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[日本入国が心配な方必見!]上陸(入国)拒否事由5つの類型、具体的な事例で徹底解説!

上陸拒否事由の5類型徹底解説、アイキャッチ画像

この記事は以下の方のために書きました。
  • どんな場合に日本に入国することが禁止されるのか?その具体的な例を知りたい方
  • 犯罪などによる具体的な上陸拒否期間について知りたい方

この記事を書いた人

行政書士 Jin JaeHo(韓国人の行政書士)一児のパパ
2014年開業
入管業務が専門 
不許可案件、リカバリー案件に豊富な実績あり。

 この記事「日本上陸(入国)審査の流れ徹底解説!」の「続編」になります。この記事だけみて、やや分かりにくいと感じた方は、下の記事を先に確認してからこちらの記事に目を通していただければ幸いです。

日本上陸審査の流れ-キャッチ画像

この記事は、入国審査の流れ、電子化外国人入国記録カードの記入方法、入国審査の流れ、入国審査のポイント、上陸許可について説明しています。

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この記事でわかること

1.上陸拒否事由

日本の治安、公衆衛生、経済などを守るのは、主権国家として当然の権利であることは言うまでもありません。

法務省管轄、出入国管理局(以下、「入管」)には、国の責務を果たすため「好ましくないものを排除する」権利を持つ一方で、外国人の人権や国際法との整合性も考慮しなければいけない難しい立場にあります。

今日は、「好ましくないものを排除する」入管の役割にフォーカスすあてて、日本国にとって「好ましくないもの」は、具体的にだれなのかについて徹底的に解説しますので、入国に何か問題を抱えている方が、最後まで読んでいただければ幸いです。

上陸拒否自由の内容に入る前に、「上陸」と「入国」ついて、言葉の定義の整理をしたいと思います。

外国と国境を陸続きで接する国にあっては、入国とは外国人が国境を越えて領土内に入ることであり、これと別に上陸という概念を設定する実益もありませんが、周囲を海に囲まれている我が国においては、外国人が領海内に入ること(入国)と外国人が領土に入ること(上陸)を区別しています。

 すなわち、入管法では、入国と上陸を別個の概念として区別し、この2つについてそれぞれ異なった規制をするという入国管理法制を採用しています。

出典:法務省、入国・帰国手続 <フローチャート>

上記の内容をまとめると、以下の通りです。

国境を陸続きで接する国(中国、モンゴル、ヨーロッパなど)の場合の入国

外国人が国境を越えて領土内に入ること

島国日本のほか,インドネシア・フィリピンなど)の場合

入国

外国人が領海内に入ること
例えば、飛行機が空港に着陸して、入国審査の前の状態、また、船が港に接岸して、入国審査前の状態。

上陸
外国人が領土に入ること
例えば、入国審査のケートを通って、空港の外に行ける状態

しかし、「上陸」と「入国」は、法律用語に過ぎないと思ってください。実際には、「上陸」と「入国」ほぼ同義語です。海外から日本に帰国したことがある方は、わかると思いますが、例えば、日本人、外国人問わず、海外から日本に帰ってきたとき、飛行機から降り、空港の建物の扉を抜けるとき、「Welcome to Japan」という看板が目に入ると思います。


皆さん、その次はどこへ行くと思いますか?

そう!その次は、「上陸審査」ではなく「入国審査」と書いてある電光掲示板が皆さんの目に入ると共に、黄色い腕章をつけた綺麗な女性の方が「はい!外国人の方はこちらに並んでください」とか「日本人の方はこちらですよ」と皆さんを入国審査(上陸審査)の列に案内してくれると思います。
このように実質的には、「上陸」という言葉よりも「入国」っていう言葉が一般的です。

すみません。前置きが長くなりました。ここから本題に入ります!以下の上陸拒否の5つの類型です。

(日本)に上陸することを拒否(禁止)する5つの類型
  • 保健・衛生上の観点から上陸を認めることが好ましくない者
  • 反社会性が強いと認められることにより上陸を認めることが好ましくない者
  • 我が国から退去強制を受けたこと等により上陸を認めることが好ましくない者
  • 我が国の利益又は公安を害するおそれがあるため上陸を認めることが好ましくない者
  • 相互主義に基づき上陸を認めない者

1.保健・衛生上の観点から上陸を認めることが好ましくない者

保健・衛生上の観点からの上陸拒否イメージ写真

(1)検疫法に基づき上陸を拒否される者

  • 感染症患者の疑いがある者
    具体例:新型コロナウイルス感染症患者、エボラ出血熱患者、マラリア患者、新型インフルエンザ等感染症
  • 感染症の予防接種を受けていない者
  • 麻薬中毒者

(2)精神保健法に基づき上陸を拒否される者

  • 精神障害者で、他人に危害を加える恐れがある者
  • 精神障害者で、医療措置が必要である者
    具体例:成年被後見人、被保佐人など(法律用語としては、「要随伴人」と呼んでいます)「要随伴人」とは、「随伴」す人が「必要」との意味です。ただし、保護者がいる場合は、入国が許可されるケースもあります。

参照条文:入管法5条1号、2号入管施行規則4条検疫法1条、2条、13条第1項など

2.反社会性が強いと認められることにより上陸を認めることが好ましくない者

上陸拒否において、反社会性-拳銃を持っている人のイメージ写真
上陸拒否事由として、麻薬の注射の写真

(1)暴力団関係者

  • 暴力団員
  • 暴力団準構成員
  • 暴力団関係企業の役員・従業員
  • 過去に暴力団に所属していた者

(2)犯罪組織関係者

  • 組織犯罪集団の構成員
  • 組織犯罪集団の資金洗浄者
  • 組織犯罪集団の武器密輸者
  • 組織犯罪集団の麻薬密売者

(3)テロリスト

  • 国際テロ組織の構成員
  • テロ活動の資金提供者
  • テロ活動の武器調達者
  • テロ活動の訓練を受けた者

(4)人身売買業者

  • 人身売買の組織的実行者
  • 人身売買の被害者を搾取する者
  • 人身売買の仲介業者
  • 人身売買の広告業者

(5)児童性的虐待者

  • 児童を性的目的で利用する者
  • 児童ポルノの制作・販売者
  • 児童買春の客
  • 児童性的虐待の共犯者

(6)その他反社会性が高い者

  • 殺人、強盗、傷害、覚醒剤取締法違反などの凶悪な犯罪で実刑判決を受けた者
  • 麻薬中毒者
  • 武器密輸者
  • 国際指名手配犯
  • 特殊詐欺グループの構成員
  • 銃砲刀剣類所持等取締法に定める銃砲、クロスボウ若しくは刀剣類又は火薬類取締法に定める火薬類を不法に所持する者

参照条文:入管法5条1項3号~8号組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律暴力団対策法児童買春の防止等に関する法律

3.我が国から退去強制を受けたこと等により上陸を認めることが好ましくない者

上陸拒否・退去強制のイメージ写真

(1)出国命令により出国した者の上陸拒否期間は、出国した日から1年

(2)退去強制された者(1の場合を除く)の上陸拒否期間は、退去強制された日から5年

(3)いわゆるリピーター(過去に日本から退去強制されたり、出国命令を受けて出国したことがある者)の上陸拒否期間は、退去強制された日から10年

(4)以下のものは、永久に上陸拒否
①日本国又は日本国以外の法令に違反して1年以上の懲役又は禁錮等に処せられた者
麻薬、大麻、あへん、覚醒剤等の取締りに関する法令に違反して刑に処せられた者

一年以上となっているので、どんな犯罪でも1年以上の懲役又は禁固刑がその対象になります。また、執行猶予も含まれます

麻薬、覚醒剤などでの刑罰の場合、刑罰の軽重に関係なく、「罰金刑」であっても、永久上陸拒否にあたります。

Jinせんせい

その他、上記の(1)~(4)の上陸拒否期間が過ぎたとしても、入管の審査官が過去の在留状況から再犯する可能性があると判断した場合などにおいては、上陸を拒否する場合があります。

参照条文:入管法5条第1項第9号、入管法第24条(退去強制事由)法務省(退去強制手続と出国命令制度Q&A)など

余談ですが、オーバーステイの場合、入管法70条の適用もあります。入管法70条は「3年以下の懲役若しくは禁錮若しくは300万円以下の罰金」になっております。仮にこれを根拠に刑事手続に移行させたら、身柄が検察庁に送られ、検察官により起訴され、(略式)裁判で、1年以上の有罪判決になったら、執行猶予がついても永久上陸拒否事由に該当してしまいます。

オーバーステイは、通常、刑事手続(起訴や裁判手続き)ではなく、入管の退去強制の手続(行政の処罰)の一環で、帰国されるのが一般的です。

出国命令と退去強制の概要

出国命令

  • 本人の意思に基づき、一定期間内に自発的に出国することを求める行政処分
  • 収容されずに自宅等で過ごせる
  • 上陸拒否期間は1年

退去強制

  • 不法残留、不法入国、犯罪などが摘発され、強制的に出国させる行政処分
  • 原則、入管施設に収容される
  • 上陸拒否期間は5年~永年

「出国命令」と「退去強制」について詳しく知りたい方は、こちらをどうぞ

Jinせんせい

出国命令と退去強制もボリューム満点の内容なので、後日、記事を書くことにします。とりあえず、「出国命令」は、比較的に軽微な行政処分、「退去強制」は、法令違反の軽重、罪状などにもよりますが、重い行政処分と思ってください。

出国命令と退去強制の手続については、下の記事をご参照ください。

出国命令と退去強制のアイキャッチ画像

この記事は、出国命令、退去強制、在留特別許可について分かりやすく解説しています。現在、オーバーステイをしており、出頭を考えている方、必見です。

4.我が国の利益又は公安を害するおそれがあるため上陸を認めることが好ましくない者

上陸拒否事由、貧困者のイメージ写真
国の利益による上陸拒否事由のイメージ写真2

(1)「我が国の利益」からみて上陸を認めないもの

生活保護の受給者

  • 自国で生活保護を受けている者
  • 日本国で生活保護を受ける可能性が高い者
  • 生活保護を受給するために日本国に入国しようとする者

ホームレス

  • 自国で住居を持たない者
  • 日本国で住居を確保する能力がない者
  • ホームレス生活を送るために日本国に入国しようとする者

無職者日本での滞在費の支弁能力(お金を支出する資力)がない者
 ただし、短期滞在ビザの場合で、日本から招聘される場合、日本側の身元保証人が滞在費を支弁することにすれば、この限りではない。

その他生活上国又は地方公共団体の負担となるおそれのある者

  • 重度の病気や障害を持つ者
  • 多額の借金を持つ者

(2)「公安を害するおそれがある」とみて上陸を認めないもの

国家安全保障上の脅威となる者

  • テロリストやスパイ活動に関与する者
  • 国家転覆を企てる者
  • 我が国の重要施設の破壊を企てる者
  • 国家情報機関の工作員
  • 国際テロ組織の構成員・支援者
  • 反政府活動家(我が国の国益を著しく害する活動を行う者)

公安を害するおそれがある者

  • 凶悪犯罪者(殺人、強盗、放火等)
  • 組織犯罪集団の構成員
  • 麻薬密売組織の構成員
  • 人身売買に関与する者
  • 暴力団関係者
  • フーリガン

参照条文:入管法5条3項、テロ防止法、国際テロ組織壊滅のための緊急措置に関する法律、外患誘致罪(刑法第96条)刑法、組織犯罪対策法

5.相互主義に基づき上陸を認めない者

上陸拒否事由、相互主義のイメージ写真
相互主義とは
  1. 外交・通商関係において、相手国の自国(民)に対する待遇と同等の待遇を与えようとす主義。
  2.  外国人に権利を与える際、その外国人の本国が自国民に同党の権利を与えることを条件とする主義。
出典:グー辞書、引用先のURL(https://dictionary.goo.ne.jp/word/%E7%9B%B8%E4%BA%92%E4%B8%BB%E7%BE%A9/)
Jinせんせい

端的言うと、国同士の関係において、「お互い様」「Give and Take」みたいなものですね。

(1)ビザの相互主義

  • A国が、自国民に対してビザの取得を義務付けている場合、B国もA国の国民に対してビザの取得を義務付けています。
    例:ネーパルは、日本国民に対して滞在期間に関わらずビザの取得を義務付けています。そのため、日本もネーパル国民に対してビザの取得を義務付けています。
日本のビザ免除国

2023年11月14日現在、日本国籍の旅行者がビザなしで入国できる国は193カ国です。これは、世界の国連加盟国のほぼすべてに相当します。

一方、ビザが免除されていない国は、37カ国です

(2)入国審査の相互主義

  • A国が、自国民に対して入国審査を厳格化している場合、B国もA国の国民に対して入国審査を厳格化できます。

    しかし、入国審査の相互主義は、あまり機能しない場合も多々あります。例えば、アメリカ人に対する日本の入国審査は緩いですが、日本人に対するアメリカの入国審査は厳しいときも多々あります。また、一般的には、所得水準が高い国から低い国へ行く時の入国審査は、緩いですが、そうの逆は厳しいのが現状です。

(3)入国禁止の相互主義

  • A国が、B国への入国を禁止している場合、B国も、A国への入国を禁止します。
    例:北朝鮮は、原則、日本国民の入国を禁止する場合が多いです。そのため、日本も原則、北朝鮮国民の入国を禁止しています。
Jinせんせい

余談ですが、国交がない北朝鮮の渡航についてです。

北朝鮮の場合、日本と国交がないので、日本国内で、ビザ取得は不可能です。中国の北朝鮮大使館などで、ビザ申請ができますが、日本の外務省からは、北朝鮮への渡航自粛要請が出されています。

日本人は帰国の自由が認められているので、中国経由で、北朝鮮に行ってきても法的な問題はないですが、外国人は、北朝鮮に行ってからの日本の再入国は原則、禁止されているので、注意が必要です。

ただし、日本国としても、日本に永住権を持つ北朝鮮籍者、特別永住者の配偶者、子、または父母、人道上の理由で入国が必要と認められた者の入国は許可される場合もあります。

帰化を考えている特別永住者の方の中で、北朝鮮に親族がいる方は、一度立ち止まって考えるべき問題かもしれませんね。

参考文献:外務省(我が国独自の対北朝鮮措置について

上陸拒否事由5類型の全体的な注意点

上記の例はあくまでも参考であり、これらに該当する全ての外国人が上陸拒否されるわけではありません。また、上陸拒否の判断は、個々の事案ごとに入管の入国審査官が総合的に判断します。

また、上記の上陸拒否事由にあたる人も、人道的・人権的な理由で、(日本への)上陸を特別に許可する(上陸特別許可)場合もあります。

3.まとめ

入国審査と入国禁止(上陸拒否)事由5つの類型、具体的な事例まとめ

           入国禁止(上陸拒否)事由5つの類型、具体的な事例まとめ

1.保健・衛生上の観点から上陸を認めることが好ましくない者
検疫法に基づき上陸を拒否:新型インフルエンザ等感染症、麻薬中毒者
精神保健法に基づき上陸を拒否:成年被後見人、被保佐人など

2.反社会性が強いと認められることにより上陸を認めることが好ましくない者
暴力団関係者犯罪組織関係者、テロリスト人身売買業者、児童性的虐待者凶悪な犯罪で実刑判決を受けた者特殊詐欺グループの構成員など

3.我が国から退去強制を受けたこと等により上陸を認めることが好ましくない者
①出国命令による上陸拒否期間は、1年
②退去強制による上陸拒否期間は、5年
③退去強制歴がある者が、(また)退去強制になった場合の上陸拒否期間は、10年
④法令に違反して1年以上の懲役又は禁錮等に処せられた者や麻薬、大麻、あへん、覚醒剤等の取締りに関する法令に違反して刑に処せられた者は、永久に上陸拒否。

4.我が国の利益又は公安を害するおそれがあるため上陸を認めることが好ましくない者
①「我が国の利益」からみて上陸を認めないもの
生活保護の受給者ホームレス、重度の病気や障害を持つ者など

②「公安を害するおそれがある」とみて上陸を認めないもの
テロリストやスパイ活動に関与する者反政府活動家(我が国の国益を著しく害する活動を行う者)、凶悪犯罪者(殺人、強盗、放火等)、麻薬密売組織の構成員など

5.相互主義に基づき上陸を認めない者
ビザの相互主義(ネーパルと日本、双方の国を渡航するためにはビザ取得が必須
入国審査の相互主義
入国禁止の相互主義(日本、北朝鮮、双方の国は、原則、入国禁止である)

しかし、上記の上陸拒否事由にあたる人も、人道的・人権的な理由で、(日本への)上陸を特別に許可する(上陸特別許可)場合もある。

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