票等の法定調書合計表
- 直近年度分の法人確定申告書
※確定申告書は、損益計算書、貸借対照表のみで大丈夫です。
(2)今回の改正により、提出が義務化された書類(予想)

経営・管理ビザの審査要件改正後、更新時おける必要書類は、入管の正式なアナウンスはありません。よって、以下の内容は、私個人的な予想も含まれますので、参考程度にお考えください。
2026年度からは、上記①~⑧に加え、以下の書類の添付が必須となると予想されます。
従業員の雇用状況が分かる資料
- 従業員リスト
- 従業員の給与支払い証明(給与明細や源泉徴収票など)
- 従業員の在留カード、特別永住者証明書の写し
経営・管理ビザの実体がが分かる資料
・経営活動(内容・実体)説明書(2025年7月からの厳格化)
ただし、改正前の従業員要件なして、経営・管理ビザを取得し、従業員がいない状態で、上記の経営・管理の実体性・収益性に問題がなければ、「従業員の雇用状況が分かる資料」は不要になるかと思います。
結論として、経営・管理ビザの更新においても、資本金の額ではなく、いかに事業の実態を具体的に証明できるかが鍵となります。
経営・管理ビザでお悩みの方へ。一人で抱え込まず、専門家にご相談ください。
経営・管理ビザは、厳格化になりましたが、一つ一つ丁寧に要件をクリアしていくことで許可見えてくる在留資格でもあります。ただ、事業内容、個々の状況によって、準備すべき書類も、説明すべきことも違いますので、経営・管理ビザで不安な点があれば、申請をしてしまう前に、ぜひ一度当事務所にご相談ください。
あなたの最善策を見つけ、ご提示します。
Noah行政書士事務所の代表であるJINは、2014年開業、開業以来、入管業務のみをやってきました。
当事務所は、お客様一人ひとりの状況を丁寧にヒアリングし、豊富な経験と知識に基づいて、許可の可能性を最大限に高めるための最適なサポートをご提供します。不利な事情がある場合でも、どのように説明し、許可に向けて何をすべきかを一緒に考え、最善の道を探ります。
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