- 定住者にビザについて知りたい
- 日本人と離婚後、引き続き、日本で生活したい
- 日本人と死別後、引き続き、日本で生活したい
- 日本人と離婚したけど、二人の間で生まれた子供(日本人)を日本で扶養したい
- その他、上記の事例には当てはまらないけど、日本に長く生活していた方が定住者ビザを取得したい
この記事を書いた人
行政書士 Jin JaeHo(韓国人の行政書士)一児のパパ
2014年8月 行政書士登録
入管業務が専門 (特に、配偶者ビザ、定住者ビザ、永住ビザが得意)
不許可案件、リカバリー案件に豊富な実績あり。
この記事、前回の記事につづき、告示外定住者の対象(定住者とは何か、「資格該当性」)を中心に詳しく解説します。また、個別の定住者の詳細な審査要件は、定住者別に分けてブログ記事を書く予定です。
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1.告示外定住者
前回の記事において、上記の告示定住者(1号~8号)は、法務大臣の告示により定められた者ですが、告示外定住者は、法務省令で定められていない個別・特別な事情により、在留資格「定住者」が付与される外国人です。
(1)難民定住
対象になる者(資格該当性)
法務大臣より、難民として認められたもの
日本に入国した後、自分の意思で難民認定をし、難民認定を受けた者になります。
告示定住者1号の(第三国定住)難民とは異なります。
告示外定住の「難民」の定義は、難民条約にその定義があります。
「人種、宗教、国籍、政治的意見または特定の社会集団の構成員であることまたは政治的意見を理由に迫害を受けるおそれがあるという十分に理由のある恐怖を有するために、国籍国の外にいる者であって、その国籍国の保護を受けられない者またはそのような恐怖を有するためにその国籍国の保護を受けることを望まない者」
(難民条約第1条)
「難民」の定義は、上記、難民条約のとおりで、該当される範囲が狭いこと、また、立証することが非常に困難である問題はあります。
一方、具体的にどんな人が難民認定となったのか、具体的な事例を入管の方で発表しているので興味のある方は、こちらのpdf読んでください。
また、難民条約に当てはまらない「難民」ではあるが、人道的な理由で難民と認定されるが補完的保護(制度)です。(補完的保護対象者)の代表例が、戦争や紛争です。直近は、ウクライナの戦争から日本に保護を求められた方々(以下、「ウクライナ避難民」)です。
一般の方は、「ウクライナ避難民」のことを難民である認識が強いと思いますが、厳密にいうと難民条約での難民ではないため、在留資格が許可されたとしても「定住者」ではなく、「特定活動」の在留資格が付与されます。在留資格の種類が違うものの「ウクライナ避難民」の方は、自治体などで、「難民定住者」に相当する支援が受けられます。似たような事例で、ミャンマーのロヒンギャ族、シリア内戦での「避難民」などがこれに該当します。
むしろ、「難民」には該当しないが、補完的保護対象者として許可され、「特定活動」の在留資格が付与された人の方が多いです。
以下、最近の難民認定申請状況や難民認定申請の許可率などです。ただ、この内容は、本題から多少、外れる内容なので、興味のある方のみ読んでください。
入管が発表した、直近2年分(令和4年、令和5年)における難民認定者数等について
令和4年における難民認定者数等について(令和5年3月24日、発表資料)
・難民認定申請者数は3,772人で、前年に比べ1,359人(約56%)増加。また、審査請求数は4,461人で、前年に比べ415人(約10%)増加。
・難民認定手続の結果、我が国での在留を認めた外国人は1,962人。その内訳は、難民と認定した外国人が202人、難民とは認定しなかったものの人道的な配慮を理由に在留を認めた外国人が1,760人。
令和5年における難民認定者数等について(令和6年3月26日、発表資料)
・難民認定申請者数は13,823人で、前年に比べ10,051人(約266%)増加。また、難民の認定をしない処分に対する審査請求数は5,247人で、前年に比べ786人(約18%)増加。
・補完的保護対象者認定申請者数は678人。また、補完的保護対象者の認定をしない処分に対する審査請求数は0人。(注1)
・難民認定手続、補完的保護対象者認定手続及び審査請求(以下「難民認定等手続」という。)の結果、我が国での在留を認めた外国人は1,310人。その内訳は、難民と認定した外国人が303人、難民とは認定しなかったものの補完的保護対象者と認定した外国人が2人(注2)、難民及び補完的保護対象者のいずれにも認定しなかったものの人道的な配慮を理由に在留を認めた外国人が1,005人。
詳しい内容が気になる方は、以下のリンク先でご確認ください。
令和6年の難民認定率を確認すると、上記のとおり、審査請求をした人が1,310人の中で、認定された人は、303人もいることに当職が一番驚いています。もちろん、これは、審査請求での数字なので、始めに(難民認定した当初)難民認定した数は、どのぐらいなのか、定かではないものの、驚きの数字であることは間違いありません。ちなみに、令和3年の難民認定率は、0.3%でした。
また、補完的保護対象者としての、認定申請の許可率も大幅に上がりました。ウクライナ避難民の方や紛争地域での避難民が多数を占めているとはいえ、2023年1月~3月までの補完的保護申請者数は1,023人で認定者数は1,005人で、認定率は98.3%というのは、なかなか見れない数字です。当職も行政書士になってから、難民認定率を毎年チェックしたりしますが、初めて見た数字でした。
以上が「難民定住者」についてでした。
(2)いわゆる「離婚定住」
離婚定住ビザとは、日本人の配偶者や永住者の配偶者などで在留していた外国人が、配偶者と離婚後も引き続き日本で生活したい場合に申請するもので、一般的には「離婚定住ビザ」と呼ばれています。
ただ、この在留資格は、告示外定住であるため、「在留資格認定証明書交付申請」(新規ビザ取得するための申請)は出来ず、在留資格変更申請するしか道はありません。
「離婚定住」にかかわる定住者の累計は以下の3つです。
①日本人,永住者又は特別永住者である配偶者と離婚後引き続き日本に在留を希望 する者(以下、「離婚定住」)
②日本人,永住者又は特別永住者である配偶者が死亡した後引き続き日本に在留を 希望する者(以下、「死別定住」)
③日本人,永住者又は特別永住者との婚姻が事実上破し,引き続き日本に在留を希望する者(以下、「婚姻破綻定住」)
①②③いずれもその対象が、日本人、永住者、特別永住者の3者です。また、「離婚定住」「死別定住」「婚姻破綻定住」も日本での定着性がこの在留資格の本質なので、前の配偶者との婚姻期間が申請のポイントになります。また、生計維持要件なども審査対象にはなりますが、これは、外国人の状況によって比較的に緩やかに審査します。
また、「婚姻破綻定住」は、夫婦の婚姻関係破綻の原因が配偶者によるDVなどがその要件になっております。
さらに、(配偶者のDVなどによらず)ただ単に性格不一致で婚姻関係が破綻した場合は、そのまま「定住者」への在留資格は変更できず、離婚が確定してから「離婚定住」申請することになります。
また、この場合、離婚する前に、「日本人の配偶者等」や「永住者の配偶者等」の在留資格の更新期間になったら更新が必要となり、このときは、必ず、入管に「現在、婚姻関係が破綻し、別居をしている事情などがあれば、その旨を正直に申告してください。」これによって、(前配偶者と一定の婚姻期間があることが前提になりますが)「離婚定住」への在留資格変更申請もスムーズになります。
入管は、婚姻関係破綻後においても、事情を正直に言えば、「6か月」ではありますが、婚姻関係の決着が付くまで、更新してくれる可能性が極めて高いです。(当職の経験上、この場合、更新してくれないケースは、見たことはありません。)
(3)日本人の実子を扶養する定住者(日本人実子扶養定住)
日本人実子扶養定住は、例えば、日本人の配偶者で在留していた外国人妻が、日本人の夫離婚した場合、または、死別した場合において、前夫との間で、もうけた子供を扶養するための在留資格です。
日本人の「実子」とは、婚姻関係で生まれた子供ではなくても大丈夫です。つまり、認知した子供でも大丈夫です。さらに、認知により、父子関係が確立していれば、子供の国籍が外国であっても、ここでいう「日本人の実子」の対象になります。
ここは、一般の方は、もちろん、入管業務が浅い、先生も間違いやすいところです。
なお、日本人実子扶養定住は、「離婚定住」などと違い、日本における定着性はあまり関係ありません。日本人の実子の扶養がその目的であるためです。
ただし、日本人実子扶養定住の資格該当性は、「日本人の実子を監護・養育する者」となっているため、親権が外国人であることはもちろん、日本人実子との同居要件などが審査の対象になっております。
(4)補完的保護対象者認定申請で「特定活動」の在留資格を持って人を対象にした定住者
タイトルの通りですが、上記①の補完的保護対象者認定申請(難民認定申請)において、難民条約の「難民」には当てはまらないが、人道的な理由で「特定活動」の在留資格を持っている方は、その対象になります。以下、資格該当性です。
難民の認定をしない処分(以下「難民不認定処分」という。)後,特別な事情を考慮して在留資格「特定活動」により,1年の在留期間の決定を受けた者で,在留資格「定住者」への在留資格変更許可申請を行った者
この場合、以下のいずれかの要件が必要です。
① 入国後10年を経過していること。
② 在留特別許可又は在留資格変更許可により在留資格「特定活動」の決定を受けた後,3年を経過していること。
(5)その他、日本の定着性による定住者ビザ変更申請
①日本で小中高を卒業したもの
要件
- 日本の義務教育(小学校及び中学校)を修了していること
※中学校には夜間中学を含みます。 - 日本で高等学校等を卒業していること又は卒業見込みであること
※高等学校には定時制課程及び通信制課程を含みます。 - 入国後、引き続き「家族滞在」の在留資格をもって日本に在留していること
※ 「家族滞在」以外の在留資格で在留している方でも、「家族滞在」の在留資格該当性がある方は、本取扱いの対象となります。 - 入国時に18歳未満であること
- 就労先が決定(内定を含む。)していること
※当該就労先において、資格外活動許可の範囲(1週につき28時間)を超えて就労すること
なお、以下の場合は、定住者ビザまではいかなくても、「特定活動ビザ」取得が可能です。
- 日本で高等学校等を卒業していること又は卒業見込みであること
※ただし、高等学校等に編入している場合は、卒業に加えて日本語能力試験N2程度の日本語能力を有していることが必要。 - 扶養者が身元保証人として在留していること
- 入国時に18歳未満であること
- 就労先が決定(内定を含む。)していること
※当該就労先において、資格外活動許可の範囲(1週につき28時間)を超えて就労すること
②その他、個別に日本での定着性が認められる場合。
上記(1)~(5)以外にも、個別・特別な事情が認められる場合、告示外定住の在留資格が付与される場合があります。
当職の経験上、以下の案件において、定住者ビザの申請して許可になったことはあります。
①定住者(5号)から(告示外)定住者へ変更
私が担当した5号定住者の女性(以下、「Aさん」)は、定住者である夫と結婚して、離婚しました。
離婚定住で、その対象になるのは、日本人の配偶者、永住者の配偶者、特別永住者の配偶者になります。よって、定住者の配偶者(定住者5号)である「Aさん」は「離婚定住」の対象ではないので、「Aさん」が変更できる在留資格が見当たらない状態でした。
しかし、「Aさん」には、離婚する前の(前夫)とのあいだで、子供が二人いて、長男は、5歳頃に日本に来て、次男は日本生まれ、日本育ちでした。二人とも日本の高校、中学校を在学していました。また、「Aさん」も日本に来て十数年が過ぎました。
以上の状況から、入管には、子供の日本の在留状況、「Aさん」の「日本の定着性」について説明し、これらの立証資料を添付して、申請したところ、許可になったことがあります。
②家族滞在から(告示外)定住者へ変更
私が担当した家族滞在の女性(以下、「Bさん」)は、夫(以下、「Cさん」)が「技術・人文知識・国際業務」の在留資格でした。「Bさん」と「Cさん」の間には、小学校に通っている娘がいました。この状態で「Bさん」と「Cさん」が離婚しました。
離婚後、「Bさん」は、学歴がなかったため、就労ビザなどに変える余地もなく、かといって、「離婚定住」ビザにも当てはまらないため、変更できる在留資格が見当たらない状態でした。なお、「Bさん」は、上記(5)ー①で、事例のうち一つも当てはならない方でした。
しかし、「Bさん」は、上述のとおり、小学校に通っている娘がいて、上記「Aさん」と同様に、「Bさん」も日本に来て十数年が経っていました。
以上の状況から、入管には、「Aさん」と同様に「Bさん」の子供の日本の在留状況、「Bさん」の日本の定着性について説明し、これらの立証資料を添付して、申請したところ、「Bさん」とその娘二人共に許可になったことがあります。
ただし、「個別に日本での定着性が認められる場合」において、定住者への変更は、の根拠がなる条文がなく、在留審査要領ですら何も書いてないところであり、審査要件が不透明である上に、日本での定着性の定義も抽象的であるため、同じような事案でも許可になるかというと、申請してみなければ何とも言えない申請類型です。
なお、「Aさん」と「Bさん」の共通点は、子供が日本の小中高校に通っていて、本人たちも日本に来て十数年経ったことでした。
以上、当職は、上記の事例で、実際に許可になった経験があるので、(留学や文化活動などそもそも日本の定着性が認められない在留資格を除き、)「家族滞在」「就労系の在留資格」などの在留資格であっても、日本の定着性が非常に強い場合は、告示外定住者へ変更できる可能性はあるので、自分が、日本の定着性が強いと思った方は、一度、個別にご相談ください。
- 定住者ビザは、告示定住者と告示外定住者がある
<告示定住者のまとめ> - 告示定住者は、1号から8号まであるが、2号が削除されたため7種類がある
- 告示定住者をおおざっぱに分けると、「難民」を除いて、日系2世・3世のためのビザ、定住者の配偶者などを呼ぶビザ、子供を呼ぶビザの3つに分けることができる
- 1号定住者の対象は、(第三国定住)難民である。
- 3号と4号の対象者は、日系2世、3世などである。
- 5号定住者の対象者は、定住者の配偶者などである。
- 6号定住者の対象者は、(帰化した)日本人、永住者、特別永住者、在留期間が1年以上の定住者などである。
- 7号定住者の対象者は、日本人、永住者、特別永住者、在留期間が1年以上の定住者の「6歳未満の養子」である。ただし、「国際養子縁組」をするには、「法の適用に関する通則法」が適用され、原則、養子の母国においての「養子縁組の要件」を満たすことと、日本において、「養子縁組要件」を満たす必要がある。
- 8号定住者の対象者は中国残留日本人と身分関係を有している者などである。
<告示外定住者のまとめ> - 告示外定住者は、法務省令で定められていない個別・特別な事情により、在留資格「定住者」が付与される外国人であり、以下の4つの類型に分けられる。
①難民
②「離婚定住」
③「日本人実子扶養定住」
④補完的保護対象者での「特定活動」の在留資格を持って人を対象にした定住者 - ①難民定住者は、日本において、難民認定申請をし、「難民」と認定された場合、与えられる在留資格である。
また、難民条約の「難民」に当てはまらないが、戦争などの「避難民」などの人道的な理由で在留資格が付与される(補完的保護制度)場合がもっと多い。 - ②「離婚定住」は、以下の3つの類型がある
・離婚後引き続き、日本に在留を希望 する者「離婚定住」
・配偶者が死亡した後引き続き日、本に在留を 希望する者「死別定住」
・婚姻が事実上破綻し,引き続き、日本に在留を希望する者「婚姻破綻定住」 - ③「日本人実子扶養定住」での実子は、日本人の実子であれば、認知された子供でも子供の国籍が外国であっても、ここでいう「日本人の実子」の対象となる。また、「日本人の実子を監護・養育する者」となっているため、親権が外国人であることなどが必要である。
- ④補完的保護対象者での「特定活動」の在留資格を持って人は、一定の期間(入国から10年、左記の「特定活動」の在留資格許可時から3年)が過ぎると、「定住者」への在留資格変更申請ができる。
- その他、個別・特別な事情が認められる場合、告示外定住の在留資格が付与される場合があり、当職は、「定住者の配偶者」「家族滞在」などの在留資格から「定住者」へ在留資格変更許可申請をし、許可になった経験がある。
次回は、子供を呼び寄せることができる「6号定住」について
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