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[これだけは、知っておきたい!]資格該当性と上陸許可基準とは

資格該当性と上陸許可基準のアイキャッチ画像

この記事を書いた趣旨。

この記事は、「在留資格認定証明書交付申請」(COE申請)や上陸審査などでよく出てくる「資格該当性」と「上陸許可基準」を理解してもらうために書きました。

この記事を書いた人

行政書士 Jin JaeHo(韓国人の行政書士)一児のパパ
2014年開業
入管業務が専門 
不許可案件、リカバリー案件に豊富な実績あり。

「資格該当性」と「上陸許可基準」は、「在留資格認定証明書」交付申請及び「上陸審査」時ににおいて、最重要な審査要件であり、この言葉の意味を理解できないと、ビザに関する記事を読んでもついていけないと思います。
「資格該当性」と「上陸許可基準」というと、難しく感じるかもしれませんが、実は、そんなに難しいことではないので最後までついてきてください。

登場人物

ゆきまさ君のイラスト1
ゆきまさくん

ビザに興味があり、外国人の友たちがいっぱいいるねこ。

Noah国際行政書士事務所代表のアイコン-2
Noah国際行政書士事務所

Jin先生
ゆきまさくん

こんにちニャー
Jin先生、久しぶり。

Jinせんせい

おう!今日は、どうしましたか?

ゆきまさくん

友たちが海外にいる恋人を呼びたいため「在留資格認定証明書」交付申請をしようとして、色々調べたけど「資格該当性」とか「上陸許可基準」とかの言葉が出てきてよくわからないから、ねこでもわかるように説明してほしい!

Jinせんせい

ネコでもわかるようにか?!
それはハードル高いね。

本論に入る前に2つの言葉について整理しましょう
①在留資格

在留資格を端的にいいますと、外国人が日本に滞在することができる資格のことです。(以下、在留資格」)そして、入管法は、この在留資格を外国人の活動目的を基準に29種類(カテゴリー)に分けています。

②在留資格認定証明書交付申請

在留資格認定証明書を端的にいいますと、新規で外国人を呼び寄せるときには、海外にある日本大使館などでビザ申請することになりますが、そのときに必要な必須添付書類です。

少しややこしいのですが、ビザ申請は、海外にある日本大使館などで申請しますが、在留資格認定証明書交付申請は、日本にある「出入国在留管理庁」に申請します。
順番としては、まず、「出入国在留管理庁」に在留資格認定証明書交付申請をし、交付を受けたら、海外にある日本大使館に「ビザ申請」をする流れになります。

一般的には、在留資格のことを「ビザ」と呼ぶことが多いです。以下、それに関連する記事です。

在留資格認定証明書交付申請(配偶者ビザ)取得のアイキャッチ画像

この記事は、「在留資格認定証明書(COE)」の申請プロセス、必要書類、及びその役割などについて詳しく説明しています。

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この記事でわかること

1.資格該当性と上陸許可基準

まず、資格該当性は、入管法が決めた大枠のルール、上陸許可基準は、法務省で決めた具体的なルールと覚えてください。最後まで読めばこの意味がおわかりになるかと思います。

(1)資格該当性とは入管法で決めた大枠のルール

国会で決めたルール

資格該当性は、入管法の条文の一つであり、入管法は、(法律なので)国会でそのルールを決めます。

Jinせんせい

資格該当性を端的にいうと、入管法で、外国人が日本で行う予定である活動(在留資格)は「こうゆうものですよ!」と大枠のルール(基準)を決めることです。

そして、外国人が「在留資格認定証明書交付申請」をしたときは、外国人が申請した活動が「資格該当性」に合致しているかどうか、判断することを「資格該当性」の判断といいます。

もっと端的な理解でよければ、資格該当性は、入管法が決めて「在留資格」そのものと理解してもいいです。

ゆきまさくん

うん~何となくわかったけど、具体的な例で説明して!

Jinせんせい

それでは具体的な例で説明しましょう。

(例)入管法では、「技能」の在留資格を以下のように規定しています。(「技能」の資格該当性)

本邦の公私の機関との契約に基づいて行う産業上の特殊な分野に属する熟練した技能を要する業務に従事する活動。該当例としては、外国料理の調理師、スポーツ指導者、航空機の操縦者、貴金属等の加工職人等。

言葉の整理
・本邦:日本
・公私の機関:国、地方自治体、地方公共団体、法人などの機関

Jinせんせい

「技能」の在留資格(ビザ)において、資格該当性は、さきほど言ったとおりに、端的にいうと、「外国料理の調理師」そのものが「資格該当性」にあたります。

ゆきまさくん

え~!でも先、在留資格は29カテゴリーがあると言ったじゃない?
ということは、資格該当性も29カテゴリーにすべてにあるとのこと?

Jinせんせい

はい。厳密にいうと少し、違うけど、ひとまずはその理解でいいです。

在留資格は、29種類(カテゴリー)がありますが、一つのカテゴリーに何十種類の在留資格があり、その枝分かれした在留資格を合計すると、実は、100種類以上の在留資格が存在します。

すなわち、100以上の資格該当性が存在するとのことです。

Jinせんせい

ゆきまさくん、まずは、ここまで理解してくれましたか?

ゆきまさくん

おう!何となく分かるようになったニャー。

Jinせんせい

じゃ、次は、「上陸許可基準」について説明しますね。

(2)上陸許可基準は、法務省が決めた具体的なルール

日本の法務省でのルール

上陸許可基準は、資格該当性を満たすためには、「こういうような条件が必要ですよ!」と法務省が決めたルールです。

ゆきまさくん

Jinせんせい、上陸許可基準で「上陸」という言葉が出てくるんだけど、「上陸」と「入国」は、どう違うの?

Jinせんせい

ここは、入管のウェブサイトを引用しますね。

外国と国境を陸続きで接する国にあっては、入国とは外国人が国境を越えて領土内に入ることであり、これと別に上陸という概念を設定する実益もありませんが、周囲を海に囲まれている我が国においては、外国人が領海内に入ること(入国)と外国人が領土に入ること(上陸)を区別しています。

 すなわち、入管法では、入国と上陸を別個の概念として区別し、この2つについてそれぞれ異なった規制をするという入国管理法制を採用しています。

出典:法務省、入国・帰国手続 <フローチャート>

上記の内容をまとめると、以下の通りです。

国境を陸続きで接する国(中国、モンゴル、ヨーロッパなど)の場合の入国

外国人が国境を越えて領土内に入ること

島国日本のほか,インドネシア・フィリピンなど)の場合

入国

外国人が領海内に入ること
例えば、飛行機が空港に着陸して、入国審査の前の状態、また、船が港に接岸して、入国審査前の状態。

上陸
外国人が領土に入ること
例えば、入国審査のケートを通って、空港の外に行ける状態

Jinせんせい

法律上では、「日本の領土」に入ることを上陸という言葉を用いて、「上陸審査」といいますが、実際には、「上陸」と「入国」は、あまり区別せずに使っています。

ゆきまさくん

うん~結局区別する必要ないのであれば、用語を「入国」に統一すればいいのにニャー、、、

上陸許可基準は、法務省が決めた具体的なルールと言ったけど、それを具体的に言って!

Jinせんせい

上陸許可基準とは、上述のとおり、日本に入国することを「上陸」といい、「許可基準」とは、上陸(入国時に、許可される具体的な条件を法務省令で定めたものです。具体的には、以下のとおりです。

(例)「技能」の「上陸許可基準」の一部。

上記の、資格該当性において、「熟練した技能を要する」とのルールがあります。ただ、この文言だけでは、具体的に「何を持って熟練したと客観的に認められるか」が分からないですよね?

そこで、法務省では、熟練した技能と言えるためには、「原則10年間実務経験が必要ですよ」という具体的なルールがあります。これが、「上陸許可基準」の一つになります。

また、「技能」ビザは、これ以外にも「上陸許可基準」があります。技能ビザは、別のテーマで詳しく説明しますね。

以上、上陸許可基準とは、入管法で定めて「資格該当性」という大枠のルールのもと、「法務省」がさらに具体的なルールを決めることをいいます。

Jinせんせい

ゆきまさくん、私の話、ついてきていますか?

ゆきまさくん

うん。要するに日本に入国するには、「資格該当性」と「上陸許可基準」の2つのハードルを越えなければいけないことは分かった。そして、資格該当性は、入管法が決めた大枠のルール、上陸許可基準は、法務省で決めた具体的なルールここまでは理解できた。

Jinせんせい

素晴らしい! まずは、その理解でいいです。

実は、在留資格の中には、「資格該当性」(入管法の大枠のルール)だけあって、「上陸許可基準」(法務省が決めた具体的なルール)がない在留資格もあります。

主には、居住系の在留資格と就労系の在留資格の一部ですが、これについては、今日の本題でなはいので、別のテーマで、また説明しますね。

ゆきまさくん

そうか!?
それでは、「資格該当性」しかない在留資格と「上陸許可基準」が必要な在留資格は、どのような基準で決めているの?

Jinせんせい

上陸許可基準をもうけた趣旨としては、日本社会に与える影響や在留資格の性質を考えて、日本社会に影響が大きいと考えられる活動には、もう一つのハードル(上陸許可基準)を設けたと考えればいいと思います。

一部の在留資格に上陸許可基準がないことについて(興味のある方のみ読んでください。)

例えば、就労系の在留資格の中には、「外交」「公用」「宗教」「報道」の在留資格は、「資格該当性」はありますが、「上陸許可基準」は、ありません。以下は、当職個人の見解です。

「上陸許可基準」がないことにつき、まず、「外交」「公用」は、外国政府の公務、大使館の職員、その家族などのために用意された在留資格であり、日本社会と競争関係ではないので、法務省令で具体的な条件をつける必要がないためだと思います。また、外国の大使館は、「治外法権」や「外交特権」の国際法上の問題から、日本国がこれに条件をつけられないというのが正解かもしれません。

また、「宗教」「報道」においても「在留資格」の数自体が少なく、日本社会に与える影響が少ないこと、日本人にとの競争関係ではないこと、憲法上、宗教の自由、言論の自由にかかわる問題であることから、あえて「上陸許可基準」という具体的な条件をつけてないと思われます。

さらに、居住系・身分系の在留資格(日本人の配偶者等、永住者の配偶者等、定住者)は、日本に生活するための在留資格であるため、性質上、「上陸許可基準」を設けるような在留資格ではありません。


ただ、「上陸許可基準」がない在留資格においても、(入管法5条の)上陸拒否自由に該当しないことは必要です。

以上、法務省による「上陸許可基準」の有無は在留資格が日本社会に与える影響や在留資格の性質によって異なります。

余談ですが、「上陸許可基準」のことを「基準適合性」と私たちの業界ではよくいいます。「基準適合性」での「基準」は、法務省の基準であり、「適合性」は、その基準に適合しているとのことです。
私、個人的には、「基準適合性」という言葉がしっくりきますが、皆さんは、覚えやすい用語で覚えてください。

「資格該当性」と「上陸許可基準」のまとめ

1.資格該当性は、入管法が決めた大枠のルール、上陸許可基準は、法務省で決めた具体的なルール

2.外国人が日本の領海内に入ることを、「入国」といい、外国人が日本の領土に入ることを「上陸」という。

3.「資格該当性」のみある在留資格もある。

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