2025年10月16日、出入国在留管理庁より経営管理ビザの新規申請のルールが大幅に厳格化されました。それに伴い、更新に関する重要な改正ルールが発表されました。この改正は、日本で事業を営む外国人経営者や起業家にとって大きな影響を与える内容となっています。本記事では、改正省令の施行に伴う留意点を詳しく解説し、ビザ更新を控えている方が知っておくべき重要なポイントをまとめました。
今回(2025年10月16日)発表があったの新ルールについては、以下のPDFをご参照ください。
この記事は、2025年10月22日に更新しました。
- 日本で起業を考えている外国人起業家・投資家
- すでに経営管理ビザを持っている人(更新予定者)
- 外国人起業家を支援する士業(行政書士・弁護士)やコンサルタント
- 外国人材の採用を検討する日本企業
- 留学生や高度人材で「将来は起業したい」と考えている人

この記事を書いた人
行政書士 Jin JaeHo(韓国人の行政書士)一児のパパ
2014年開業
入管業務が専門
不許可案件、リカバリー案件に豊富な実績あり。
今回の改正は、経営管理ビザの許可基準を見直し、より実態に即した審査体制を構築することを目的としています。施行日以降、新規申請者と既存のビザ保有者では適用される基準が異なるため、自身の状況に応じた対応が必要です。
この記事では、改正後における経営・管理ビザの更新審査で重要となるポイントを解説します。
1. 経営・管理ビザの「更新」と「新規申請」の違い
まず、押さえておくべきなのは、ビザの「更新」と「新規申請」の審査基準が異なるという点です。
- 新規申請
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事業開始の要件として、上陸許可基準(事業規模や事業所要件など)を満たす必要があります。経営・管理ビザの在留資格認定証明書交付申請、在留資格変更許可申請書がこれに当たります。
- 更新申請
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更新申請は、経営・管理ビザの在留資格を持っている人がその在留期限を延長する手続きです。
2.更新申請の一般的な要件
以下の要件は、経営・管理ビザに限らず、就労系の在留資格に適用されるルールです。
在留期間更新主に以下の2つの要件で判断されます。
- 在留資格該当性: ビザの目的に合った事業活動を適切に継続しているか。
- 狭義の相当性: 更新を認めるに足る理由があるか。(納税義務の履行、適正な雇用条件など)
狭義の相当性を簡単に言うと 現在の在留資格にふさわしい活動をきちんと行っているか を見るものです。詳しいことは、下記の記事をご参照ください。
この記事は、在留期間更新についての入管の審査ポイントについて詳しく解説した記事です。
在留期間更新は、資格該当性、(狭義の)相当性で許可の可否を判断します。相当性の抽象的な要件をより具体的に解説していますので、ぜひ、参考にしてください。
3.上陸許可基準と更新審査の関係
在留資格更新の審査では、原則として「上陸許可基準」にも適合していることが求められます。
「上陸許可基準」とは、法務省が定める在留資格ごとの基準のことです。
経営・管理ビザの場合は「事業規模」や「事業所の要件」がそれにあたります。
その一方で、定住者6号、家族滞在などは、上陸時に未成年者で上陸しても、日本で成年に達した際、更新審査においては、この上陸許可基準は“可変的”に扱うことができるとされていました。
つまり、最初に入国(上陸)する時点で上陸許可基準を満たしていれば、更新のときにその基準をそのまま機械的に適用する必要はない、という運用でした。
Jinせんせい上記のことで、(ルール改正前の)個人的な見解として、既存の経営管理ビザを持っている方が更新する際に、資本金を500万円から3,000万円に引き上げることは可能性も低いだろうと予想していました。
だがしかし、入管は3年の猶予期間をもうけたものの上陸許可基準を“可変的”に扱うことなく、原則通り、適用する、するという発表がありました。
個人的には、これは、少しやり過ぎではないかと思っていますが、入管側から見れば、入管法や入管の在留審査要領を厳格に適用するだけのことなので、従うしかありません。
4.改正前の「経営・管理」の在留資格を持っている方が更新申請をする場合のポイント
(1)過渡期措置
施行後3年間(つまり 2025年10月〜2030年10月16日まで)は、改正後の基準を満たしていない場合でも、経営状況、法人税など納税、改正後の許可基準に適合する見込み等を踏まえ、許否判断を行うとしています。なお、審査においては、経営に関する専門家の評価を受けた文書を提出いただくことがあります。



ここでいう、「経営状況」や「許可基準に適合する見込み」は、具体的に何かまでは、発表はなく、個人的な見解ではありますが、おそらく、以下のものを指すのではないかと推測します。
・経営状況:決算書での売上、利益、利益率
・許可基準に適合する見込み:要は、3年以内に会社なら「資本金(出資額)」を3,000万円にすることができるか、個人事業なら、設備投資経費などに投下された金額が3,000万以上なる見込みがあるか、です。
また、この3,000万円は、増資でもいいし、融資(借入金)でも構いません。ただ、資本金を増額した資源と流れを説明しなければいけません。
(2)改正後、会社の資本金などを証明する資料について



以下の提出資料は、入管が明確に発表したのもありますが、入管の実務家として個人的な予想も入っていることを予めご了承ください。
事業の規模に係る提出資料について
常勤職員1名以上の雇用 + 資本金3,000万円以上 要件を裏付ける証明資料
①常勤職員に係る資料
- 常勤職員に関する資料
-
- 従業員数を示す資料
- その数が二人以上である場合には、当該二人の職員に係る賃金支払に関する文書
- 住民票
- 在留カード又は特別永住者証明書の写し

Jinせんせい

上記の「職員に係る賃金支払に関する文書」は雇用契約書で大丈夫です。
経営管理ビザにおける常勤職員とは、主に「日本人」や「特別永住者」「永住者」「定住者」「日本人の配偶者」「永住者の配偶者」など、日本国内に安定した居住資格を持ち、週5日以上、週30時間以上の勤務をする正規雇用者を指します。
②資本金について
- 法人の場合
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株式会社、合同会社:資本金の額
合名会社、合資会社:出資の総額を証明する資料。資本金、出資の総額に係る提出資料の具体例- 登記事項証明書
- 出資金の払込証明
- 銀行口座の残高証明など
新株予約権の発行によって資本金を増資する場合
①新株予約権の発行にあたり締結された投資契約書(J-KISS型新株予約権契約書など)
②上記①の締結によって実際に払い込まれた額を証明する資料(通帳の写し若しくは取引明細書の写し) - 個人事業主の場合
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今回の資本金の大幅引き上げは、会社設立を前提としたものですが、個人事業主での経営管理ビザの更新についても適用されます。
つまり、個人事業主の場合であっても、2028年10月16日までは、合計で3,000万円を投資する必要があります。これは、小規模な個人事業主にとってはかなり高いハードルと言えるでしょう。
ただし、上記、資本金の増資などにつき、2028年10月16日までは、必須要件ではなく、経営の実態、財務状況などを総合的に判断し、更新の可否を決めることになっています。
経営・管理ビザでお悩みの方へ。一人で抱え込まず、専門家にご相談ください。
経営・管理ビザは、厳格化になりましたが、一つ一つ丁寧に要件をクリアしていくことで許可見えてくる在留資格でもあります。ただ、事業内容、個々の状況によって、準備すべき書類も、説明すべきことも違いますので、経営・管理ビザで不安な点があれば、申請をしてしまう前に、ぜひ一度当事務所にご相談ください。
あなたの最善策を見つけ、ご提示します。
Noah行政書士事務所の代表であるJINは、2014年開業、開業以来、入管業務のみをやってきました。
当事務所は、お客様一人ひとりの状況を丁寧にヒアリングし、豊富な経験と知識に基づいて、許可の可能性を最大限に高めるための最適なサポートをご提供します。不利な事情がある場合でも、どのように説明し、許可に向けて何をすべきかを一緒に考え、最善の道を探ります。
あなたの日本での生活基盤を守るため、私たちが全力でサポートいたします。
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