この記事は、2025年1月26日に更新しました。
・経営・管理ビザにおいて詳しい審査要件が知りたい方
・特に経営・管理ビザが問題なく取れる事業所要件が知りたい方

この記事を書いた人
行政書士 Jin JaeHo(韓国人の行政書士)一児のパパ
2014年開業
入管業務が専門
不許可案件、リカバリー案件に豊富な実績あり。
この記事では、経営・管理ビザの審査において、入管の審査官が審査するポイントについて詳しく解説します。
「経営・管理」ビザを取得する際、事業所の確保は重要な要件の一つです。この記事では、事業所要件の中にも「事業所の独立性」に焦点を当てて解説します。
なお、出入国在留管理庁でも「経営管理ビザのガイドライン」を発表しているので興味のある方は是非ご確認ください。(ダウンロードは、こちらのサイトから)
事業所要件
当たり前ですが、日本で事業を営むためのビザなので、「経営・管理」の在留資格を得るためには、事業を行うための事業所が日本国内に確保されているか、存在していることが必要です。
1.事業所の定義その1(独立性)

総務省が定める日本標準産業分類の一般原則によると、事業所とは、「経済活動が単一の経営主体のもとで、一定の場所(一区画)を占めて行われていること。」をいい、事業所とは以下の2点を満たす場所を指します。
(1)単一の経営主体であること
「単一の経営主体」とは、一つの法人や個人が事業を運営していることを意味します。複数の会社が同じ場所で活動しているのではなく、申請者が経営する一つの事業体が独立して存在することが求められます。
(2)一定の場所(一区画)を占めて行われていること。
- 独立した事務所: 事業専用の独立したスペースが必要
- 明確な区画: 他の事業や住居と明確に区別された空間であること
- 継続的な使用: 短期間の賃貸スペースではなく、継続的に使用できる場所であること
2.事業所として認められないもの・認められるもの
上記の事業所の定義からも「バーチャルオフィス」「短期の賃貸スペース」「移動可能な屋台」などは、事業所として認められないことは容易に想像できると思います。
上記のような分かりやすい物件もあれば、事業所の構造などに応じて事業所要件の可否が分かれる物件もあります。
(1)レンタルオフィス

・仕切りのないオープンスペース
・仕切りのあるレンタルオフィス〇(仕切りの高さによっては、✖になるケースもあり)
また、仕切りやパーテーションは、固定式で、天井まで繋がっていることが望ましいです。
ただ、レンタルオフィスは、仕切りが天井まで繋がってない物件も多く、その場合はどうなるのかついて疑問をがある方もいるでしょう?

実は、仕切りの高さについて、入管の在留審査要領も経営管理ビザのガイドラインでも明確な基準はありませんが、上記の要件を満たすためには、以下の点が重要です。
●独立性の確保: 仕切りによって、他の区画と明確に区別され、事業活動に専念できる空間であることが必要です。
●事業活動に適した環境: 仕切りによって、事業に必要な設備や書類などを保管できるスペースが確保されていることが望ましいです。
したがって、仕切りの高さだけではなく、その空間が事業所としての要件を総合的に満たしているかどうかが審査のポイントとなります。
逆に、事業所が他の区画との仕切りが不十分で、事業所としての独立性が疑われるのではないかという懸念がある場合、上記の要件を満たすよう仕切りの高さを伸ばすなど工夫が必要になります。
実務上では、レンタルオフィスの場合、他社との間に180cm以上の固定されたパーテーションが必要(宅建業法)とされており、事業所の独立性を決める基準として一つの目安になっております。
また、レンタルオフィスで経営・管理ビザを申請する際には、事業所の写真を提出します。その時、仕切りの高さを図って報告しますが、必ずしも180㎝以上じゃないといけない訳でもなく、仕切りの上から人が覗き込むことができない高さであればいいので、概ね180㎝だと「独立性を確保」されていると言えると考えています。
(2)住居と兼用の場合


①1階が事務所、2階が住居のように、明確に事務所と住居の区分けがされている場合で、入り口も事務所用と住居用に完全に分かれている場合
②1階が事務所、2階が住居のように、事務所と住居の区分けがされている場合であっても1階の事務所の方にキッチンがあったり、リビングルームがあったりする場合
②の場合、次の工夫によっては、事業所として認められる可能性はあります。
・キッチンと事務所の一区画は、固定式仕切りやパーテーション明確に区切って「独立性」を確保すること(以下、「独立性」)
・事業活動に専念できる空間にすること。事業活動に専念できるというのは、人が動く「動線が被らない」ことを意味します。(以下、「事業の専念性」)
例えば、リビングルームを事務所のスペースとして使う場合、明確に区切ることはもちろん、生活動線<日常生活での移動経路(トイレに行く、寝室に移動するなど)>と被らない必要があります。また、キッチンを通過しないと事務スペースに行けないような作りもNGです。
ただ、①のように入り口まで事務所用と住居用が分かれている住宅は、なかなかないのが現実です。この場合、「独立性」「事業の専念性」の観点からは、NGですが、入り口の他は、「独立性」「事業の専念性」が確保されているのであれば、認められる可能性もあります。(ケースバイケース)
具体的には、来客動線と生活動線を分けるために入り口のすぐのところに仕切りを置くなど工夫が必要です。


マンションの1室を事務所として使用する場合、上記「一戸建て」の事務所の要件をすべて満たすことは、不可能までは言えないが、現実的ではないです。



マンションの場合、その前提が「居住用」なのでこれを「事業用です!」と言えるためには、3LDK以上の大きなマンションに、事業用と居住用の入り口を分ける工事をし、その上、事業用の区画と居住用の区画を完全に分離する必要があります。
自己所有のマンションは、このような工事が可能かもしれませんが、賃貸マンションは、まず無理でしょう。
ここまでして、わざわざ厳しい審査を受けるより、基準を満たすレンタルオフィスを借りた方が賢明です。
公共料金等の共用費用の支払いに関する取り決めが明確になっていること。
例えば、一戸建てを事務所兼住居用にするのであれば、事務所スペースと居住スペースの面積比率で按分する方法があります。
ただ、一番お勧めは、電気メーターを別々に設置することです。このようにすれば、居住用と住居用の電気使用料が明確になるため入管も税務署も納得するでしょう。
ただし、上下水道料金は、使用時間・人数による案分比例するしかないかと思います。
看板類似の社会的標識を掲げていること
看板類似の社会的標識とは、以下のようなものを指します
- 会社名などを明記した看板を設置
→建物の外壁や入り口付近に会社名を記載した看板を設置します。 - 事務所の玄関先に会社名などを記載した表札を設置
→事務所の玄関に会社名を記載した表札を取り付けます。 - 郵便受け(ポスト)に会社名などを記載した表札を設置
→郵便受けに会社名を明記し、設置します。 - (レンタルオフィスの場合)玄関やポストの他にも、事業所の入口のドアにも事業所の所在を明らかにする標識を設置
→オフィスビルやレンタルオフィスの場合、ドアや壁に会社名を記載したプレートを取り付けます。
表札取り付け時の注意点
標識は外部から明確に視認できる場所に設置する必要があります。
一時的な紙の張り紙ではなく、雨や強い風吹いても取れないものであることが望ましいです。(実務上では、テロップを使うか、表札をボンドなどで接着することで対応しています。)
会社名は登記上の正式名称を使用しましょう。



実務上では、申請人側がこれらの標識を設置状況も含め、事務所の場所、設備などの詳細を撮影し、事業所の間取り図なども付けて入管に提出するのが通常です。
経営・管理ビザ申請において、事業所要件は非常に重要であり、事業所の「独立性」「継続性」のみならず、事業の「実体性」を証明する必要があります。
私のブログで出来る限りの説明はしてありますが、ビジネスモデルによって事業所要件も様々なので、経営・管理ビザを申請予定の方は、専門家に相談することを強くお勧めします。
私でよければいつでも相談にのります。
(3)賃貸マンションなどを事務所にする場合(住居兼用ではない)
事業所が賃貸物件である場合、以下の点が必要です。
原則は、以下の4つの内容であれば問題ないです。
①使用目的が事業用、店舗、事務所等、事業目的であることが明記されていること。
②契約期間が2年以上あること。
契約期間が2年以下の場合は、「賃貸借契約書など」の更新の内容によって判断することになる。
③当該法人等が使用していることが明確であること。
④契約書のタイトルは、「賃貸借契約書」であること



次回は、「事業所の継続性」について記事を書きましたので、ぜひご確認ください。


この記事では、事業を行うために設備、契約期間、人などをどのように準備すればいいのか詳しく解説しています。
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